連載:オーガニック子育て@ベルリン 気軽にアートに触れ合える暮らし。 ベルリンライフの醍醐味。
この連載は……
モデルの日登美(ひとみ)さんは、ドイツ人数学者の夫とともにベルリン在住、2歳から17歳まで、6人の子どもを持つお母さん。いっぽうで、マクロビオティック料理教室や日本の伝統食を手作りするワークショップを開催するなど、マクロビオティックインストラクターとしても活躍。この連載では、ベルリンでのオーガニックライフを、食、子育て、そして暮らしを通して、綴っていきます。
気軽にアートに触れ合える暮らし。 ベルリンライフの醍醐味。
冬が長いドイツでは日照時間も短いし、お天気が悪いことも多いので子どもが外で遊べないということも日本より多いと思います。けれどその分子どもも楽しめる芸術、アートに触れる機会が街に溢れています。
本場ともいえるドイツの音楽シーン。オペラやコーラスなどクラシックな本物に出会える機会が多いのも嬉しいところ。私は音楽に詳しいわけでも、音楽をずっと嗜んでいるわけでもありませんが、小さい頃から美しい音楽に触れるチャンスがたくさんあるというのは、ベルリンに住んでいいなぁ!と思ったことの一つでもあります。音しかり、雰囲気しかり。素晴らしい伝統的な建物の中に入るだけでも何か見えない栄養をいただいたような気になるのは私だけ?感受性の高い子どもたちはもしかすると、私たち大人よりうんとそういう場の空気や雰囲気を感じ取っていたりするかもしれませんね。年頃の娘を連れてドレスアップしてオペラに行く。そんな楽しみは日頃のいさかいを(笑)忘れさせてくれるひとときでもあります。
そしてドイツのすごいところは、伝統ある会場やオペラでもかなり手頃な値段で観劇できて、かの有名なベルリンフィルも高額な席だけでなく、学生や子供向けに安いチケットもあるところ。そういう風に若者や子どもや経済格差があっても、多くの人が気軽に演劇やアートや音楽に触れる機会を作ろうと政府がインベストしているというのはドイツに来て素晴らしいなぁと思いました。
またアートといえば壁の落書きから、横断歩道の待ち時間にジャグリングをする人、道端や電車の中で楽器を演奏する人など幅広く様々なジャンルが混在しているのも見どころ。いろんな国籍のいろんな人が町中でいろんなものを披露していて、街自体がアート、エンターテイメント、そんな空気があるのがベルリン。その多様性もベルリンのアートと呼べるかもしれません。そういう雑多な雰囲気を肌で感じられるのが、ここでの暮らし、子育て。
休日ともなれば美術館や博物館は、幼稚園児以下の子どもや乳幼児もたくさんやってきます。まるで寒くて公園に行けないからちょっと寄るか、ってな感じ。
そして大きな劇場だけでなく、子ども向けの小さな人形劇や演劇、オペラやコンサートと年齢に応じて楽しめるアート活動が盛んなのも面白いところ。しかも結構盛り上がってる。文化として根付いている。
ついつい世の中や話題がテレビやネット一辺倒になりがちな今の時代に、メディアを介せず楽しめる生の娯楽ともいえるアートを幼い頃から楽しめる、そういう機会が当たり前にあるっていうのは特に子どもたちにとって、これからもっと必要になってくるような気もします。
そしてその体験はどこか本物の食卓を囲むということと似ているなぁとアートと触れ合う日々の中で思うようになった私です。