
連載:オーガニック子育て@ベルリン 子どもは未来。ベルリンの公園で思うこと
この連載は……
モデルの日登美(ひとみ)さんは、ドイツ人数学者の夫とともにベルリン在住、2歳から17歳まで、6人の子どもを持つお母さん。いっぽうで、マクロビオティック料理教室や日本の伝統食を手作りするワークショップを開催するなど、マクロビオティックインストラクターとしても活躍。この連載では、ベルリンでのオーガニックライフを、食、子育て、そして暮らしを通して、綴っていきます。
動物たちと触れ合える公園
ベルリンという街をひとことで言うなら「グリーン」と言っても過言ではないほど、都会の中にたくさんの緑が保たれています。
街を歩けばそこここに公園がある。街路樹は大きく、古い樹は建物同様「Denkmal」という古い物を守る制度で保護されているそうです。ベルリン郊外には森があり、湖があり、夏には泳ぐことが、冬にはスケートもできたりします。
なかでも公園の充実ぶりには目を見張ります。遊具は木製であったり、アスレレチックや工夫されたデザインのものが多く楽しそうです。何もない大きな原っぱのような場所もあり、好きな所を選んで遊びにいけば飽きることはありません。
我が家のお気に入りは「Kinder Bauarnhof 」という、農場がベースとなった公園です。馬や羊などがいて、餌をあげたり、触ったりもできるので、都会にいながら子どもたちが自然と触れ合う機会を持つことができます。

まるで「自然テーマパーク」のようですが、入場料などない場合がほとんどです。中に入ると動物がいて、餌用の野菜等を買えば、あげることができます。やぎや羊、馬や鶏、うさぎなどを触らせてもらえるので子どもたちは大喜びです。

最近気に入っているBauarnhofは都会のど真ん中にありながらひとつのオアシスのようになっていて、動物達がいるほか、公園のトイレはコンポスト、建てられた施設はソーラーシステムや屋根の上に草を生やした土壁のもの、など、パーマカルチャーやエコハウスのシステムが取り入れられています。


広場には遊具もありますが、それは寄付で置かれている物。ほかにも、プラスチックのおもちゃなどいろいろ置いてありますが、みんなで壊れるまでしっかり使った方がいいという、「ポイ捨てしない」コンセプトを感じます。

広場の側には誰でも寄付できるドネーションコーナーが設置され、そこには本、洋服、靴など、いらなくなったものを置いていけるようになっています。


子どもを遊ばせながらそこでお母さんたちが子どもの靴や洋服を見繕ってもらって帰ることもできる。いらない物を必要な人に無料で渡していくシステムがあります。
敷地の中にはおそらくは壊れて動かなくなった車や大きなトラックと思われる物が置かれ、そこが管理人の居住地になっているようでした。とことん無駄なく、使い回す。自然エネルギーを使い、できるだけエコな建物や環境を作る。そのような場所で子どもたちが思い思いに動物や草花に触れ合いながら遊ぶことができるのです。
この場所で印象深かったのは「Kinder sind die Zukunft」(子どもは未来)と書かれていたポスター。

子どもの健やかな成長は全ての未来です。私たち大人は未来に何を渡してやれるのか……。
言葉と行動をともにすることはやさしいようで難しい、けれどこういう場が街のいたるところにあること、そして子育てする親をサポートしてくれるような場所があることで、子育ては苦しく大変なことだけではないのだと私は勇気をもらいます。
子育ては各家庭の個人的なことのように思われがちですが、実は社会全体とつながっていて、大きな命のつながりや有機的な関わりを成す、大人全体の大事な仕事なのだと自覚させられるのです。

そのような意識をベルリンでは頻繁に感じることができます。男女を越えた育児、国境を越えたインターナショナルな子育て、親か親でないかを越えた子育て、どれもがボーダーレスな感覚です。
このようなオルタナティブ、サステイナブルなコンセプトを実行する場所がベルリンにはたくさんあり、そのことが子育てするうえでも、とても刺激的だと感じています。