連載:オーガニック子育て@ベルリン 7割の人がオーガニック食品を購入! そこまで普及する理由は
この連載は……
モデルの日登美(ひとみ)さんは、ドイツ人数学者の夫とともにベルリン在住、2歳から17歳まで、6人の子どもを持つお母さん。いっぽうで、マクロビオティック料理教室や日本の伝統食を手作りするワークショップを開催するなど、マクロビオティックインストラクターとしても活躍。この連載では、ベルリンでのオーガニックライフを、食、子育て、そして暮らしを通して、綴っていきます。
ベルリンのオーガニックライフ
ドイツがエコ大国であることは皆さんご存知だと思いますが、なかでもベルリンでは70%もの人がなんらかのオーガニック食品を購入しているというほどオーガニックが普及しています。
なるほど街を見渡してみると、オーガニックショップでない普通のスーパーにもその店独自のオーガニックブランドのコーナーがあることが多く、少なくともオーガニックセレクトの商品は必ず見つかります。ファストフード店のような飲食店でもオーガニックのジュースがだいたいどこでも買える、という感じで本当にオーガニック食品を手に取りやすいのです。また、値段も手頃なのも嬉しいところ。
そんな環境だからオーガニックも普及しやすいのでしょうね。
しかも私のよく行くオーガニックスーパーでは子どもが遊べるスペースもあって、キッズフレンドリー。おもちゃのセレクトも木馬や木製のキッチンなどナチュラルなものが多いのも嬉しい。
お店の大きさも普通のスーパーと変わらないくらいの規模です。ベルリンの中には色々な地域があって、アラブ系の方が多く住む場所にはトルコマーケットがあったり、若者の多い所には安めのスーパーがあったり、おしゃれな青山みたいな所には紀伊国屋的なスーパーがあったり、などなど、街によってスーパーの傾向も変わってきますが、ほとんどどこのエリアでも、オーガニックの大きなスーパーマーケットを見つけることができます。
ベルリンのオーガニックスーパーはコンセプトもしっかりしていて、ただオーガニックを売るというだけではなく、環境に配慮したライフスタイルをすすめるため、野菜は量り売りになっていて、取り分けには、ほとんどの場合紙袋が使われ、ビニール袋は分解され土に還るタイプのものが置かれています。プラスチックでパッキングされた野菜はあまりみかけません。もちろんプラスチックのレジ袋はなく、袋が必要な場合は紙袋か繰り返し使える買い物バックを買うことになります。
ペットボトルの飲み物もほとんど売っていないか、まったく売っていないお店もあり、水もジュースもビール瓶の飲み物が主流です。それを一ケースで買うとケース代金と瓶代も支払うことになりますが、空になったらそれを返却してお金も戻ってくるというシステム。このシステムはベルリン中に浸透しているpfand(プファンド)と呼ばれる返金システムで、瓶は購入時に8セント、ペットボトルは25セントを代金に上乗せして支払います。そして、飲み終わった瓶やペットボトルはまとめてお店に置いてある機械に通し返却、返金してもらうのです。
ペットボトルはリサイクルできると思っていましたが、実はあまり効率の良い物ではないらしく、環境にもよくない。なのでオーガニックのスーパーでは返却システムがあってもペットボトルの商品自体取り扱わないというお店もあるのです。徹底していますよね。
そしてオーガニック消費者もそういうコンセプトを大事にし、物を購入する時にその背景を考えて買うことを大事にしているようです。
また地産地消も勧められているので、近所でとれたものにはそのマークが記されて購入者も地元の生産者を買い支えることができます。
色々な人種、食生活の人がいる街なので、肉や魚だけでなく、卵や乳製品なども口にしないビーガン用のコーナーも、オーガニックスーパーだけでなくどこのスーパーでも種類が豊富でとても便利です。
またオーガニック食品というと天然素材の洋服をきて、化粧もしないヘルシー系の人が買うもの、というイメージがあるように思うのですが、そういう概念がここでは覆ります。もちろんそういうタイプの人もいますが、全身タトゥーのお兄さん、ピアスだらけのお姉さん、髪の毛がカラフルに染まっている人も、性転換している人も、オーガニックのお店の店員さんにはたくさんいます。見た目のイメージとオーガニックなライフスタイルは関係ないというところにも「何を大事にするかということを、見かけで判断しない」というドイツの姿勢が伺えるようです。
こんな風にベルリンのスーパーやオーガニックスーパーをみていると、オーガニックという在り方が食だけでなく生活の在り方や考え方にも大きく影響していて、多様性を認める暮らし方と環境や人が循環する暮らしが大事なんだなぁとわかります。それがベルリンのオーガニックライフなのです。