
連載:オーガニック子育て@ベルリン 今年もこの季節がやってきた! 異国の台所での味噌つくり
この連載は……
モデルの日登美(ひとみ)さんは、ドイツ人数学者の夫とともにベルリン在住、2歳から17歳まで、6人の子どもを持つお母さん。いっぽうで、マクロビオティック料理教室や日本の伝統食を手作りするワークショップを開催するなど、マクロビオティックインストラクターとしても活躍。この連載では、ベルリンでのオーガニックライフを、食、子育て、そして暮らしを通して、綴っていきます。
4度目の味噌つくり、3度目の麹作り
ベルリンもまだ2月なのに例年になく暖かい日が続いています。外にでて呼吸をするともうこの空気感は「春」というほど「気」が変わっていることに驚きます。
そしてそれを知ってかベルリナー達はこの時期になるとお日様が出るやいなや、こぞって外に出て日光浴をしています。お日様のあたる川縁、広場、公園、はたまたカフェも外側の席から埋まっていくという有様。
暖かいから、気持ちいいから、だけでなく、「そうせずにはいられない!」というほど皆この時期の暖かさ、お日様の光りを切望してやまないのです。

確かに、ドイツの冬は長く暗く厳しいので、春の訪れはとてつもなく嬉しいです。日の出が徐々に早くなっていく、日照が長くなっていく、という当たり前のことがどれだけうれしいかここに来てわかった気がします。
そして日が長くなるというだけでこれだけ自分がポジティブになれる、ということにも驚いています。
いやはや、イースターの時期までまだ二ヶ月ほどあるのに既に春めいてきた今年、異常気象を手放しに喜んじゃいけない気もしますが、あったかいのはうれしいなぁ。

さて、そんな冬と春の合間の時期にはやはり例年のあれです。「麹、味噌つくり」ちょうど昨年の今頃もせっせと自家製麹を仕込んでおりましたが、今年もやってきましたよ、その季節が!
今年はベルリンで4回目の味噌つくり。そして3回目の麹作り。毎年今の時期に毎日のように続けて麹を作って暖かくなるころには徐々に回数が減っていく。
なので勘を取り戻すのに少々時間がかかるのですが、やはり繰り返してやることは次第に体にしみこむものなのですね。

今年も回を重ねる毎に発見があり去年とはまた違う風景での麹作りを楽しんでいます。また発酵物というのは一合一会という所があって、毎回違うから変化を楽しめる。今を楽しむ。そんな捉え方もできる。まるで人生哲学のようですがそれが世界的に今発酵ブームと言われるゆえんの一つでもあるかもしれませんね。
そして今年は初めて麹作りの過程も子供と一緒にやりました。蒸したてのお米をばらしたり、さましたり、味見をしたり。
子供らは「蒸したお米はグミみたいだね」と喜んでつまみ食いしていました。普通に炊いた米との食感の違いもわかるのですね。手作りを通して色々な発見をしているのはどうやら大人の私達だけではないようです。


こんな風にして気がつけばここがベルリンであることを忘れてしまうほど、子供たちと一緒に日本の伝統を台所で再現している日々。
ふと気がつくと、この春の陽気とお日様を待ちわびて思わず外に飛び出してしまうベルリナーのように、この時期になると私も子供たちも麹をつくり、味噌を作らずにはいられない!という風になっているのに気がつきました。
大きな子供たちにはもう10年来続いている味噌つくり。小さな子には季節の行事としてしみ込み始めた味噌つくり。異国の台所だからこそ、日本の伝統を我が家のスタイルで大事に作り続けたいと思っています。