
連載:オーガニック子育て@ベルリン ドイツで味噌づくりにこだわる理由
この連載は……
モデルの日登美(ひとみ)さんは、ドイツ人数学者の夫とともにベルリン在住、2歳から17歳まで、6人の子どもを持つお母さん。いっぽうで、マクロビオティック料理教室や日本の伝統食を手作りするワークショップを開催するなど、マクロビオティックインストラクターとしても活躍。この連載では、ベルリンでのオーガニックライフを、食、子育て、そして暮らしを通して、綴っていきます。
ドイツの我が家の味噌づくり
ドイツに引っ越してから毎年味噌を仕込んでいます。
去年からは自分で麹も手作りして味噌作り以外にも甘酒や発酵食品作りなどに精をだしております。

日本にいる頃からそうですが、季節の台所仕事というのは楽しいものです。それは年を重ねるほど家族の中で定着し、味とともに思い出となって、まるで時間とともに味がこなれて来るお味噌と同じような感じだなぁと思っています。
そんな季節の味噌作りをドイツにいるみなさんともシェアすべく、今年は味噌つくりのワークショップも開催しました。
ベルリンでももちろんお味噌は買えますがなんせ高い! もしくは添加物だらけだったりして。
味噌は最近海外でも健康的で栄養価も高いと注目されてはおりますが、添加物だらけの偽物じゃ効果は半減ですよね。だからこそ海外にいても日本人のソウルフード味噌は質のいい物を食卓にあげていきたい。そうなるとやっぱり手作りです。こつさえつかめばそんな大変じゃないですし、冬の間に一日二日頑張れば一年中美味しい味噌を食べることができるのですから、これはやらない手はないのです!

日本にいればそこまで真剣に台所仕事に挑めたか?と思うと、海外にいるという不便こそが時に私達を励まし、パワーアップさせてくれているように感じます。ピンチはチャンスなのです。
海外暮らしの「あれがない、これがない」というお陰で我が家の食卓はもしかしたら日本にいたときより、うんと豊かになったかもしれません。手作り麹に手作り味噌、ソースに漬け物に手作りの調味料の数々がある暮らしはなかなかいいものです。
そしてある物で工夫する、無いものは作り出すという工夫を台所で積み重ねるのも楽しいものです。
またこの味噌作り、実はもう一つ我が家にとって大事な役目があるのです。
というのも我が家の下の2人はドイツ人と日本人のハーフ。当たり前ですがドイツに住んでいれば日本は遥か遠い異国です。
そうたびたび訪れるわけにいかない、半分母国である日本の伝統や文化を伝え、親しみを抱いてもらうには日々の努力なしには叶いません。そのためにも身近な台所からそれを伝えるべく味噌作りをしているのです。それがバイリンガル教育、ハーフの子どもを持つ親の大きな仕事のひとつでもあるのでしょう。

おかげで今4歳になる息子は既に人生3回目の味噌作りを経て「あ~また味噌やりた~い!」と言って楽しんでいます。しめしめ(笑)

今年は2歳になる娘も初参加。こんな体験がいつかどこかで彼らの人生の血となり肉となっていくことを願いつつ。
台所は世界中どこにでもあり、どこにいても世界と繋がれる場所でもあるのだなぁと、海外に暮らす様になって思っています。そして身近な台所で育まれるものをこれからも大事に暮らしていきたいと思います。