
虐待をしそうになったとき、あなたはどのように対応しますか?虐待を起こす前に私達がしなければならないこと…
皆さんこんにちは。子育てアドバイザーの河西ケイトです。
11月は児童虐待防止推進月間で各所では「オレンジリボン運動」が盛んに行われていました。昨年度までは「184」が有料だったこともあり、子どもが虐待をされていても通報することが困難でしたが、近年は「無料」になったこともあり、親から虐待を受けると子ども自ら通報をするケースも増え、毎年虐待通報の数が増えています。
しかし、なかなかなくならない「虐待」。
これはどうして起こるのでしょうか? 今回は、虐待が起きてしまう背景と、虐待を防ぐために取り組まれているプログラムなどのお話をさせていただけたらと思います。

どこからどこまでが虐待なのか?
では、皆さんはどこからどこまでが虐待か理解をしていますか? これは、とてもむずかしい問題ですよね。しかし、自分ベースで考えてみると案外答えは出てくると思います。例えば、「自分がされて嫌なこと」を他人からされたらどうですか? これは受け取り方によって虐待になります。虐待は、大人の主観や価値観で起きることが多い気がします。
しかし、「その言葉を子どもに向けたらどう感じるか?」それが常に冷静に考えられるか? 忙しくて余裕がなかったとしても、その「余裕」は子どもが作らなければ行けないものなのか? 大人本位で子どもを動かせてしまってはいないか? 私達は、大人になるまでに様々な経験を通して経験値を高めてきましたが、子どもはどうでしょうか?
生まれながらに私達と同じ経験地をもって生まれてきましたか? 答えは「NO」ですね。だからこそ、子どもの目線に立って物事を考えて行くことが大切なのです。
虐待は「身体的」なケースだけではない
虐待というと、親や周りの大人から暴力など外傷を負わせる身体的虐待、性的虐待、ネグレクトとありますが、普段何気なく子どもにかけている言葉も立派な虐待の案件です。例えば、「ほらはやく! 置いていくよ!」「鬼が来るよ!」といって脅して従わせる言葉は脅迫になります。
最近は、こうしたケースでも通報されることも多くあるそうです。こうした背景には子どもの「人権尊重」というものが改めて大切であることと、幼児期に人格の半分以上が決まるというデータに基づいて、「子どもを子どもと見ないで1人の人として対応していきましょう」という動きになっているからなのかもしれません。確かに、私達も職場でこのような言葉がけをされたら良い気はしないですよね。
苦しんだり悩んだら専門機関を頼ってみて
虐待をしてしまった方の半分以上が、「したくてやったわけではない」と回答することが多いです。自分が親になった時に、自分が育ってきた環境で大人に手を挙げられるのが当たり前で育ってしまうと、それが正しいことなんだと頭の中でインプットしてしまいます。そしてその考えのもと育児をしてしまうので、気づいたら虐待をしていた…というケースもあります。
子どもへの対応の仕方、躾とはどこを基準として躾なのかがわからなくなってしまったときは、今目の前にいるお子さんへの対応が本当にあっているのか、他者に意見を求めてみませんか? 1人で解決改善するのはとてもむずかしいことですから。
最近では、専門機関で「親子相互交流法」という、育児に悩んだ方や子どもへの言葉がけがわからない方に対しての心理療法などがあります。専門士が、子どもへの言葉がけのタイミングなどをイヤホンを通して親に伝え、相互に良好な関係を保つ手伝いをしてくれ、同時に愛着形成を築くきっかけも作ってくれるそうです。また、虐待などをされて育った大人に対して、その体験を振り返ることで回復を図る「持続エクスポージャー療法」という治療法もあります。
トラウマ体験を思い出し、言葉にすることを繰り返し行っていくと、感情をコントロールする力を身に着け、認知の歪みを修正していく事ができます。
自分の生きづらさを子どもにさせないために、まずは自分自身が変わっていくことが大切なんですよね。病気になったら病院に行くのと同じで、自分1人で抱えようとせず、専門機関を頼ってほしいです。一歩踏み出す勇気が、子どもや自分自身を救うことを常に頭に入れておくことが、これからの時代は大切になってきそうです。
今の時代は、個人を大切にする個人主義の時代となっています。
確かに個を大切にすることは大切ですが、個を大切にしすぎることで横のつながりがなくなりつつある…と言われています。横のつながりの大切さを改めて皆が考えていくことで、育児に悩んでいたり苦しんでいる方を助けるきっかけになるかもしれません。
「子どもは親のそばにいることが大切!」という時代から「子どもは親だけでなく周りの大人もチームを組んで育てていくことが大切!」となれば虐待も減る気がします。