連載:オーガニック子育て@ベルリン 塾に行かないのが普通なドイツの教育
ドイツの学校ではまずだいたい夏休みに宿題がないように、子供たちは普通塾にも通っていません。もちろん足りない部分があるときには「Nachhilfe」(個別指導みたいな意味)というのがあるのですけど、一般的にしっかり授業を受けて進学していく、という感じです。
特に高校から大学入学の年になると、みんなかなり学校の勉強が忙しくなります。課題がたくさん出され、大切な試験が学期の合間に挟まり、それが全てドイツの大学入学資格となるAbitur(アビトゥーア)に加味されていきます。
それでもやっぱり夏休みに宿題はないし、みんなホリデーには習い事の合宿や家族との旅行を楽しみ、学期が始まるとみっちり勉強するというリズム。
ドイツ人の夫を眺めてみても、彼は東大で修士をとったのですが、もちろん塾に通ったことはなく、(彼が特別なわけではありません)中高時代はオーケストラに合唱、ボート漕ぎにと毎日趣味で忙しくしていたという話。宿題や塾に追われたことはないのだそう。「どうして必死になって幼い頃から塾漬けでないと、日本では東大に入れないのか?」と逆に質問されてしまいました。私にもわかりません。
海外に住むようになり思うのは、こちらの学生さんは趣味が多い。山登りやスポーツ、楽器など余白を楽しんでいるのが普通なんです。勉強だけして育つなんて、今のところ見たことない。
子供らの学校のテストをみると、内容は記述だけでなく、論述、口答の試験とプレゼンテーションという発表のテストがあるのが普通。中学生でも10年生になると一斉に行われるMSA(中学卒業資格)という試験はドイツ語、数学、第二外国語という3科目で行われ、口答試験とプレゼンテーションがあります。テーマは自分で選び、パワーポイントを使ったり資料を作り発表する。
例えばこのテストを2年前にパスした次女は「プリクラと社会。なぜ若者に人気なのか?」についてを社会のテーマでグループで発表していました。
ドイツの学校では、とにかく自分で考えてそれを人前で発表する力が重要視されているようです。そして授業をしっかり受けて自分で理解して進んでいく。ギムナジウムという大学進学コースの学校では小学校でも理解ができてないと学年を落とされると聞いたことがあります。とにかく日々の学びをしっかりと。あとは自由にしっかり遊ぶ。休む。そのメリハリはすごいな、と思います。
よく眺めてみると、実は大人の社会もそうなっていると気がつきました。会社にも夏や冬にはしっかり長期の休みがある。休まないといけない法律もある。日曜日は基本スーパー休み、配達も来ない。不便もあるけど、ゆっくりとしているのがドイツの暮らしです。 こんなふうに大人にもゆとりのある社会が、もしかしたら子供の教育にも影響があるのかも? ゆとり教育ってこどもの学校の制度の問題だけじゃなく、大人の働き方や社会も変えないと機能しないのかもしれませんね。