子育てママのお悩み解決メディア

Column オーガニック子育て@ベルリン

閉鎖から3週間、時間と共に変わるベルリンの今【日登美のオーガニック子育て@ベルリン】

2020.04.10
いつもは出勤とショッピングで賑わう中心地もほとんど人影もなく。

この連載は……

モデルの日登美(ひとみ)さんは、ドイツ人数学者の夫とともにベルリン在住、4歳から19歳まで、6人の子どもを持つお母さん。いっぽうで、マクロビオティック料理教室や日本の伝統食を手作りするワークショップを開催するなど、マクロビオティックインストラクターとしても活躍。この連載では、ベルリンでのオーガニックライフを、食、子育て、そして暮らしを通して、綴っていきます。


学校閉鎖からもうすぐ3週間。一向に減る様子の見えない患者数の増加と睨み合うかのように、いろいろな規制が厳しくなり、今のベルリンでは必要最低限のお店(食料品店、薬局、役場、郵便など)のみ営業が認められ、レストランなどはテイクアウトのみ可能という状態、ショッピング街は軒並みゴーストタウン化しています。食品店には粉類の欠品が多く見られるものの、意外と日常生活には問題ないので家にいるといつもの毎日が続いているような感じです。

けれどその日常も様々で、アーティストや自営業の多いベルリンでは今後の経済に大きな不安を抱える人、すでに今の状況でも生活が困窮している人も多く、政府の援助が始まったところですがすべての人には追いついていない状況です。また世界トップの医療設備を誇ると言われるドイツ、まだ医療機関に余裕はあるようですがそれでも医療関係の方々の日々の努力は絶え間なく、思いがけない別れを経験する人も多く、その悲しみは想像を絶し胸が痛みます。まるで日常と 非日常が、隣り合わせにある。なんとか日常を保つべく今なお働いてくださっている方に感謝が募る一方、先行きはまだわからず、誰もが不安を抱えている。ほんの数週間前には想像もしなかった今を生きています。

日登美PH2
公園の遊具やトレーニングスペースは使用禁止、立ち入り禁止のテープがあり誰もいない。

また家から一歩外にでると、この数週間でいろいろなことが変わってしまったという気持ちになります。特に他人との距離をとるソーシャルディスタンス。1.5m以上の距離を保つということに誰もが神経を配っていることは感染予防に重要ですが、緊張感があるのも事実。だから必要あって外を歩いていても、人が近づくとふと身構えてしまう。 触れ合うことが当たり前の人間関係が真逆でないと機能しないというのは体験してみるのと想像するのでは随分違いました。

日登美PH3
買い物客も他者との距離をとるテーピングがどの店にも
日登美PH4
レジを待つ列も自主的に間隔をとる人々。

そして建物も店もそのままの形であるのに、街には活気が消え、人が消え、何もかもが見えないところでは決定的に変わってしまったというこの感じ。家にいるといつもの穏やかな日常で、ご飯も食べれて、家族も一緒にいる。けれど街に一歩出てみると、見えない破 壊が忍び寄っているのをありありと感じる、にも関わらず以前と変わらない風景がある。この後再び動き出すときには世界はどうなっているのだろう、そう思うようになりました。

けれど一方で、外に出にくいお年寄りの代わりに買い物をしたり、手に入りにくいトイレットペーパーなどを分けあったりといつもよりご近所で助け合いも起こっており、悪いことばかりではありません。またインターネット上で友達や家族と会話することの方が多くなり、バーチャルな交際が日常化しています。人との距離が近くなったり、遠くなったりと、人間関係にも変化が起こっています。

日登美PH5
他者との距離を取り空いてる時間になんとか子供を外に出せるのはまだありがたい状況です。

ベルリンでは外出は自粛というルールですが、健康を維持するための他人との距離を保った散歩は許可されており割と多くの人が公園や街の隙間を見つけて新鮮な空気を吸いに外出していますが、ベンチで座っていたり長居すると警察にコントロールされるようになりました。それも今後の患者の増加の様子などで規制が厳しくなる可能性もあります。

けれどそれに反対する意見もあるのです。なぜならあまりにも厳しい外出禁止によって人がウイルスからでなく別の理由で心身ともに健康を害していく可能性もあるからです。あらゆる人の健康を守るという事がどのような形で実現できるのか。どのようなバランスで行動を規制していくか。問題は長引くほど簡単ではありません。

日登美PH6
街や特に公園近辺はパトカーが頻繁にコントロールしています。

外出禁止令やその罰金のルールは市ごとに違います。簡単に考えたら全て外出禁止にすべき!と言えそうなところですが、そこでも議論が起こっています。というのも、そのような厳しい個人の行動の制限をどこまで政府が命令できるかという権限の限度については 慎重になるべきだと司法関連が論議しているそうです。緊急事態においての決断も、今後の政治や政府のあり方に影響する一大事であるので政治や権力に対しての問題も持ち上がっているのです。

さて、我が家はといえば、街のルールに従い自粛生活ですが日常生活は穏やかです。子供たちは学校がなくても休暇ではないので毎週メールで大量の宿題を課せられています。インターネットを使った授業を始める先生もでてきて、学校はこの状況下でも出来るだけ子供らが健やかに学べるような教育システムを整えるのに奔走し、先生方も一生懸命新しい道を模索してくださっています。それに応じて山ほどメールがそれぞれの子供のクラスから届くのでその処理と対応に私を含め、どの親も四苦八苦しながらなんとか新しい環境を作ろうとしているところです。

日登美PH7
学校閉鎖三週間分の宿題。これを週末にまとめてスキャンし先生に送る。やる方も見る方も大変!

また夫もそうですが特に子供を持つ自宅勤務の方は、この状況でいつも通りに仕事ができない、でもやるべきことはある、という状況を抱えています。それでも多くの人が今、新しく置かれた状況下に適応しながら、以前の暮らしと、今後訪れるであろう新しい状況とを繋げられるように今の暮らしに新しいリズムを見出そうとしているのではないかと想像します。それが今の危機において唯一自分ができる未来への準備であり、希望でもあります。

日登美PH8
自宅勤務中の夫。食卓で子供を見ながらなんとかこなす。会議もスカイプ、ズームなどで。

今までに例をみない家族が密集して自宅に24時間いるという環境。子供を持つ家族の大変さと、そうでない人の大変さと、人々がそれぞれに大変さを抱えて誰もがひっそりとこもっている今。問題や課題は多いけれど、だからこそより良い未来を作れるチャンスでもあるはずだ、と希望しつつ、できることから自分の小さな日常も振り返り、今だからこそここにある自分の暮らしをしっかり味わい丁寧に見つめ直してみようと思っています。

日登美PH9
私は今だから家でできること、と子供らと味噌壺を詰め替えたり、台所仕事にいそしんでいます。

いろいろな変化を経ながらもまだまだ渦中のベルリンです。

日登美

日登美 (ひとみ)

10代よりファッションモデルとして雑誌、広告等で活躍。その後4人の子供を授かり自身の子育てから学んだ、シュタイナー教育、マクロビオティック、ヨガなどを取り入れた自然な暮らしと子育てを提案した書籍を多数出版。食についてもクシマクロビオティックアドバイザー修了後よりマクロビオティック料理を教え始め、オーガニックな家庭料理を提案したレシピ本を出版する。2013年ドイツ人数学者と再婚しブラジルを経てドイツ、ベルリンに移住。ベルリンではドイツ発祥の自然療法である国際ヒルデガルト協会認定ホリスティック医療コース修了しヒルデガルドヘルスケアドバイザーを取得。現在はオーガニック、ナチュラル、ヘルシーをモットーに台所からの食と暮らしと子育てのWSなど行っている。三男三女6児の母でもある。instagram.com/hitomiskuche

日登美さんの記事一覧 →
日登美さんの記事一覧 →