連載:オーガニック子育て@ベルリン コロナ禍で娘がセリーヌのランウェイに出るまで【後編】
引き続き厳重な秘密に包まれたセリーヌのショー。1週間ごとに変わるコロナ規制と睨み合いながら、学校の予定は? 仕事の契約、内容は? など事務所と密に話し合いながら仕事と学業を両立させるためのサポートの毎日。
本番まではもちろん体調管理、食事にも気を配りました。免疫を強める食材、肌のコンディションのため避けるもの、体のシェイプをキープしつつ育ち盛りの体を支えるメニュー、ここは私の出番です。そして前回と同じく出発前には医師の健康診断証も必要でした。
ともあれ結局出発直前までどこで開催されるかも聞かされないまま気がつけば娘は開催地モナコへ。せっかくの娘の晴れ舞台、しかもモナコ! これは一緒に行くでしょ! と思っていたのに、まだ秋休み前のベルリン。他の子供たちは学校があるし、急に子守の手配もできないし、残念ながら今回のモナコ行きは事務所に任せることに。
そして前回の空港のコロナテストの不手際から学んでいたので到着後は空港のテストだけでなく、別の病院でのテストも事前に予約しバックアップを。除菌グッズや手袋なども完備していざモナコへ。
現地では時間はたっぷりあったようで、スタッフ、モデルが宿泊しているお城のようなホテルに 滞在する娘からの写真にため息。「朝食もすごい美味しかったよぉ。一緒にいれたら良かったねぇ」と話す娘。母さんは羨ましい、の一言。
でもそんなリラックスも束の間、緊張のリハーサルに本番があるのだものね。仕事だものね、と思い直したのでありました。
今回どこでやるのか、どんなモデルが出演するかなどもちろん一切聞かされていなかったので、どんな洋服なんだろう? 誰か知ってる人いたかな? 会場は? など聞きたいこと満載。
そんなさなか、娘がリハ会場から待ち時間に有名なモデルさんを何人も見た! という興奮気味なメッセージを送ってきました。さすが世界の舞台。「どんな気持ちでその場にいるんだろう。憧れの人と同じ舞台で歩く。私なら鼻血でちゃうな。」とか思いながらも娘は私よりかなり冷静な様子。
そして厳重秘密のなか、娘が着る洋服が7キロもあるジャケットだという情報だけ手にする。とにかく重たいジャケットを着て長いサッカー競技場を歩く。気温もそこそこ高い。体力勝負らしい。
どんな洋服なんだ! 7キロって? と想像しつつ詳しいことはわからない。待ち時間も長い。本番より待つ時間にギャラが払われているんじゃないかってくらい長い。試験前の娘はマネージャーと勉強をしながら待っていたそうです。さすが学生!
本番の撮影が無事に終わって帰国した娘はやはりすぐに隔離。でも予約していた病院での検査結果が翌日にでたので、今回はあっという間に日常復帰。
やっと本人から直接細かい様子を聞けた時、ほっとしたのと同時にこの隔離の時間と離れていた時間が全てを現実から遠ざけ、何もかも本当のことに思えない感じがしました。
しかも、舞台は全てが夢のように美しい街モナコ。非日常から日常へ戻ってきた娘。ベルリンのリアルライフ、ファッションの美しい幻想。そこを行き来する娘。学生時代にモデルをしていた当時の自分を見るようでもありました。
待ちに待ったショー公開日には、まるで昭和か? という雰囲気でパソコンの前に正座してスタンバってみんなで見ました。小さい弟妹たちは「あ! あかりだ! なんでいるの?」とかわいい質問も。そしてやっと7㎏のジャケットの謎も解けた!(笑)
そして何を隠そう。今回はマネジャーも含め二人とも空港でのコロナテストの結果が紛失なのか、何なのか来ないまま、というオチなのでした・・・。やはり入念な準備しといて正解だったな。