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森のどんぐり小屋

連載:『Step and a Step』500gで生まれた赤ちゃん 森のどんぐり小屋

前回の長野の話の続きです。

果樹園を訪れると、いつも果樹園のご家族の別荘に泊めてもらっています。森の中にある小さな小屋で(小さいと言っても東京の家と比べたらずいぶん大きですが)、ご家族はその小屋を「どんぐり小屋」と呼んでいます。とてもかわいい名前の小屋を私も奏ちゃんも大好きになりました。車をお借りして、小屋の近くの温泉に行ったりしましたが、私はペーパードライバーなので遠出はできません。奏ちゃんと私ふたりの時は、のんびりとした時間を満喫しています。

まず、奏ちゃんが気に入ったのはテラスに落ちた葉っぱのお掃除。自分の身長よりもずいぶん長いホウキを持って、全身を使って落ち葉を掃きます。

掃除が終わったと思っても、背の高い木に囲まれた小屋なので、すぐにまた葉っぱはひらひらとテラスに落ちてきます、それを部屋から見るたびに、

「おそうじしなくっちゃ!」と、はりきって掃いていました。東京ではマンション暮らしなので、ホウキを使ったことがないことに気がつきませんでした。

掃除の後は、朝の散歩。奏ちゃんは小さな自分用のバッグを持って、歩きながら落ち葉や木の実を拾いました。

私が奏ちゃんに伝わるように、なんでも少しおおげさに「黄色い葉っぱきれいだね! 赤い実きれいだね!」と言うのを真似してか、奏ちゃんも、

「きれいなきのみ」「きれいなはっぱ」「きれいなえだ」と言って、拾った宝物をバッグに詰め込みます。そして、初めて、

「これなに?」

と言って、苔に興味を示したり、枯れ葉の間から顔を出すきのこを見つけたりしました。

最近奏ちゃんは、私の携帯で写真を撮れるようになったので、自分で見つけた木の実の写真も撮って満足そうでした。

どんぐり小屋に帰ると、奏ちゃんは拾ってきた宝物を親友のクマの人形の“もたいさん”に見せると言って、テーブルの上に並べました。そして小屋にあった木の実の図鑑を広げて、拾った木の実はどれかを照らし合わせました。

子どもは、おもちゃがなくても遊びを見つける天才だなと思いました。そして、心なしかいつもより奏ちゃんが穏やかな気がしました。

すごく特別なことをしているわけではないのですが、東京で暮らしている私たちにとって、小屋で過ごす時間は特別で、こんな風に日々穏やかにすごせたら……と田舎暮らしへの憧れが沸々と湧きました。

それと、私たちはいつも旅行には、その旅に合った絵本を持っていきます。

どんぐり小屋に行く時はいつも「バムとケロのもりのこや」。あとは、絵本をたくさん持っているご家族が貸してくれました。

「どんぐりむらのパンやさん」

「もりのえほん」

「りんごのき」

「ルフランルフラン」

「もりのかな」

「もりのかくれんぼう」

奏ちゃんは、どんぐり小屋で借りた絵本は大好きになります。東京に帰って、先日病院の待合室で「もりのかくれんぼう」を見つけて

「みてこれ!」

とよろこんで教えてくれました。 次はいつか、雪のどんぐり小屋を訪れたいなと思っています。

田尾沙織

田尾沙織写真家

東京都出身。写真家。2001年第18回『ひとつぼ展』グランプリ受賞。写真集『通学路 東京都 田尾沙織』『ビルに泳ぐ』PLANCTON刊行。雑誌、広告、CMの撮影などでも活動。500gで生まれた息子のNICU.GCUを退院するまでの256日間を写真とともにつづった書籍「大丈夫。今日も生きている」(赤ちゃんとママ社)が好評発売中。

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