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Column オーガニック子育て@ベルリン

働くことも子育てもあきらめない、コワーキングの保育園【日登美のオーガニック子育て@ベルリン】

2018.05.10

この連載は……

モデルの日登美(ひとみ)さんは、ドイツ人数学者の夫とともにベルリン在住、2歳から17歳まで、6人の子どもを持つお母さん。いっぽうで、マクロビオティック料理教室や日本の伝統食を手作りするワークショップを開催するなど、マクロビオティックインストラクターとしても活躍。この連載では、ベルリンでのオーガニックライフを、食、子育て、そして暮らしを通して、綴っていきます。


ベルリンの保育園事情

ドイツでは子どもは2歳までは5時間、2歳以上は7時間、お勤めしているお母さんはさらに延長もできますが、働いていてもいなくても子どもを預けられるようなシステムになっています。

日本だと保育園と幼稚園は別物ですが、ドイツではどちらも小さな子どもが日中に過ごす場所という意味の“kindertagesstätte”と呼ばれ、略して「キータ」と呼ばれています。預けるための場所というよりは、子どもには小さい頃から既に日中に行ける学校のような場所がある、という感じです。親が希望すれば、子どもは日中の数時間をそこで過ごすことができるのです。

ですが、今はベルリンにいる子どもの数が多すぎて保育園が足らず、希望の場所に入れないということが多々あります。その辺りは東京と同じ状況でしょうか。我が家も引っ越して来た当初の希望はシュタイナー幼稚園だったのですが、どこもいっぱいで入れずに別の保育園に通っています。

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こんなかんじで園児全員で10名ほどの小さな保育園

キータにはいろいろな種類があって、ドイツが本場のシュタイナー教育のところやモンテッソーリがベースの所も多いです。いわゆる普通の大きな保育園もあるし、Wald Kita ヴァルドキータ(森の保育園)と呼ばれる、基本的には園舎を持たずに毎日森に出かけるような保育方針のところもあり、これは日本の自然育児系の保育に似ています。はたまた教会ベースのキータ、バイリンガルキータなどなど。選ぶ選択肢はいろいろとあるのです。

最近ベルリンではcoworking(コワーキング)といって、主に在宅職の親が集まってオフィスをシェアするシステムが流行っていて、そこに併設した保育園というのもあります。働く形や家庭の形が多様化しているため、保育園もそのニーズに応えるように様々な形ができているようです。

そんな環境のなか、我が家の4歳と2歳の子どもはご縁あって、このコワーキングの保育園に通っています。

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こちらがコワーキングオフィスの様子。様々な職種と国籍の親がこんな感じで働いています。

この園はお母さんが出産後3ヶ月ころから安心して働けるように、授乳の必要があればオフィスから授乳に行くこともでき、お昼寝の時にも寝かしつけに行くこともできるなど、働くお母さんをサポートする、また共働きの親をサポートするようにできた定員10家庭ほどの小さな園です。働くことを諦めない、けれど子育ても諦めない、ということがメインのコンセプトになっています。

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アーティストのお母さんや保育者によって工作の時間もあったりする。

日本に住んでいたころ、私は上の4人の子ども達を自然育児やシュタイナー教育の小規模な幼稚園に通わせていました。そこと比べると、親達と園との関わり方も、先生、教育方針なども、今の園は随分違うところがあるのですが、ここにいてもどこか同じような気持ちで安心していられる、そして子どもたちものびのびとやっている。

そんな様子を見ていると、どんな場所にいても、出会ったその場をまずは親が信頼して関わっていくことが、子どもがその場で安心して過ごすことにとっては大事なのかもしれない、もしかすると、それは教育方針や理想より大事なことなのかもしれないとさえ思うようになりました。そうは言っても、やっぱり幼稚園は選びたいですけどね(笑)

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園庭から出て近所の公園で遊ぶ子どもたち。
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園外にでて児童館のような場所で自転車を使ったアクティビティを体験しています。

乳児を預けて働く母を支える、というこのキータには賛否両論あるようです。でも、子育てにはいろいろな形があるもの。まずは家庭の在り方や仕事の在り方に多様性を認めて、そのなかで、子どものためにベストを尽くせるような子育ての環境を周りがサポートし、保育者と親とが一体になっていけたら、それは教育法の違いを越えて子どもたちを守り育てる一つの手だてになるのではないかと思うのです。

私の子どもが通うのは、まだ始まったばかりの保育園。保育法もまだ発展途上で、問題は次々と出てくるのですが、月に一度ほどの親のミーティングを重ね、問題点を話し合い、少しずつ変わってきています。最近は食育の観点と子どもたちにも自然に親しんで日々を送って欲しいという願いから、親たちみんなで保育園のちっちゃい庭に、食べられるガーデンを作ったりもしました。

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先日親の手によって作られた小さな庭のガーデンにて。実がなるのが楽しみ!
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月に一度の朝食会と親の集まり。色々な議題から世間話、フリーマーケットまで(笑)オフィスの一部で行います。

またランチがオーガニックのケータリング給食というのもこのキータのコンセプトの一つ。今やオーガニックにこだわる親がとても多くなっているからです。

ですが、お弁当を持っていってもオッケー。こちらでは「みんなが持ってないので持ってこないで下さい」ということは基本的に言われません。自分の子どもだけがおやつをもっていても、全く問題ないのです。「みんな」より「自分」がどうしたいかを尊重してくれるのはこの国の在り方なのでしょうか。それともこの園の在り方なのか。まだわかりませんが、周りを気にしないで行動できる、という点は明らかにベルリンならではのように感じています。それは特にもともと文化や風習の違う外人である私のような親にとっては大変ありがたい子育て環境といえるでしょう。

ただ、都会の真ん中にある保育園なので園舎も狭く、園庭もほぼない。そんな状態ですから、お散歩には近所の公園にでかけたり、月に何回か森に出かけたりして外遊びを補っています。

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園舎も狭いので地域のスポーツホールを借りて室内運動をしています。

ベルリンは子ども向けの施設、演劇も盛んなので、人形劇を見に行ったり、子どもが遊べるホールに出かけたりと先生方も工夫を凝らして一日のプログラムをしてくださっています。ドイツでは子どもたちが何かを体験すること、何かを習得することは教育のなかでとても重視されているようなので、体験の場所というのには事欠かないのもベルリンの子育てで助かるところ。このようにして、無いものを補いながら都会ならではの保育が展開されています。

こんな風にベルリンで出会った保育園でわたしは、様々な働くお母さんやお父さん達と試行錯誤しながら、理想と現実の間で育児の可能性を見いだす、という子育てに挑戦中です。

今や子育ては放っておいてできるものでも、時間の許す限り子どもといればいい、というものではなくなっているようです。親の誰もが忙しいという状況、そして都会という限られた空間の中で、いかに子どもの幸せを中心に置きながらも、暮らしを維持し親も自分らしく生きて行くのかという課題は、きっと多くの人が抱えているのではないかと思う今日この頃です。

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日登美(ひとみ)

18歳よりファッションモデルとして雑誌、広告等で活躍。その後、シュタイナー教育、マクロビオティック、ヨガなど、自然な子育てと暮らしを提案する。2010年、オーガニックベース 奥津典子氏のもとで学び、「KII認定マクロビオティックインストラクター」の 資格を取得。同校の講師も務める。2012年、ドイツ人数学者と再婚、翌年、生活の拠点をブラジル・サンパウロに移す。2015年、ドイツへ引っ越し三女を出産、三男三女の母となる。現在ベルリンにて自宅および出張で日本人、外国人に向けてマクロビオティック料理教室や日本の伝統食を手作りするワークショップを開催している。

instagram:https://www.instagram.com/hitomihgashi/

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