
連載:プロが教える!ママのためのお金のつくり方 【プロが教える!ママのためのお金のつくり方】コロナでリモートワークが普及。これからは田舎暮らしもアリ?
ファイナンシャルプランナーとして25年のキャリアを持つ“お金のプロ”が、ママたちからよく相談されお金の悩みを取り上げ、わかりやすく解説します!
第3回 コロナでリモートワークが普及。これからは田舎暮らしもアリ?

ママからのお悩み
家族で東京23区内に住んでいます。コロナで自粛期間中に実施されたリモートワークが、コロナ後も継続することに。いっそ家賃の高い都心を離れて田舎暮らしをするのもいいかもと考え始めています。子育ての面からもよさそう…と迷い中。アドバイスをお願いします!
お答え
こういう相談、増えています。自粛期間にリモートワークを経験してみて、「ネットがあればどこでも仕事ができる」と多くの人が実感したようです。大企業でも、リモートワークを本格的に導入するところが出てきました。その影響もあってか、「地方移住」が検索キーワードの上位に上がってきています。
地方移住を考えるなら、まずは、夫婦の働き方がどうなっているのかを考えてみましょう。
夫婦とも、都内の会社に勤務しているがリモートワークが可能で、出社は月に一度程度でいい場合、自営業やフリーランスで、必要なときだけ都心に行けばいい場合は、仕事に支障なく田舎暮らしが可能でしょう。
その場合、都心までの交通費や往復の時間はどのくらいかを含めて下記のポイントを考慮すると良いでしょう。
・病院や学校は近くにあるか
・大型スーパー、ショッピングモールなどが近くにあるか
・自治体の各種支援制度の確認(子育て支援や、移住支援など)
・金融機関(ネット利用も可能ですが、相談できる窓口があると安心です)
・水害や台風被害などがないか(自治体のハザードマップをチェック)
・自家用車は何台必要か
・地元の町内会や組合など取決めは?
場合によっては、夫婦のどちらかが、都心の会社を辞め、転職しなければならないかもしれません。その場合は、引っ越し先にどのような仕事があるのかもチェックポイントになります。自治体によっては、UターンやIターン希望者に対する就業支援を行っているところもあるので、よく調べておきましょう。
次に、田舎暮らしのメリット・デメリットについて考えてみましょう。
●メリット
(1)ゆったりした生活環境
空気は澄んでいて、山や海などの自然に囲まれた生活は、癒しにつながるでしょう。慌ただしい都会とは違った時間の流れを感じることができます。
庭やバルコニーで家族と団欒したり、景色を見ながらハンモックに揺られてくつろいだり。子どもたちは外へ出て走り回れますし、色々な動物や虫と戯れたりすることもできます。
(2)生活費が安い
新鮮な食材が安く手に入ります。近所の農家が野菜を分けてくれるので、食費がほとんどかからないという声もよく聞かれます。
(3)住居費が安い
田舎の場合、賃貸アパートの家賃は、2DKや3DKでも3万円台から4万円台と、都心とは比べものにならない安さ。新築の戸建てでも、1千万円台から物件があります。敷地も広く、車2台は余裕で停められるのが当たり前。
また、多くの自治体で空き家の増加が問題になっていますが、空き家なら数百万円で購入できるので、リフォーム代を含めても1千万円以下でマイホームを持つことも可能です。
(4)移住・定住促進助成金が受けられる
全国の自治体は人口減少を食い止めようと、さまざまな移住者支援制度を設けています。
たとえば、移住して20年以上住めば、土地・住宅を無償で譲渡してくれる制度(宮城県七ヶ宿町)や、住宅購入費を最大250万円補助してくれる制度(鹿児島県薩摩川内市)、空き家を購入すると改修費を上限200万円まで補助してくれる制度(佐賀県鹿島市)、あるいは自治体がリフォームしてから引き渡してくれる制度(山形県遊佐町)など。他にもさまざまな助成金がありますので市町村に確認してみてください。以下のサイトも参考になります。
一般社団法人移住・交流推進機構 (https://www.iju-join.jp/feature_cont/file/019/02.html)
●デメリット
(1)人間関係が難しい
都会よりも人間関係が濃く、よそからやってきた人を警戒する傾向があります。ゴミ出しや洗濯物の干し方一つをとっても、地元集落独特のルールがあり、それを知らないばかりにトラブルになることも。田舎の人間関係になじむことができず、精神的に疲れて都心に戻るケースも多々あります。
(2)車に費用がかかる
都心のように公共交通網が発達していないため主な移動手段は自家用車。夫婦で行動パターンが異なると2台必要となり、保険、税金、ガソリン代、車検など、維持費が馬鹿にはなりません。車両代金と合わせると相当な額になります。
(3)給与水準が低い
移住とともに転職した場合、都会のように給与水準が地方は高くないので、所得は減少します。ご近所からのおすそ分けで食費が浮く、住居費が安いといったメリットもありますが、それ以外の物価は都会も田舎も同じか、ものによっては田舎のほうが高い場合もあるので、生活が苦しくなってしまうこともあります。
(4)買い物が不便
ネット通販は便利なものですが、田舎ではそうとも限りません。テレビ、冷蔵庫などの大型家電は本州以外には配達してくれなかったり、配送料も都心から離れるほど高額になります。スーパーやショッピングモールなどが近くにない場合は、ちょっとした買い物にも不便を感じることがあります。
(5)田舎ならではのこんな悩みも……
若い世代の9割近くが「田舎暮らしで耐えられない!」と感じていることは、水洗トイレがないこと。総務省の調べによると、トイレの水洗化率は90.7%、洋式トイレの保有率も89.6%なのでさほど心配はいらないかもしれませんが、引っ越しの際には要チェックでしょう。
また、夏には雑草や虫との格闘、冬には延々と雪かき、といった都会では想像もしなかった事態も覚悟しなければなりません。
●田舎暮らしをすると決めたなら
メリット、デメリットを考えた上で、それでも田舎暮らしをしたいか、よく家族で話し合いましょう。移住する場合は、行先の自治体のHPをよく確認し、時間が許す限り、何度か現地に足を運んでみましょう。
場所としては、あまり人のいない所ではなく、人口10万人以上の町がお勧めです。車で30分以内に大型ショッピングモールがあればなおいいでしょう。
地方で住居を探す場合、不動産業者は最低2社以上で探してみましょう。よい不動屋を見分けるには、国土交通大臣(1)1234号といった、宅建免許の認可番号に注目して。( )内の数字は、免許更新の回数を表していて、数字が大きいほど歴史の長い会社です(1は5年未満、2なら10年以上、4なら20年以上)。20年以上の会社なのに番号が1や2の場合、過去に問題を起こして更新ができなかったことも考えられるので要注意です。
いずれにせよ、知らない土地へ引っ越すことは大きな決断です。じっくり考えて、最適な選択をしてくださいね。田舎暮らしを含め、あらゆるお金の相談を承っています。オンライン相談もできますよ。
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