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Column オーガニック子育て@ベルリン

ベルリンの中学校、先生も友達もゲイをカミングアウト。 その時娘たちは?【日登美のオーガニック子育て@ベルリン】

2019.11.20

この連載は……

モデルの日登美(ひとみ)さんは、ドイツ人数学者の夫とともにベルリン在住、2歳から17歳まで、6人の子どもを持つお母さん。いっぽうで、マクロビオティック料理教室や日本の伝統食を手作りするワークショップを開催するなど、マクロビオティックインストラクターとしても活躍。この連載では、ベルリンでのオーガニックライフを、食、子育て、そして暮らしを通して、綴っていきます。


ベルリンの中学校、先生も友達もゲイをカミングアウト。 その時娘たちは?

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息子のクラスメートたちと。

上の子供達の通う中学校はポルトガル語圏に母国語をもつ子供達が多く在籍しています。ブラジル人、ポルトガル人が多く、アフリカの子供達もいて、我が家のようなアジア人もいるいわば多国籍なクラスで学んでいます。

この学校に通うようになって、あるいはベルリンで学校に通い始めて上の子供達の会話の中で「差別」というのが特に強くタブーとして意識されていることに気がつきました。ちょっとした会話でも子供たちは人を差別する発言に対してとても敏感なのです。ある時私が意図せず、「あーあのお友達のちょっと色の黒い子ね」というような言い方をした時子供達が「ママ、それはrassistisch(人種差別主義)な発言だよ。」と言われ、そのつもりがなくても外見についての発言に気を付けなくてはならないということを改めて思ったものです。

とはいえ、子供達の国籍間の外見から来るからかいは日常茶飯事。日本人などアジア人なら必ず目を釣り上げる仕草や、犬を食べるだろ?という質問を浴びせられ、嫌な気持ちをすることもありますし、それを友達間の気のいい冗談にすることもあるようです。特に我が子たちの通う学校は黒人もいる、アジア人もいる、アラビア系もいる、ということでドイツ語の発音、見かけ、習慣などをからかいや冗談のネタにして互いにふざけることは当たり前なよう。けれどだからこそ、お互いにどこまでが不快でどこまでが気心しれた友達だから言えることなのか、という際を互いに弁えるようになり、自分も国籍や様々な違いで嫌な思いもするからこそ、学校で差別についての教育が行き届いているからだけでなく、自主的に差別について意識するようになっているとも感じます。

またある時、娘がクラス旅行から帰ってきて「~先生ゲイで恋人いるんだってー」と言い出しました。どうしていきなり?と思ったら、子供達が先生に「先生ってゲイなの?」聞いてみたら素直に僕の恋人は男の人だよーって話してくれたということで。そして、へーそうなんだーってみんなが注目したのは先生がゲイだってことよりも、どんな人が好きでどんなタイプの彼なのかってことだったというのが面白いなと思ったのです。

なぜならこの子供たちは、その人がどんな人間かという時、国籍やカテゴリーだけに注目するのでなく、その人自身を知ることに興味を持っている、という風に思ったからなのです。

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ベルリンの街を子供と歩く。出会う人見る人色々いて楽しい。

またちょっと前に娘のクラスに海外から転入してきたクラスメイトも実はゲイの男の子だったという話もずいぶん経ってから聞きました。彼は娘たちのグループでよく一緒に遊んでいるようで、彼のことをゲイだとして紹介されたのはずいぶん時間が経ってから。彼の形容詞としてゲイという言葉が出なかった。娘たちからその子の特別な話を聞かないことが何より「普通に」一緒に過ごしている、ということの証かな、と思いました。こんな風に子供たちが個性や違いはたくさんある にもかかわらず逆にそこに着目することが実はそんなにないというのはなんとも面白いパラドックスです。

もしかすると自分もその違いになりうる、もしくは一部だという意識がどこかで違いを特別視しない態度に繋がっているのかもしれません。またはいわゆる「違い」が彼らの中では違和感にはなっていないのかもしれない。そう考えると違和感というのはどこから生まれてくるのか、ということも考えてしまいます。その違和感が区別で終わらず、差別に繋がっていくそのきっかけはどこにあるのでしょう?

人にはいろんな違いがあって、いろんな同じがある。その中で嫌な気持ちもいい気持ちもする。頭でなく心が動くことは多様性を受け入れることにつながり、心でなく頭が働くことで差別が生まれる、そんな気もしています。

道徳を道徳として教えることは簡単だけど、やはり頭の理解と心の理解が繋がるには体を通しての体験が意味を持ってくる。そう思うと頭と心と体を繋げて暮らすことが子供だけでなく大人にとっても大事なんじゃないかと思えてきます。

ともあれ、こういう在り方がベルリン全体だとは言いませんが、国籍の違いも含めて性差別についても理解し、個性や多様性を受け入れていこうとしている社会だという印象を私は持っています。

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日登美(ひとみ)

10代よりファッションモデルとして雑誌、広告等で活躍。その後4人の子供を授かり自身の子育てから学んだ、シュタイナー教育、マクロビオティック、ヨガなどを取り入れた自然な暮らしと子育てを提案した書籍を多数出版。食についてもクシマクロビオティックアドバイザー修了後よりマクロビオティック料理を教え始め、オーガニックな家庭料理を提案したレシピ本を出版する。2013年ドイツ人数学者と再婚しブラジルを経てドイツ、ベルリンに移住。ベルリンではドイツ発祥の自然療法である国際ヒルデガルト協会認定ホリスティック医療コース修了しヒルデガルドヘルスケアドバイザーを取得。現在はオーガニック、ナチュラル、ヘルシーをモットーに台所からの食と暮らしと子育てのWSなど行っている。三男三女6児の母でもある。


instagram:https://www.instagram.com/hitomiskuche/

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