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Column オーガニック子育て@ベルリン

娘の進学から思う思春期の子育てについて

2020.07.10

この連載は……

モデルの日登美(ひとみ)さんは、ドイツ人数学者の夫とともにベルリン在住、4歳から19歳まで、6人の子どもを持つお母さん。いっぽうで、マクロビオティック料理教室や日本の伝統食を手作りするワークショップを開催するなど、マクロビオティックインストラクターとしても活躍。この連載では、ベルリンでのオーガニックライフを、食、子育て、そして暮らしを通して、綴っていきます。


ドイツは州ごとに夏休みの開始が違うのですが、ベルリンはすでに夏休みが始まって1週間経ちました。

我が家には幼児期、学童期、思春期と色々な年齢の子が。それぞれの時期の子育てに必要なことは違うから大変!

この夏、次女がこちらの10年生を終え教育課程一つの区切り。ここから先へはアビトゥーアと呼ばれる大学入学資格プログラムに入っていきます。10年生はMSAと呼ばれる中等教育卒業試験が一斉に実施される大事な時期。筆記試験は数学、ドイツ語、そして 第二外国語を選んで受験します。語学では更に口頭試験があります。

今年はコロナの影響で筆記試験がキャンセルされるなど想定外の事態となりましたが、なんとかプレゼンテーションや口頭試験は実施され、その結果と日頃の成績を合わせての合否となった例外的な年となりました。ドイツ語を始めて5年弱、足りないところはまだまだあるものの、なんとかこの試験をパスした次女。無理かなぁと思っていただけに、家族みんな驚くやら喜ぶやらの嬉しい夏休みとなりました。

娘ドイツで中等教育試験合格! よくがんばりました。

とはいえ、ここに至るまでには何度も先生との面談や娘とのバトルなど簡単ではありませんでした。

こちらでは学習で担任の先生がなんとかしてくれる、ということはあまりないように思います。先生はあくまで先生の時間にできることをやる。それ以上は本人と家庭の責任と役割分担ははっきりしています。

面談をしても、普通の授業以上に補わねばならないことの指摘はしてくれますが、一般的に個人指導をしてくれるということはほとんどありませんので、日本の教育や先生の態度から比べると、冷たいと感じるかもしれません。

また子供はといえば、やらねばとわかっていてもなかなか勉強に向かえない、という年頃でもあり、親としてはヤキモキするのですが、この一件を通して思ったのは結局子供が動き出す動機というのは子供の中にしかないということです。その時を信じて待つ。叱言を言いながら、時には黙って見守る。

この時期なんども三年寝太郎という日本の昔話を思い自分を勇気づけていたのですが(笑)、気持ち的には親の方が試されている感じでした。

また成績や子供の素行において、よく親の責任と言われるのだけど、一体どうやって親の責任を果たせるのかな、ということも思うようになりました。まだ一人前ではないけれど、自我が芽生えている思春期の子供たちに大人の権力を使った無理強いと強制は本質的には意味を持ちません。

その時期の親の責任の果たし方。そこには社会や周りが親に求めていることと、本当に子供が必要としていることにすれ違いがあるように感じるのです。

つまり、社会はしつけと称して親に子供の強制と矯正の責任を求める、けれど子供は自分の中に芽生えつつある力を試したい、それを見守ってほしい、信じてほしいと思っているように私には思えるのです。

社会は子供に「こうあるべき」を求め、子供は「自分で在る」ことを認めることを社会に求めている。親はその間に立っている。そこで双方において親の責任という役割をどのように担うのか。

そんな中で、娘の学校では授業を行う先生の他に、専門的に人種差別やジェンダーなど日頃から子供の様子に気を配り相談できる先生がいたことで親子ともに随分助かりました。異国に住んで5年という状況、大事なテストと進学、成績や友人関係、本人の性格や希望、それに加えてコロナという不安定な社会状況。

その中で彼女にとってふさわしい進路は何か。成績からの可能性だけでなく、将来も見据え、多面的に子供の成長に必要なことを親以外の大人として一緒に考えて下さったことはとてもありがたかったです。

次女修了式後クラスの仲間と。青春ていいなぁ…

教育とは学業だけが目的でもなく、個人の努力だけに求められるものでもない。人の命の育つ方向をあらゆる方面について支え、助けとなるもの、そういう意味もあるのではないかと思うと、特に思春期の子供は学業を通して評価されることで行動の責任を担うことを学びながらも、常に社会的環境から個性的な自分の存在が守られて育つというあり方が特に大事なのではないかと娘の進学を通して思ったところです。

幼児期や学童期の保護が危険から守られた環境と、親が一緒にいてあらゆる手助けをするという実質的な形での関わりがメインであったとしたら、思春期の保護は子供一人一人の個性的な在り方を信頼し、柔軟で寛容な視点によってその子供を理解しようとする親の意識的な関わりがメインになるのではないかと思います。

それを子供は親からはもちろんのこと、社会からも必要としているのではないかなと思春期の子を育てながら思っています。

日登美

日登美 (ひとみ)モデル

10代よりファッションモデルとして雑誌、広告等で活躍。その後4人の子供を授かり自身の子育てから学んだ、シュタイナー教育、マクロビオティック、ヨガなどを取り入れた自然な暮らしと子育てを提案した書籍を多数出版。食についてもクシマクロビオティックアドバイザー修了後よりマクロビオティック料理を教え始め、オーガニックな家庭料理を提案したレシピ本を出版する。2013年ドイツ人数学者と再婚しブラジルを経てドイツ、ベルリンに移住。ベルリンではドイツ発祥の自然療法である国際ヒルデガルト協会認定ホリスティック医療コース修了しヒルデガルドヘルスケアドバイザーを取得。現在はオーガニック、ナチュラル、ヘルシーをモットーに台所からの食と暮らしと子育てのWSなど行っている。三男三女6児の母でもある。instagram.com/hitomihigashi_b

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