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Column キレイなママでいるために

働くママのLOVE & BEAUTY母、妻としての顔を持つ、世界的プリンシパルの生き方【中村祥子さんインタビュー・前編】

2017.08.31

この連載は……
2人の男の子ママで、美容・恋愛ライターの安田光絵さんが、日々の取材のなかで出会った、ママにおすすめの美容ネタや、忙しい毎日のなかで実践している美と健康、そして夫婦仲良く、の秘訣を綴ります!

中村祥子さんスペシャルインタビュー Vol.1 
バレエと子育てを両立するための工夫とは?

読者の方の中には、バレエが好きな方、お子さんに習わせている方もいらっしゃると思います。

私自身、バレエはほとんど観たこともなく興味もありませんでした。

それが2年前、母に誘われ熊川哲也さんが率いるKバレエ カンパニーの公演を観に行き、一気に虜に!

きらびやかな舞台装置、華やかな衣裳、ロマンティックな音楽、そして美しいバレリーナたち。まるで夢の中にいるようで、それと同時に約5年間の育児と仕事の疲れがほどけたのか、涙が止まらなくなったのです。

五感のすべてが解放され癒されて、そこからバレエにどっぷりハマり 、Kバレエ カンパニーの全公演を観に行くことが日々の目標になりました。

そして、カンパニーで数々の主役をつとめるのが、プリンシパルの中村祥子さん。誰もが目を奪われるようなスタイルと美貌、完璧なテクニック、類希なる存在感で世界の舞台で活躍し、2015年に芸術選奨・文化大臣賞を受賞。

そんな中村さんは、一児の母でもあります。過酷なレッスンと公演、子育てや家事の両立の秘訣や、誰もが気になる産後の体型の戻し方、美容法や食事法などについてお聞きしました。

ダンサーだから何かを諦めるという考えはない

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(C)Jin Kimoto

安田 中村さんにお会いできてとても光栄です。私はバレエに関しては本当に素人なので、今回は一ファンとして素朴な疑問をお聞きしたいと思います。ひとつの舞台が終わったら、すぐに次の公演があり、練習だけでもかなりハードだと想像するのですが、中村さんはお子さんがいらっしゃるんですよね?

中村 はい。小学生の息子がいます。

安田 どのように、子育てと仕事の両立をしているのか気になります! まずは1日のタイムスケジュールを教えていただけますでしょうか?

中村 朝、6時半に起きて子どもを起こし、朝食を食べさせて小学校に送ります。その後、洗い物や洗濯などの家事をして、9時半に家を出て10時半からレッスン開始。12時から17時半までリハーサル、帰宅して食事の用意をして夕食。その後は、宿題を見て、お風呂に入り、21時を目標に子どもを寝かせます。それからは自分の時間になるので、残っている家事やストレッチ。0時までには就寝しますが、たまに息子と一緒に寝てしまっていることも。

安田 かなりのハードスケジュールですよね。疲れませんか?

中村 体力があるからか意外と平気ですが、時間に余裕がありませんね(笑)。でも、精神力は強い方かもしれません。これは、バレエで鍛えられたように思います。自分から諦めることはしたくないタイプで…。まずはやってみたい! それでもダメだったら諦めがつくけれど、どんなに大変なことでもやってみることで得るものが必ずあると思うんです。だからできる限りの挑戦はしたいですね。

安田 私なんて、辛そうだったり大変そうなことは、やりたくないと逃げてしまうので反省します…。

中村 私の場合、幼少の頃からバレエ一筋だったので、それを失うと自分らしさまでなくなる気がして。バレエによって自信を持つことができたので、どんなに辛くても耐える精神力が身に付いたのかもしれません。

安田 ポーランド出身で、同じくダンサーでもあるヴィスラフ・デュディックさんとは、ベルリン国立バレエ団にいらしたときに出会われたんですよね?

中村 はい。彼もプリンシパルでパートナーとして踊っていたんです。バレエしか知らない私を、色々な場所に連れ出してくれたり、お料理を作って驚かせてくれたり、新しい世界へ導いてくれた人なんです。

安田 それで30歳のときにご結婚されて、息子さんを出産。日本では、子どもを産んでダンサーとして活躍される方は少ないようですが、キャリアを築く上での不安はありませんでしたか?

中村 それは、ほとんどありませんでした。海外だと、ダンサーだから何かを諦めるという考えはほとんどなくて、子どもを産んでも今まで通りダンサーをすればいいじゃない、というスタンス。それに、主人は8人兄弟と大家族で、クリスマスにはみんなでホームパーティーをしたり賑やかに過ごす様子を見て、私もこんな家族を築きたいと自然に考えるようになったんです。

安田 8人兄弟とはすごい! 家族が集まってパーティーなんて素敵です!

産後の身体や心の変化について

安田 出産後、やはり体型に変化はありましたか?

中村 もちろんです。出産した後は体型があまりにも変わってしまい、鏡の前で愕然としました。4カ月後には公演が決まっていたので、産後1カ月からマラソンをしたりバーレッスンを開始。でも、思うように身体が動かなくて…。これまで何十年もかけて作り上げてきたものが何も残っていないと、ひとりでスタジオにこもり、レッスンをしながら毎回泣いていました。

安田 同時に子育ても大変な時ですよね。

中村 バレエも、そしてもちろん子育ても、どちらも100%でやりたい、と頑張りすぎて…。もうボロボロでした。そんなとき主人に「子育ては僕やお母さんもサポートできる。まずは、祥子がダンサーとしての自分を取り戻してあるべき姿に戻らないと、どちらに対してもいい影響を与えないよ」と言われたんです。それで、まずは自分が変わらなくてはいけないと思い、周りにサポートをお願いするようになりました。

安田 それも、先ほどおっしゃっていた経験してみないと分からないことなんですね。

中村 そうですね。そこから、ダンサーとしての自分をどうにかして取り戻す覚悟でレッスンを続けていたら、4カ月後に少しずつ元の感覚が戻ってきて無事公演に出演しました。その後、子どもを連れてハンガリーのカンパニーに移り、そこからはまた激動の日々。主人はベルリンのバレエ団に所属していたので、基本は息子と2人暮らし。舞台の時間ギリギリまで子どもの面倒を見る生活で、記憶がないくらい毎日が必死でした。

安田 想像するだけで大変そうです…。お子さんを産んでから、バレエダンサーとして変わったことはありますか?

中村 まず、舞台に上がることが恐くなくなりました。バレエとは違うかけがえのない存在が出来たことで、その他のものを失うことを恐れなくなったのだと思います。

安田 私もそれは感じます。今まで、手が震えるほど緊張しやすいタイプだったのが、子どもを産んでから緊張しなくなりました。

中村 母親になると度胸がつくのかもしれませんね。あとは、今までは自分がどう踊るかということばかりに集中していたのですが、他のダンサーたちや空気を感じる余裕が出てきました。それに、レッスンから帰って来て、息子の顔を見ると嬉しくて疲れが吹き飛んで。本当に子どもや家族の存在は大きいです。

安田 確かに、子どもの笑顔を観ると頑張れるという働くママは多いですね。

中村 舞台で演じていて思うのですが、今まで経験したことは、役柄や踊りを通してお客様にも伝わるものだなぁ…と。様々な経験を経て培ったものが、役に深みを与えたり、作品の空気感を作り出していくのだと思います。

安田 私も素人ながら、観ていてそれは感じる気がします。ダンサーの方の人生や内に秘めている何かが、観ている人の心を揺さぶるんですね。

中村 はい。ただバレエの形を追い求めるのではなく、そこに命を吹き込みたいと思っています。

【後編に続く】

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中村祥子(なかむら・しょうこ)

佐賀県生まれ。6歳よりバレエを始める。1996年、ローザンヌ国際バレエ・コンクールでスカラーシップ賞/テレビ視聴者賞を受賞。同年より98年までシュツットガルト・ジョン・クランコ・バレエスクールに留学し、98年、シュツットガルト・バレエ団に入団。2000年、ウィーン国立歌劇場バレエ団に入団。同年、ルクセンブルク国際バレエ・コンクールで第1位を受賞。2001年に準ソリスト、2002年ソリストに昇格。2006年8月、ベルリン国立バレエ団に移籍。2007年、プリンシパルに昇格。2013年11月、ハンガリー国立バレエ団にプリンシパルとして移籍。2015年秋より日本に拠点を移して活動を開始。Kバレエ カンパニー ゲスト・プリンシパル。

(c)Bettina Stöß

安田 光絵(やすだ・みつえ)

美容・恋愛ライター。マタニティプランナー。 日本大学芸術学部映画学科卒業。大学在学中に学生ライターを始め、卒業と同時にフリーに。25歳〜27歳まで上海に留学し、中国茶や薬膳、東洋美容を学ぶ。31歳で結婚、32歳で長男、34歳で次男を出産。産後は、雑誌やウェブ、書籍での執筆活動ほか、安産、婚活セミナーの講師を行う。最新の栄養学を生かした、子供のための料理レシピも好評。

美容&恋愛ライター安田光絵のハッピーママライフ