連載:オーガニック子育て@ベルリン 言わなくてもついてくる、ドイツの子供と犬
ドイツの子供の遠足の様子や、親子で連れ立って出かけるときに一つの特徴があります。
それは大人や親が、子供をほとんど見ていないこと。
びっくりするでしょう? 幼稚園くらいの子供でも基本手をつないで歩いたりしていません。唯一みんな同じ保育園、幼稚園だとわかるように目立つ色のベストなどを着せられていますが、結構バラバラと自由にしている。
電車を待つ時も、並ぶことは皆無。なんとなく集まっていると言う感じ。そして電車に乗り込むと、子供たちは好き好きに空いている席に座りはじめます。これは小学生くらいの子供で、幼稚園くらいの子供はやはり先生のそばにいますが、それでも一つの車両の中で結構好きにやっています。
いやはや、自由。そして周りの大人ももちろんそんな子供が一斉に電車にのってきて騒ぎ立てても、誰一人文句を言いません。そう言う場面を一度も見たことがありません。
最初にこの様子を見た時には、「危なくないの? 迷子にならないの?」と思っていました。けれど大人があくせく子供の世話を焼くよりは、子供が大人をよく見ておくのが大事だ、と子供が学ぶ。と言うやり方のようで、おかげで実際子供たちはしっかり大人についていき、ほとんどの場合問題が起こっていないようです。逆に世話をやきすぎて子供の周りをちょろちょろする親は「ヘリコプター親」と呼ばれ、過保護だと馬鹿にされちゃう感じなんです。
また周りに迷惑かからないの? という疑問もありますが、子供には子供として存在する権利があり、それを邪魔することは許されないのがドイツの文化。こんな時に子供に文句を言ったなら、きっと誰か別の大人にその人が「子供に何を言ってるんだ!」と叱られることでしょう。そういう雰囲気が社会の中にあります。
この様子って、ドイツで見かける犬たちとの関係にも似ています。ドイツにいる犬たちは本当によくしつけられているというか利口で、とにかくよく人間や社会とパートナーシップを築いています。だからでしょうか、レストランや電車などあらゆるところに犬を同伴できるし、社会の中にしっくりと馴染んでいます。 人に向かって吠える犬など見たことないし、だいたいリードをせずに街を歩き、飼い主についていっている犬が多いです。それでも逃げたり、人に吠えたり、問題を起こしたりしない。そして子供たちと同じように、犬が社会の中に存在する権利が認められているのだから、公共の場に犬を連れてくる人に対して文句を言うと言う場面も見たことがありません。
子供や犬が自由で行動制限がない社会。自由にできるからには、互いにルールも守っているというところもあるのだけど、まずはそこに存在する権利を守られている、という社会の雰囲気はいいなぁと思っています。