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グレーって白になるの?

連載:『Step and a Step』500gで生まれた赤ちゃん グレーって白になるの?

療育のママ友から、信州大学医学部の本田秀夫先生の発達障害理解のための「発達障害のある人たちへの支援~年代別の生活に合わせて~」という講演がyoutubuで聴けて、すごくよかったと言われ、私も聞いてみました。

それが本当にすごくよかったのです。うっすら疑問に思っていたことについて教えてもらえた感じです。

まず先生が「グレーゾーンの親御さんで、グレーはいつかは白になると信じている人がいるけれど、グレーは絶対白にはならない。薄い黒」だとお話しされていたのが印象的でした。

ずっと奏ちゃんはグレーゾーンだと思っていた中で、家族や周りの人から「いつか周りの子に追いつくよ」と言われるたびに疑問に思っていたことでした。もちろん、奏ちゃんなりにできることが増え成長していて追いついてきている様に見えるけれど、周りはもっと早いスピードで成長していて、それは追いつくものなんだろうか? そもそも、持って産まれたものだから、知的障害って風邪みたいに治るものなんだろうか? と思っていました。

そして、この「グレーは白にならない」と聞いて「やっぱり! そうだよね!」と、残念とかではなく、附に落ちたのです。

じゃあ、障害がある子どもに何がしてあげられるのか。

自分ができることと出来ないことを判断する力、自立スキルを上げて、出来ないことは人に相談できる、ソーシャルスキルを上げてあげることが大切。そうすることで自信を持って過ごせて、大きな問題は起きないというのです。

将来、奏ちゃんが私以外にも気軽に相談できる相手ができる環境を整えてあげたいと思いました。

自立スキルとソーシャルスキルの鍵として、合意形成が大切というお話もありました。

大人が提案して合意を得る。これは私が前々から奏ちゃんにやっていたことでもあります。ソーシャルスキルのためとは考えていなかったのですが、奏ちゃんは言葉が遅かったので、合意形成をすることから会話が生まれると思ってやっていました。

例えば、休日お友達の家に遊びに行くのも「お友達のお家に遊びに行こうと思うんだけど、どう思う?」と聞いてみると、「でも、トミカで遊びたい」と奏ちゃんが言う。そうしたら「トミカも持っていってお友達と一緒に遊んだ方が楽しいんじゃない?」とか言ってあげると、「じゃあ、今日はお友達の家の近くの公園で遊んで、今度はお友達が家に来たらいいんじゃない? いいアイデアでしょ」と自分の考えを上げてくれます。毎回話がうまく進むわけではないのですが、一度奏ちゃんの意見も出してもらうのは会話の練習にいいな、と思っていました。

他にも、保護的な環境を作ってあげることが大切とお話しされていました。

保護的な環境というのは、例えば叱られることが最初からわかっているなら、その環境に最初から連れて行かないこと。私もスーパーの買い物に奏ちゃんを連れて行くと、商品に触らないように注意したり、いらないものをカゴに入れられたり、結局私がイライラしてしまうので、なるべく連れていなかないようにしています。もちろん全く連れて行かないとはなりませんし、スーパーで新しい野菜や魚を見るのも経験だと思うのでたまには行きます。でもたまたま週2日療育の待ち時間が2時間あるので、スーパーはその間に行ってしまうようにしています。

「発達の特徴はあるけれど、その人のキャラになるような育て方をすることが大切。症状をなくすことが目的ではない」

そんな先生の言葉にも少し救われた気がします。

写真は、お友達が乗っているのを見てずっと欲しがっている自転車の練習をした日のもの。

今まで三輪車のペダルも漕げなかったのに、この日漕げるようになりました。寝る時もこのことを話すくらい、とても満足そうでした。こうやって、成功体験を積み重ねて自信をつけていって欲しいなと思います。

田尾沙織

田尾沙織写真家

東京都出身。写真家。2001年第18回『ひとつぼ展』グランプリ受賞。写真集『通学路 東京都 田尾沙織』『ビルに泳ぐ』PLANCTON刊行。雑誌、広告、CMの撮影などでも活動。500gで生まれた息子のNICU.GCUを退院するまでの256日間を写真とともにつづった書籍「大丈夫。今日も生きている」(赤ちゃんとママ社)が好評発売中。

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