連載:オーガニック子育て@ベルリン アスパラはドイツの筍!待ちに待ったシュパーゲルこと白アスパラガスの季節
この連載は……
モデルの日登美(ひとみ)さんは、ドイツ人数学者の夫とともにベルリン在住、2歳から17歳まで、6人の子どもを持つお母さん。いっぽうで、マクロビオティック料理教室や日本の伝統食を手作りするワークショップを開催するなど、マクロビオティックインストラクターとしても活躍。この連載では、ベルリンでのオーガニックライフを、食、子育て、そして暮らしを通して、綴っていきます。
今年初のシュパーゲル
いよいよ五月、待ちに待ったシュパーゲル(白アスパラガス)の季節となりました!シュパーゲルと新ジャガイモ、それにはしりのイチゴなどのベリー類が山積みになった農家の屋台が並んでいるのをみかけるようになると、本格的に春から夏に向かっていくのだな、という感じでとても嬉しくなります。やっぱり長い冬の後の春、夏はどこでも嬉しいもの。ドイツの人たちはこの季節のシュパーゲルには特別な思いがあるらしく、どこにいっても「シュパーゲル食べた?」的な会話が繰り広げられているのも微笑ましいものです。
というわけで、我が家でも先日、今年初のシュパーゲルを食べました。色々な食べかたがあるのだけど、私はただ茹でてバターソースで食べる、というシンプルなレシピが一番好きです。ただ茹でるといっても、皮をピーラーで剥き、その皮を捨てずに茹でる時に一緒にお湯の中にいれるのがポイント。茹でる時には大さじたっぷりのバターとお塩を少し。このゆで汁は皮からも美味しい出汁がでているので捨てずにリゾットにしたり、スープにしたり無駄無く食べます。簡単なレシピでシンプルな材料だけなのにこれがとっても美味しいの。
バターは日本と違ってドイツでは塩が添加されていないのが主流。基本的にはSuessrahmという無発酵のバター、そしてSauerrahmという乳酸菌を加えて発酵させたバターがあり、我が家ではSauerrahmを使っています。味はまるでさわやかなクリームのよう。ドイツに来て一番好きになった食べ物の一つです。このバターをおなべで温めて溶かし、細かく砕いたパン粉のようなものと一緒にソースを作ります。そしてそれと一緒に飲むのが「Maibowle」というスパークリングワイン。白ワインに炭酸水、そしてWaldmeister(くるまば草)という名前のハーブのエキスがはいっています。このハーブ今の季節ならではみたいで、アイスクリームや子供用のジュースもあるほどこちらではポピュラーなハーブ。味は全然ちがうけど日本でいうヨモギ的な?ドイツの春の薫りがほのかに美味しく、これも是非今の季節に飲んでおきたいもの。
春の物と言えば日本でも筍が出ればわくわくするし、灰汁抜きが面倒なのにどうしても食べたくなる野草やら、春の野菜ってなんか特別ですよね。ドイツに来て三年経ち春のアスパラを見る度にわたしは「アスパラはドイツの筍だな」と思う様になりました。調理のハードルは日本の野草よりはるかに低いのだけど、食卓の上に収まりきれないほどの春の喜びを連れてきてくれるあたり、非常に日本の野草たちと近いのではないかと思っています。ドイツでもそんな季節の喜びを食卓の上から感じる事で、文化や環境の違う日本ともなにか通じるものがあるなぁと嬉しいような気持ちになるのです。