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シュタイナー教育とベルリンのシュタイナー幼稚園
2020.08.20 by 日登美 日登美

連載:オーガニック子育て@ベルリン シュタイナー教育とベルリンのシュタイナー幼稚園

日本でも最近知られるようになったシュタイナー教育。我が子たちはみんなシュタイナー幼稚園、小学校を経て大きくなりました。ドイツ発祥のシュタイナー教育だけあってベルリンには20以上、小学校も10以上あるそうです。

末娘の通うシュタイナー幼稚園は隣で羊やロバなどを飼っていて毎日動物とふれあっています。

 シュタイナー教育は20世紀初頭に哲学者、人智学者であるルドルフ シュタイナーによって提唱された教育法です。心、体、魂の三位が健全に育っていくよう独特のカリキュラムがあります。一人一人、本来個性的である人間のあり方を生かしながら芸術を通して行われるその教育は「自由への教育」とも呼ばれています。

お昼寝部屋の様子。それぞれに決まったベッドが用意されています。

シュタイナー教育というと宗教的だとか、ルールが厳しいとか、勉強させないとか、テレビ見ちゃいけないんでしょ? とかそういうことが特に話題になりますが、私の見る限りベルリンではそういう感じじゃありません。

一般的にエコ意識の高いベルリンではシュタイナー幼稚園は大人気で、ウェイティングリストが常にいっぱいなほど。幼児期にはメディアを避けることを勧め、自然の中で手足を動かして過ごすことを大切にしているのはベルリンでも同じですが、堅苦しいことよりも日常に活かせる子育てや暮らしのヒントがいっぱい詰まっているのが本来のシュタイナー教育の良さだと私は感じています。

シュタイナー教育の水彩は色の体験と呼ばれるにじみ絵。我が家ではいまだに兄姉揃って楽しんでいます。
ブラジルシュタイナー学校低学年時の子供からの手作りプレゼント、焼いたパン、編んだ袋、ハーブソルトなど。
ベルリンシュタイナー幼稚園の園庭。緑に囲まれ、手作りの小屋やブランコもあります。

 1日の保育内容は曜日ごとにテーマがあり、一例としては月曜日は森へお散歩、火曜日は水彩画、水曜日はオイリュトミーと呼ばれるシュタイナー教育独自のダンス運動、木曜日はパルクールなど体を動かす遊び、金曜日はパンを焼き、大きな子供 は音楽の体験という感じで進んでいきます。

ここで授業と言わず体験という言葉をつかった使ったのは、シュタイナー幼稚園では先生が教え、子が学ぶという在り方よりも、子供が体験することを通した自発的な学びを大切にしているからです。

 ベルリンは自然豊かな都会ですがやはり街。森への遠足や自然素材の中での遊びがふんだんなのはありがたいですし、家では兄弟がいたり親の仕事で不規則な暮らしだとしても、園でのリズムが穏やかに整っていることで子供の健やかな成長を助けてくれます。

冬が長いドイツでは室内でも運動できるようなものも用意されています。

 またベルリンでは共働きが多いのでシュタイナー幼稚園と言う場所は忙しくてもなるべく自然な子育てをしたいという親の願いを一緒にサポートしてくれているとも感じます。もちろんあまりにも家の暮らしと園生活にギャップがあるのは問題ですが、家で足りないことを幼稚園が助けてくれるというのは親として助かります。

 けれど普通の幼稚園にみられるような、団体演技の練習や発表会はありません。一人一人がその日1日のリズムを刻む。週のリズムを刻む、季節のリズムを刻む。まるでもう一つのお家にいるような環境で、暮らすようにそういう体験を重ねていきながらそれぞれのペースで成長していくことを大切にしています。

朝のおやつの時間。先生と一緒にテーブルを用意します。本格的な木工専用の場所も。

子供たちは年齢に応じて木工や手の仕事を中心に様々な技術を遊びながら自然に身につけていきます。授業として教えるということではなく、先生方がただそこでやっている。それを見た子供が一緒にやりたくなってやる。

「これをやりましょう! やりますよ!」と言わなくても子供たちの好奇心は素晴らしく、放っておいてもなんでもやりたがり、あっという間にできるようになってしまうのは本当に驚きです。中でも手先をよく動かす遊び、手芸は性別問わず男の子も女の子もみんな集中してよく取り組んでいます。

そうして自分の手からいろいろな物を生み出すことが当たり前になるのがシュタイナー園の子供たち。食べ物、縫い物、木工、自分で使うものが自分でできると言う喜び。暮らしを作っている物を自分の手で生み出せるという実感は無意識のうちに何か 命への信頼のようなものにつながっていくように感じています。

天然素材と淡い色調で整えられた保育室は、キッチンと遊び場とが一緒になったもう一つのお家のような環境。

 こうしてみると特別なことをしなくても家事、掃除、料理、裁縫、当たり前の日常の中に学べることはいくらでもある。子供たちにとっては家事も遊びになってしまうのだと、私も自分の子育ての中で気がつきました。そういう暮らしの根っここそ、もしかしたらこれからのバーチャルな時代により必要になってくるかもしれません。  子供は周りにいる大人のやることや環境をあらゆる感覚を通してスポンジのように吸い取って模倣していて、その模倣の力こそが子供の自発的な学びの力であり、ひいては生きる力になるのかもしれない。その過程を大切にしているのがシュタイナー教育の魅力かなと思っています。

日登美

日登美モデル

10代よりファッションモデルとして雑誌、広告等で活躍。その後4人の子供を授かり自身の子育てから学んだ、シュタイナー教育、マクロビオティック、ヨガなどを取り入れた自然な暮らしと子育てを提案した書籍を多数出版。食についてもクシマクロビオティックアドバイザー修了後よりマクロビオティック料理を教え始め、オーガニックな家庭料理を提案したレシピ本を出版する。2013年ドイツ人数学者と再婚しブラジルを経てドイツ、ベルリンに移住。ベルリンではドイツ発祥の自然療法である国際ヒルデガルト協会認定ホリスティック医療コース修了しヒルデガルドヘルスケアドバイザーを取得。現在はオーガニック、ナチュラル、ヘルシーをモットーに台所からの食と暮らしと子育てのWSなど行っている。三男三女6児の母でもある。instagram.com/hitomihigashi_b

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