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子どもへの「性教育」。いつから、どう始めるべき?(後編)
2020.08.22 by 内田 朋子 内田 朋子

子どもへの「性教育」。いつから、どう始めるべき?(後編)

オムツが取れるタイミングがベスト

いざ、我が子に性教育をと思っても、何から始めていいか戸惑いますよね。私も、6歳や3歳の子ににどう教えるべきか悩んだものです。

ならばプロに聞いてみよう! ということで当時話を伺ったのが、東京都武蔵野市助産師会会長で、むさしのレディースクリニックで助産師をされている大田静香さんでした。大田さんは助産師業の傍ら、近隣の小中学で性教育の講演もするなど、地域内外で幅広い活動をされています。

「性教育というと、あまり良いイメージを持たない人も多いと思います。でも助産師をしていると、早すぎる妊娠や望まない妊娠など、生殖に絡む多くの問題に直面します。早いうちから性教育がしっかりされていれば、防ぎ得たケースもあり、その大切さを痛感します」と大田さんは言います。

とはいえ、迷うのが性教育をスタートするタイミング。大田さんによると、子どものトイレトレーニングの前後など、オムツが外れる時期を目安に、早ければ早いほど、その後の性教育がスムーズに進むそうです。

「難しく考える必要はまったくありません。たとえば女の子であればおしっこしたあとの拭き方の方向や、男の子であればおちんちんの洗い方を教える際、ただ教えるのではなく、清潔にする意味として“膣やおちんちんを大切にすることが、大人になってお赤ちゃんを迎えることにつながるんだよ”と繰り返し言うようにしていると、生殖器の大切さがお子さんにも少しずつ伝わるようになるんです」(大田さん)

我が家でもさっそく実践したところ、お姉ちゃんがふざけて弟のおちんちんをひっぱろうものなら、なんと弟が「僕の赤ちゃんが生まれなくなるから、触らないで!」とちゃんと抵抗するようになりました。そしてこれを機に、お風呂で子どもたちの身体を洗うお手伝いをするときも、下半身だけは自分たちで洗わせるようにしました。親であっても、たとえば薬を塗るためおちんちんを触らなくてはいけないときは「大事なところをちょっとごめんねー」と一声かけるようにしています。

「SEXって何?」と聞かれても、はぐらかさない

「お子さんが少し成長して、赤ちゃんはどこから生まれてくるの? と聞かれたときは、絶好のチャンスです。質問にしっかり向き合うことで、お子さんも自分の身体のことを親に聞いてもいいんだと感じ、性にまつわる会話が自然にできるようになります。

幼少期を逃すと、お互いどんどん気恥ずかしくなり、話しづらくなります。就学前でも、“女の人の中にある赤ちゃんの元になる卵(卵子)と、男の人の身体のなかにある種(精子)が女の人の身体のなかでくっついて、赤ちゃんができるんだ”というと、言葉がある程度分かる頃になれば徐々に理解できるようになるでしょう。その子の性格や年齢に合わせた話し方が重要です」(大田さん)

はい。うちの娘も、5、6歳にもなると「赤ちゃんはどうやってできるの」と何度も訪ねてきたので、小学校入学前には、卵子と精子がくっついて赤ちゃんができることを理解させました。今では女性の生理の仕組みもわかっています。生理前にホルモンバランスが崩れ、ママがいつも以上にイライラしてしまうことも(笑)。

でも、問題はここから。

現在、小学校3年生になった彼女から「どうやって卵子と精子はくっつくの?」と聞かれてきたらどうしたものかと目下悩み中。まさか「うちは体外受精だったから、胚培養士の方にお願いして…」と答えるわけにもいきません。大田さんは言います。

「もし、核心的な質問をしてきたら、はぐらかさずに教えてあげましょう。具体的な話し方は先輩ママの話や絵本を参考にしてもいいですし、私の講演では絵で分かりやすく教える方法をお伝えしています。そのご家庭の雰囲気に合った伝え方がきっとあるはずです。

もしくは、小学校高学年になって、“友達がSEXって言ってきたんだけど、何?”と聞かれることもあると思います。それまでに家庭での性教育の基礎がしっかりあると、戸惑わずに伝えることができます。反対に、“何言っているの!”と一度でも拒否されると、その後、子どもはまず親に聞かなくなり、インターネットに頼るようになるでしょう。それまでどれだけ親子で会話してきたかが鍵です。

ちなみに、我が家ではその日に備え「お勉強っぽくなりすぎちゃうかな?」と思いつつも、子ども用の人体の図鑑を購入。長女は興味津々で読んでいます。直球の質問がくる日も遠くはなさそうです。

いじめや自殺の防止にもつながる

大田さんは「性教育を通し、親の愛情、生命の軌跡、自分の身体の大切さを知ると、自己肯定感が芽生え、人を思いやる気持ちも生まれます。ひいてはいじめや自殺の防止にもつながる、尊い教育」と強調します。性教育は決して、「寝た子を起こす」と揶揄されるものではなく、その子の人格形成にも関わる、必要不可欠な教育なのですね。

ちなみに、性教育が義務教育に組み込まれているオランダでは、性教育の目的の一つに、妊娠する年齢を上げることがあります。まだ社会的に未熟なうちに妊娠してしまうことは、堕胎や育児放棄につながる危険性を孕んでいるからです。実際、オランダでは性教育の導入により、性交渉する初年齢が上がったと報告されています。

もし、お子さんが自分の身体に興味を持ち始めていたら、今がはじめ時。ご家庭に合った雰囲気やペースで始めてみてはどうでしょうか。

内田 朋子

内田 朋子医療ライター。

1977年山口県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、医療・介護専門の出版社を経てフリーに。自身の経験を活かし不妊治療、周産期医療、出生前診断、女性医療を中心に取材。『週刊文春woman』や不妊・未妊に向き合うサイト『UMU~不妊、産む、産まないに向き合うすべての女性たちへ~』などで執筆中。日本医学ジャーナリスト協会会員。不妊治療を経て三児の母。umumedia.jp

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