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Column 子育てエッセイ

坂上みきの「君はどこから来たの?」・17ファッション、仕事、ライフスタイル。母になってどう変わった?【坂上みきの「君はどこから来たの?」】

2017.11.06

ラジオパーソナリティ・坂上みきさんの人気連載!

ひょんなことからニュージーランドの男性と出会い、
紆余曲折を経て、息子が生まれた!
日々雑事に追われつつ、その感慨をかみしめる新米ママの
一喜一憂を大公開。

この連載は……

結婚後、大きな決心をして、子どもを授かるに至ったラジオパーソナリティ・坂上みきさんが、一人息子との触れ合いや友人たちとの会話を通して遭遇するさまざまな感情をストレートに伝えていきます!


煮詰まった母より、そこそこオシャレな母がよろしくて?

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若いころ憧れていた人(女性)は皆、生涯独身だった。

あるいは、結婚した時期があっても、今は一人に戻っていたり、結婚していても子供がいない、という人ばかりだった。それは置き換えれば、仕事にまい進してきた人、仕事に身を捧げてきた人、と言える。

もちろん、子供を育てながら、いい仕事をしている人も、山のようにいる。

でも、うちに帰れば、わしゃわしゃした生活が待ってるだろうし、ほわっとしたシアワセも待っているんだろうなぁ、という背景が透けて見えてしまうと、何故か私の場合、憧れの対象にはならなかった。

自分一人のために24時間を使い、何かを犠牲にしながら、一つのことに突き進む人は、凛と美しい。

という感覚の自分は、つくづく「仕事」が好きな人なのだ。

達成感は、仕事でしか得られない。

自分も満足し、まわりの皆も喜び、褒めてくれ、すべてシャンシャンという高揚感が得られる瞬間が、年に1度くらいある。その瞬間のために働いている、といっても過言ではない。あとはたいてい、ダメだな自分、と反省し、時には穴があったら入りたいほどの恥ずかしいことをやらかしてしまう日々なのだけれど。

子供が1歳になってすぐに、BIGBANG(韓国の超人気グループ)のT.O.P君のイベントのMC(司会)を依頼された。彼が出演した映画のDVD発売を記念した、いわゆるファンミーティングで、5000人規模の大ホールでの2回まわし。緊張するが、やりがいはある。

事前に渡された、映画のDVDやBIGBANGのこれまでのCD&DVD、雑誌のインタビュー記事などの紙資料が、私の仕事机にうず高く積まれ、それを前にして、う~む、乳飲み子抱えて、これらすべてを観る時間をどう捻出しよう、と思案した。

他のレギュラーの仕事もあったので、昼間は難しい。子供を寝かしつけながら、いったん午後10時に一緒に寝て、家族が寝静まった午前2時に起きる生活を1週間も続ければ、全部消化できるゾと逆算した。よしよし、夜中に「FANTASTIC BABY」を聴きながら、so cool!と腰を振る生活も悪くない。

その甲斐あって、イベントは大盛況。1年に1度どころか、数年に1度くらいの達成感と興奮で、むふふふふと自然に笑みがこぼれてくる。

出待ちのファンのみなさんに「楽しかったよォ」と見送られながら、車で、延長保育をお願いしていた保育園に子供を迎えに行き(急に現実)、うちに帰って、腹をすかせた子供に「ごめんよ」と授乳を始めた途端、背中がかゆい、あれッ? 腕も、お腹も。あれれッ? みるみる、全身に発疹が広がっていった。ジンマシンだった。

身体は、実に正直である。張り詰めていた緊張感が、ホッと緩んだ途端に、この有り様。それからしばらく、私のカラダは使い物にならなかった。

「母は、子育て以外で無理をしてはいけません」
「母は、仕事にまい進できないのです」と身体に思い知らされたようで、何だか、心も打ちのめされた。

妊娠中、子供が産まれたら、愛おしくて愛おしくて、仕事なんかや~めた、となるかもしれない、と少々期待した。未知の世界だもの、どちらに転ぶかわからない。フタを開けてみたら、3ヶ月で早くも仕事に飛びついた。

もちろん、愛おしくなかったわけではない。そのほうが、自分にとってバランスがいいし、煮詰まった母親と対峙するより子供にとってもよろしい、と判断したからだ。

時には自分ファースト!

もう一つ、フタを開けてみてどうなるのか、気になっていたのが、子供がいても、自分が身なり、格好をかまうかどうか、ということ。

私の母は、自分の着るものには一切、かまわぬ人だった。娘達ファースト。そんなことにお金を使うくらいなら、子供のために何かを、という人で、それは子としては有難いことだが、少々不満ではある。

母親たるもの、派手にチャラチャラ目立っても困るが、地味で冴えないのも・・・ヤだな。よく見ると素敵、くらいのころ合いで、女性として、もう少しオシャレをしてほしいのが、子心ってもんじゃない?

が、自分はどうか? あんなに洋服が好きだったのに、

1)そもそも、買いに行く時間がない。
2)行っても時間が気になり、急かされているようでじっくり選べない。
3)子供を抱っこする、手、鼻、口をこすりつけられる、ことを考えるとカジュアル限定になってしまう。
などの理由でまったくもって買い物が楽しくなくなった。

そして、次第に、自分のものを買うくらいなら、息子に買ってあげよう! とまんま母を受け継ぎ、どんどんかまわぬ人になってきた。

5年落ちのTシャツに、10年落ちのパンツ。夏はビーサン。冬は何年も履き続けるUGGのブーツ。流行のシルエットなど、知ったことか! さらに、自分の買い物なのに、この値段で息子のシャツが何枚買える? などと計算しているみみっちい自分がいて、身も心も安っぽいな、今の私。

ピューと走っていってしまう男子のせいで、靴箱に並ぶ靴も全て、フラットシューズに変わった。母になる前は、7cmヒールと決めていたのに。

が、息子も5歳になって、ピューも減り、そろそろ、おしゃれの虫がうずいてきたのか、ふと、昨今流行りの厚底靴を買ってみようか、と店をのぞいた。

厚底と言っても「3cm~5cmくらいの転ばぬ物をね」、と日和った私の注文に沿って並べられた5足ほどの候補を前に、ためつすがめつしても、どうもピンとこない。「迫力に欠けるのかなぁ」。と腕組みすると、目の前にドーンと10cm程の「ザ・厚底」が差し出された。

「お、いいじゃん。いいじゃん。どこの?」
「ステラ マッカートニーです」
「ウッ」値段を聞かんでもわかる。予算をぶっちぎりでオーバーしてるってことは。

「う~ん、う~ん、う~ん」5分ほど身もだえした末に、「いただくわ!」と清水(キヨミズ)から飛び降りた。

折りしも、保育園のハロウィンの日。子供たちやお母さんたちと一緒に、おろしたてのステラで練り歩いた。花魁道中よろしく、傍らに支えてくれる人がいてくれたらなぁ、と思ってもおくびにも出さず軽やかに。

気持ちが上がる。子供のスニーカー20足は買えたよなぁ、なんてこれっぽっちも浮かばない。いいモノを身につけた時の高揚感が、久しぶりに蘇ってきて、ああ、なんて晴れやかなんだろう。

そういえば、「転んで骨折でもしたら」、などとウジウジ悩む私を決断させたお店のお姉さんの殺し文句は「女優の○○さんも買っていかれました」だった。

現在60代半ばのその女優さんは、若いころからコケティッシュな魅力があり、ふわふわした雰囲気はそのままに、今も素敵に活躍していらっしゃる。私生活では、確かお子さんもいらしたはずだ。わぁ、憧れるなぁ。

おやおや、いつのまにか私の中で、憧れの対象も、様変わりしていたのだった。

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靴箱にズラリも並ぶフラットシューズ。やっぱり楽は楽だからねぇ、捨てられない。
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これが、ステラ・マッカートニー。木目と白のギザギザのコンビネーションが美しい。
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坂上みき(さかじょう・みき)

ナレーター、イベント司会、ラジオパーソナリティを務める傍ら、映画コラムやエッセイを執筆。東京マラソンでは、自己ベスト3時間58分で完走。
2006年に12歳下のニュージーランド人と結婚、2012年に男児出産。
現在は、日本テレビ「暇人ラヂオ」に出演、ラジオ日本「坂上みきのエンタメgo!go!」ではパーソナリティを務めるなどして活躍中。
「最近インスタを始めました! 子どもの撮った写真をアップしていきますので、ぜひフォローしてくださいね!」 @mikisakajo

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