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母乳信仰に三歳児神話。伝承が多すぎる。

連載:『Step and a Step』500gで生まれた赤ちゃん 母乳信仰に三歳児神話。伝承が多すぎる。

子育てでは、偏った考え方になってしまうことが多いなと思います。私が特に気になるのが、母乳信仰と三歳児神話。

そしてそのことについて罪悪感をもってしまったり、追い詰められるお母さん達が少なくないと聞くと、辛くなります。なんでもっとお母さん達に寄り添えないのかと。

まず、母乳信仰「赤ちゃんは母乳で育てなくてはいけない。粉ミルクはダメだ」などの考え方ですが、私の著書「大丈夫。今日も生きている」でもちょくちょく出てきます。お節介な人。

赤ちゃんを抱っこして散歩している最中に、知らないおばさんに「母乳で育てなさいね」と言われたことがありますが、これはお母さんの間のあるあるですね。

赤ちゃんに病気やなんらかの問題があることが明らかなGCU(新生児回復治療室)でも、哺乳瓶でミルクだったか哺乳瓶だけど中身は搾乳した母乳だったか薬だったか何を入れていたかうろ覚えですが、知らないおばさんに「母乳で育てた方がいいわよ」と言われました。母乳をあげれたくてもあげれない人がいる病室なのに。飲みたくても飲めない赤ちゃんがいるのに。驚いて返答できませんでした。

それにあまり知られていませんが、まれに母乳にアレルギーを起こす赤ちゃんもいるそうです。

奏ちゃんはGCUに入院中にあまりにも頻繁に感染症にかかるので、母乳アレルギーを疑われて、検査をしました。結果はアレルギーではなく、ホッとしましたが、アレルギーだったとしても別にお母さんの食生活が悪かったとか、そういうせいではないと思います。

私は別に母乳を否定しているわけではありません。母乳は赤ちゃんの免疫力を上げ、成長にもいいと思っています。できることなら母乳をあげたかった。そして母乳は楽です。夜中起きて、赤ちゃんがお腹を空かせて泣いているのを待たせて、お湯を沸かして粉ミルクを溶かして飲める温度に冷ます手間もなければ、外出中にお湯の入った魔法瓶を持ち歩かなくてもいいのです。粉ミルク代もかかりません。粉ミルクの方が楽している様に聞こえますが、実際粉ミルクの方が大変だと思いました。

そして何より、母乳は体質的に出ない人もいる。一人目は出たのに二人目の出産の際に出なくて泣いたという知人もいました。母乳が出ないのも誰のせいでもありません。

私が出産前に友人夫婦から聞いていた話がありました。

彼は三人兄弟なのですが、実験好きの面白いお母さんで「一人目は完全母乳、二人目は母乳と粉ミルク混合、三人目は粉ミルクで育てたけど、みんな元気に育った」という話を、母乳があげられなかった時期に思い出しては、肩の力をぬくようにしていました。

何を飲んでも案外みんな元気に育つものです。

奏ちゃんなんて、ミルクすら飲めなくて点滴だけの時期も長かったのですが、1歳から一時保育、2歳から保育園に通っているのに、流行りの感染症をもらってきたことがまだありません。病院の先生も「小さく生まれたし、最初は風邪とかひきやすかったり、肺炎とかも注意して」と言っていたのに、風邪も年に2回くらい季節の変わり目にかかるくらいです。

母乳だけで育った友達の子が毎月手足口病、やら、プール熱、突発性、なんだかんだ毎月保育園をお休みしているのを聞いて、わからないものだなと思いました。

「点滴打ちまくったおかげだね!」と笑い話にしています。

そして、三歳児神話。

私はフリーランスなので、働かないと無収入になる。それどころかだんだん周りから仕事の依頼がなくなってきます。せっかくここまでキャリアを必死で積んできたのに。

奏ちゃんは産まれて8ヶ月入院していたので、1年半、2歳まではなるべく毎日一緒にいましたが、保育園に子どもを預けて働かなくてはと思っていました。そんな中、奏ちゃんのパパが言った一言。

「子どもは3歳になるまで母親が愛情もって育てるべき。その方がいい子に育つ。自分もそうやって育ててもらった」と言うもの。これがまさに世のお母さんを苦しめる三歳児神話。

そもそも、なんで母親限定の話なんでしょう。なんで子育ての神話には父親は出てこないのでしょうか。私とばかり一緒にいて、毎日ただ同じ近所を散歩して、家で同じおもちゃで遊ぶよりも保育園で同じ年代のお友達と遊ぶのはいい刺激になるでしょう。

それにGCU入院中に先生が言っていました、

「赤ちゃんはいろんな人に抱っこされた方がいい」と。きっといい刺激になるのでしょう。いろんな人と触れ合った方がいいし、私一人の考えや育て方に左右されすぎない方がいいと思いました。

私はTVで大相撲を観ることがまずないのですが、最近おばあちゃんの家で大相撲を観てきた奏ちゃんは、急に石を二つもって「のこったのこった」と相撲の真似を始めたのです。これも私と二人だったらなかなか得られなかった学びだと思います。

それで、最終的になぜ揉めずに保育園に無事入れたかと言うと、フォローアップ (NICU卒業生が定期的に行く新生児科の先生との問診)で先生が「子ども同士のコミュニケーションはとても大切で、なぜか大人では与えられないものがあるから、保育園で病気をもらってくるリスクはあるかもしれないけれど、発達に非常にいいと思います」とパパの前で言ってくれたから。あっさり保育園入れていいことになりました。

(まぁ、そんな言われる前から私はちゃんと保活を進めていたのですが……)

もし、周囲の理解を得られなかったら、病院の先生に一言助言してもらうことをおすすめしたいです。

田尾沙織

田尾沙織写真家

東京都出身。写真家。2001年第18回『ひとつぼ展』グランプリ受賞。写真集『通学路 東京都 田尾沙織』『ビルに泳ぐ』PLANCTON刊行。雑誌、広告、CMの撮影などでも活動。500gで生まれた息子のNICU.GCUを退院するまでの256日間を写真とともにつづった書籍「大丈夫。今日も生きている」(赤ちゃんとママ社)が好評発売中。

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