連載:オーガニック子育て@ベルリン ベルリンのお母さんたち
子供たちが保育園、幼稚園にいくようになって、こちらでもママ友、そしていろいろなお母さん方と知り合いになったわけですが、そうなるとまず必ず聞かれる質問があります。「あなた何やっているの?」つまり、「あなたの職業は何ですか?」という問いです。 私は当初完全主婦だったので、「えーと、お母さんですけど」というと、「へぇ……」というちょっと意外な反応なんです。
そう。ベルリンではお母さんは仕事をしているものなのです。お母さんが仕事をしていないなんて、マイノリティなのです。もちろん全部ではないですが、だいたいそんな感じ。 それもパートタイマーとかアルバイトという感じでなく、ちゃんとしたキャリアがある仕事。学校の先生、医師、歯医者さん、役者、音楽家……色々です。それも子供ひとりとかでなくて、子供が3人いるとかそういう人もみんな仕事をしている。
保育園に預けて仕事をするなんて子供にかわいそう、だなんて誰にも言われません。むしろ子供もいて仕事もして誇らしいくらい。
それには女性がキャリアを諦めない、そういう社会の仕組みがドイツにはあるのも助けになっているかもしれません。子供が生まれたら1年間は「ムッターツァイト(母の時間)」というの があって仕事をしないでもお給料は半分とかそれ以上でて、ポジションもキープされている。仕事に穴をあけるからキャリアから脱線とか、そういうことはしてはいけないんですね、基本的に。
キャリアも大事だけど、子供を大切にするのは当たり前、かつ女性も対等な権利を持つのが当たり前なんです。時には出産早々お母さんは働き、お父さんが育休をとっている方もいます。お母さんが子育てしなきゃいけないわけじゃない、お父さんの子育ても大変積極的です。そういうあり方、考え方がポピュラーなベルリン子育て。
女性が大黒柱というのも珍しくありません。ですから家事はどこでもシェアです。男の人もすっかり家事に慣れていますし、公園でお父さんが生まれたての子供を抱っこしてその兄弟を遊ばせているけど、お母さんはそこにいない、という風景は頻繁に見られます。幼稚園の送り迎えはお父さんが主流ですし。日本みたいに女性に「お茶!」なんて言ったら怒られるでしょうね(笑)。街でも家庭でもそんな雰囲気。
男だからとか女だからとか関係ない。もちろんその特性はあるし、お母さんにしか与えられないものってのもあるけど、だからってお母さんがそれで苦しめられる必要はなく、お父さんができるならそれでも子供はすくすく育つ。当たり前といえば当たり前のあり方なのです。
その辺の環境がおおらかなベルリンママを眺めて、日本の一般的な社会ではお母さんのプレッシャーがいかに大きいのかと、逆に気がついてしまった今日この頃です。