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子どもへの「性教育」。いつから、どう始めるべき?(前編)
2020.08.08 by 内田 朋子 内田 朋子

子どもへの「性教育」。いつから、どう始めるべき?(前編)

我が家は6歳ごろから

「性教育」と聞くと、ドキリとするかもしれませんが、子育てするうえでは避けて通れない道。お子さんが年中さんにもなれば、お風呂の際に「おちんちん!」「おっぱい!」と嬉しそうに連呼することもしばしばではないでしょうか。我が家の長女も6歳ごろだったでしょうか、やっぱり弟のおちんちんに興味をもちはじめ、お風呂で触ったりひっぱったりと完全におもちゃ状態にしていました。

「そういえば性教育ってどうやってするんだろう?」。そう思ってまず手に取ったのが、オランダ在住の教育の専門家、リヒテルズ直子さんが書かれた『0歳からはじまるオランダの性教育』です。

日本で性教育というと、保健体育の時間に男女がそれぞれ別の教室に分かれ、「生理や妊娠の仕組み」「女性と男性の身体の違い」「コンドームの付け方」など、表面的なことをさっとやって終わったと記憶しています。あれからウン十年。今も現状はさほど変わりないと思います。もしこれ以上突っ込んだ授業をしようものなら「寝た子を起こす気か」(=性への目覚めを助長するだけでメリットなし)と、生徒の親や世間から強い非難に合うのが日本の現状だからです。

小さいうちに、性にまつわる会話の土台を作ろう

でも、私は自分自身が不妊症や子宮頸がんの治療、出生前診断に苦しんだ経験があったので、我が家では性教育は小さい頃からの“必修科目”にしていこうとひそかに思っていました。

小さいうちに始めることで、クレヨンしんちゃんのように平気で下ネタを連呼するのを阻止しせねばという焦りもあったのですが、もっといえば、早いうちから性への適切な知識があれば、望まない妊娠や性感染症、不妊、子宮頸がんの発症を防げる確率が高くなると考えたからです。

それに、将来、何歳で何人の子を持ちたいと計画、希望しても、そのときにある程度自分の健康が保たれていなければ、その選択さえできません。そのためにも娘や息子には、自分の身体をよく知り、関心をもち、必要なら早めに医療機関に相談するなど適切にケアできるようになってほしいと思いました。SEXともなれば、相手も関わってくることですから、相手の身体を思いやる気遣いも不可欠ですよね。しかし、こういったことは、残念ながら日本の公教育では絶対に教えてくれません。

「え、でも、小学生になる前から始めるのは、さすがに早いのでは?」と思った方もいるでしょう。いえいえ、そんなことは決してありません。

なぜなら、いざ思春期になり性教育をしようと試みても、子どもは照れや恥ずかしかから、「え、気持ち悪い!」「何いっちゃってんの?」なんて反抗されること必至だからです。将来にわたって親子で性や健康について語り合いたいと思うのであれば、親の言うことを素直に受け入れてくれるまだ小さなうちから、性にまつわるコミュニケーションの土台をしっかり築いておくことが大切なのです。

とはいえ、私も当時はどのようにはじめていいか、わかりませんでした。そこでまず「性教育」への理解を深めようと読んでみたのが、前述の『0歳からはじまるオランダの性教育』です。

個々の多様性を大切にするオランダでは、2012年から初等・中等教育(4~15歳)で性教育を義務化しています。その教育の中身は主に2つ。まずは性徴や生殖、出産の仕組みを教えること。望まない妊娠や性暴力から心身を守るための具体的なスキルも教えます。そして、2つ目が、性の多様性教育です。

「男のらしさ」「女の子らしさ」って何?

この2つめの柱は私にとって目からウロコ。オランダでは、5歳ぐらいから、「男らしさ」「女らしさ」を学ぶそうですが、この授業の目的は、「性的ステレオタイプのイメージを壊すこと」なのだとか。

女子でもドレスを着ずにサッカー好きが好きな子がいれば、人形遊びが好きな男の子だっていますよね。教師がそういった性的ステレオタイプにとらわれずに話し合いを進めるうちに、すべての人が男か女ではなく、“特別でユニークな存在”であることを子ども達は認識するそうです。そういえば、私も無意識のうちに子どもに「女の子らしさ」「男の子らしさ」を押し付けていたな…と反省しきりです。

「性教育を突き詰めると、人間の尊厳を大切にすることを学ぶ教育」なのだと、著者のリヒテルズ直子さんは言います。その意味でオランダの性教育は市民教育であり、価値観の異なる人々と共生することを学ぶ、インクルーシブ教育そのものなのだそうです。ふ、ふかい…。

ちなみにタイトルに「0歳から」とつくのは、このころの親子の触れ合いが、のちのちの性意識に影響を及ぼすため。温かい愛情の感触を身に付けてあげることが大切とのことです。なるほど、赤ちゃんの頃からいっぱいいっぱい抱きしめてあげることも、立派な性教育の一つなのですね。後編では、私がかつて助産師さんに教えていただいた、具体的な性教育の進め方についてお伝えしたいと思います。

内田 朋子

内田 朋子医療ライター。

1977年山口県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、医療・介護専門の出版社を経てフリーに。自身の経験を活かし不妊治療、周産期医療、出生前診断、女性医療を中心に取材。『週刊文春woman』や不妊・未妊に向き合うサイト『UMU~不妊、産む、産まないに向き合うすべての女性たちへ~』などで執筆中。日本医学ジャーナリスト協会会員。不妊治療を経て三児の母。umumedia.jp

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