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Column オーガニック子育て@ベルリン

一般的な保育園とヴァルドルフ保育園を近い時期で体験することで感じた「新たな気づき」【日登美のオーガニック子育て@ベルリン】

2019.07.20

この連載は……

モデルの日登美(ひとみ)さんは、ドイツ人数学者の夫とともにベルリン在住、2歳から17歳まで、6人の子どもを持つお母さん。いっぽうで、マクロビオティック料理教室や日本の伝統食を手作りするワークショップを開催するなど、マクロビオティックインストラクターとしても活躍。この連載では、ベルリンでのオーガニックライフを、食、子育て、そして暮らしを通して、綴っていきます。


ドイツのヴァルドルフ園

ヴァルドルフ保育園(シュタイナー教育の保育園)に下の子供二人が転園して1〜2ヶ月が経ちました。最初に入園した頃にはならし保育があり、1〜2週間子供と保育室で一緒に過ごさせていただきました。そのときにみた光景から今回は少しドイツのヴァルドルフ園の様子をお伝えしようと思います。
以前いた保育園もとても楽しく通わせていただき、親子共々良い友達もでき、先生とも仲良く大好きだったのですが、「ヴァルドルフ」というコンセプトがあるだけあって、こちらの園もまた違ったよさがあります。

以前通っていた保育園
以前通っていた保育園。カラフルでワクワクするような室内。使い勝手も子供に合わせてくれています。
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遊具は様々、本に楽器、音に運動と子供の興味で何でも遊べるようになっていた以前の保育園。

今まで我が子たちは日本のヴァルドルフ幼稚園や自然育児系の園で育ち、ヴァルドルフ教育というのは我が家の子育てのベースになっているようなものですが、ここにきて一般的な保育園とヴァルドルフを近い時期で体験することでまた新たに気がついたことなどがありました。

まずは保育園という環境が一つの「おうち」のようになっていることです。空間の作り方、物の設置の仕方、その素材、配色。そういうもの全てに独自のやり方があるのは知っていましたが、改めてその心地よさを感じています。部屋は全て自然素材、淡い色で統一され、おもちゃも石や木や布、琺瑯やアルミなどシンプルな物ばかり。また部屋の中には小さなキッチンがついているので朝、部屋の中にはいると先生がそこでおやつを作っています。時にはパンの焼ける匂い、時にはフルーツを刻む姿。そういう一つ一つの要素が「おうち」にいるような安心感につながる。大人の私でさえそのように感じるのですから、感覚の鋭敏な子供たちは、より環境からの印象をたくさん吸い取っているのだろうな、と想像します。これは決しておうちがこうであるべき、というモデルとしてではなく、ただ単にこういう環境を人は「家」だと感じるのではないか、という気がするのです。自分が守られ暖かく迎えられている場所、その象徴としてこのような環境をヴァルドルフ教育では整えているのかな、と改めて感じました。変わって、以前の園では「子供が好きな物」を中心とした部屋の作りでした。子供が食べやすい机、子供の好むおもちゃがたくさん用意され、ちょっとしたアミューズメントパークの様な環境だったと思います。子供が喜ぶだろう、というのが印象的な環境で、コンセプトの違いはありますが「子供の為に」というのは同じなのかもしれません。

自然素材
ヴァルドルフ保育園の遊具はシンプルな自然素材ばかり。子供は想像力を広げてよく遊びます。
おやつ
保育のお部屋では毎朝おやつを準備します。子供と一緒にお皿を並べたりまるで大きな家族のようです。

また園で子供たち、先生との様子をみると、とても顕著な違いとしては先生の子供たちに対する言葉がけや、遊びへの導入、干渉が圧倒的に少ない、というのがあります。見守っているという言い方が近いでしょうか。子供たちが自らイメージして遊んでいく様子を見守り、言葉がけで正すこともありますが、先生も一人の大人として、その場に「存在」しているのです。ある先生は編み物をしながら、ある先生は木工をしながら、熱心にその「仕事」に向かっています。もちろん、子供たちにしっかりと目を配りながら、その「仕事」に興味を持つ子供にはそれを教えてあげたりもしています。その様子は生活がある、というか生きているという風に感じました。

ヴァルドルフ保育園をみていると、先生と子供たちという大きな人間の輪が有機的に生きている、活動している。というように感じるのです。
そう思った矢先に、保護者会がありまして、先生からこんな話を聞きました。「私はここで教育者として、保育者としているわけですが、実はそのように思ってここにいることはありません。私は教育者である前に一人の人として、子供の前にいます。そして私という人の生きる姿を子供は見て育ち、それこそが教育、と呼ばれる事よりも、子供が真に欲していることだと思っています」と。これまたやはりもうひとつの家族のような印象ですね。

どうやら「教育」ということのコンセプトが一般的な保育園ではしつけや規範を教え社会の秩序を伝える、ということが一つの大きな目的であるのに対し、ヴァルドルフ教育ではもっと漠然とした「命や人生、生きる事、人生の喜び」ということを自ら発見し、生み出していくことに重きを置いている、ということのようです。ヴァルドルフ教育が「自由への教育」「芸術の教育」と呼ばれるのはそのせいかもしれません。
どちらの教育の要素も人の成長には欠かせないものだと思います。両方の良いところを取り入れながらこれからも親子共々更に育っていけたらいいな、と思っています。

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日登美(ひとみ)

10代よりファッションモデルとして雑誌、広告等で活躍。その後4人の子供を授かり自身の子育てから学んだ、シュタイナー教育、マクロビオティック、ヨガなどを取り入れた自然な暮らしと子育てを提案した書籍を多数出版。食についてもクシマクロビオティックアドバイザー修了後よりマクロビオティック料理を教え始め、オーガニックな家庭料理を提案したレシピ本を出版する。2013年ドイツ人数学者と再婚しブラジルを経てドイツ、ベルリンに移住。ベルリンではドイツ発祥の自然療法である国際ヒルデガルト協会認定ホリスティック医療コース修了しヒルデガルドヘルスケアドバイザーを取得。現在はオーガニック、ナチュラル、ヘルシーをモットーに台所からの食と暮らしと子育てのWSなど行っている。三男三女6児の母でもある。


instagram:https://www.instagram.com/hitomiskuche/

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