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Column オーガニック子育て@ベルリン

クリスマスの時期のテーマは「シェアする」こと【日登美のオーガニック子育て@ベルリン】

2018.12.20

この連載は……

モデルの日登美(ひとみ)さんは、ドイツ人数学者の夫とともにベルリン在住、2歳から17歳まで、6人の子どもを持つお母さん。いっぽうで、マクロビオティック料理教室や日本の伝統食を手作りするワークショップを開催するなど、マクロビオティックインストラクターとしても活躍。この連載では、ベルリンでのオーガニックライフを、食、子育て、そして暮らしを通して、綴っていきます。


大切にされている「セントニコラウスの日」

さて、引き続きドイツの年末の様子をお届けしようと思います。

アドベントというクリスマスの四週間前からのお祝いがこちらでは盛んだと前回書いたのですが、もうひとつこちらで大事にされているのが、「セントニコラウスの日」の12月6日。

セントニコラウスはサンタクロースの元となった実在したと言われるキリスト教の聖人で、貧しい家庭にお金が入った袋とオレンジやクルミ、蜂蜜で焼いたケーキなどを置いていって助けたとか。そんな伝説があって、今でも12月5日の晩に子どもが自分の長靴を綺麗に磨いておくと6日の朝、長靴の中にオレンジやクルミ、ケーキなどの贈り物がもらえるというものです。

それが転じていつの日かクリスマスには靴下をつるして、サンタクロースがやってきてとなったそう。ともあれ、基本的にドイツではクリスマスというのはこのセントニコラウスの日といっても過言でなく、子どもたちはとても楽しみにしていますし宗教的にも大事な意味がある様子。もちろん今のご時世ですからクリスマスの当日にもプレゼントがやってくる家庭がほとんどでしょうが、そこはサンタクロースでなくクリスマスツリーの下に家族が集い贈り物を贈りあうというスタイルが多いよう。そして我が家もそのスタイルでやっています。

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こんな風にツリーの下に届いた贈り物が置かれています。ちなみに毎年蜜蝋ロウソクをオーナメントにしています。

こんな風に冬のドイツの季節の行事をみていると、今の一般的な風習よりも古い伝統が守られている事が多いなぁと感じます。例えばハロウィンなどはこちらではそこまで盛大にやっていないようですが(大きな子どもたちは楽しそうに仮装していましたが(笑)、その後の11月11日には聖マーティンのお祝いがあります。聖マーティンも古い聖人で貧しい人や困った人に自分のマントを半分に切って分けてあげるというエピソードが歌になっているほど。夫が子どもの頃にはハロウィンはやらないけれど、聖マーティンのお祭りには人の家を訪ねて聖マーティンの歌を歌い、かわりにお菓子を頂いたとか。そして12月にはアドベントが始まりセントニコラウスのお祝いがある。

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子どもの保育園にもニコラウスがやってきました。こちらいわゆるサンタクロースの格好ですがね(笑)
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ニコラウスの贈り物はみかん、木の実、ケーキ、そして小さなおもちゃ。

ドイツ人の友達の話によると、この時期になるとドイツの人々は募金やチャリティをするのだとか。一年の感謝と貧しい人への手助けの意味を込めて。「シェアする」というのがクリスマスの時期の一つのテーマだと言っていました。そんな話を聞きながら、セントニコラウスや、聖マーティンや大昔の聖人たちの貧しい人を助ける姿や慈悲深い心に思いを馳せると、なんだか今まで思っていたクリスマスとは違う景色が見えてきました。

ベルリンの町中にはたくさんのホームレスがいます。道ばたで物乞いをしたり、お金を集めて回る貧しい人も沢山います。ベルリンに来たばかりの時にはちょっとしたカルチャーショックだったのですが、今では電車の中で物乞いの人が来ても、道ばたでお金をくださいと言われても当たり前になっていました。そしてそういう物乞いの人の裏にマフィアがいたり、という裏の事情もあったりしてむやみにお金をあげればいいわけではないということも知りました。けれど、この寒さの中、家なしの生活を強いられている人をどんな理由であれ見過ごすのは心が痛むものがあります。

そう思っていた矢先、5歳の息子といつもの様に駅に向かっていると車いすのホームレスがいました。その人はこちらに何も言ってきませんが、通り過ぎるまでの間息子はじ〜っとその人を見つめていました。そしてその場を離れてから「ママ、今度お金がなくて困っている人には少しお金をわけてあげようよ」と言いました。

世の中にはいろいろな事情で困っている人や助けが必要な人がいます。そういう存在を目の当たりにしなければ気がつかないほど一般的には豊かな暮らしをしている今の世の中ですが、それでもさまざまな理由で困っている人や苦しんでいる人がいるのは事実です。お金をあげれば解決できる問題ではないとか、貧困や犯罪などについても考えるべき事はありますが、町中でいろいろな状況を目の当たりにできる環境に住んでいるからこそ、非力ながら自分に何ができるのかをいつも心に留めておきたい。そして息子の言った「わけてあげようよ」という一言の簡潔さと素直さにハッと目が覚める思いがしたのでした。

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日登美(ひとみ)

10代よりファッションモデルとして雑誌、広告等で活躍。その後4人の子供を授かり自身の子育てから学んだ、シュタイナー教育、マクロビオティック、ヨガなどを取り入れた自然な暮らしと子育てを提案した書籍を多数出版。食についてもクシマクロビオティックアドバイザー修了後よりマクロビオティック料理を教え始め、オーガニックな家庭料理を提案したレシピ本を出版する。2013年ドイツ人数学者と再婚しブラジルを経てドイツ、ベルリンに移住。ベルリンではドイツ発祥の自然療法である国際ヒルデガルト協会認定ホリスティック医療コース修了しヒルデガルドヘルスケアドバイザーを取得。現在はオーガニック、ナチュラル、ヘルシーをモットーに台所からの食と暮らしと子育てのWSなど行っている。三男三女6児の母でもある。


instagram:https://www.instagram.com/hitomihgashi/

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