
親子関係の悪さは大人の発達障害が原因?カサンドラ症候群の可能性
私は親に嫌われていた、私の親は私をかわいがってくれなかった……、そんな気持ちから上手な親子関係を築けなかったと感じている方はいないでしょうか?
大人になった今でもギクシャクしている親子関係。そんな場合はもしかすると、親が発達障害の可能性があるかもしれません。
親子関係の悪さは大人の発達障害が原因?

怒りっぽい、空気が読めない、といった判断をされることも多い、発達障害。あなたがこれまで違和感を抱いていた親子関係は、親の障害が原因である場合も考えられます。
大人の発達障害とは
はっきりと解明されているわけではありませんが、脳の先天的な機能不全が原因であると考えられています。コミュニケーション能力に偏りが見られるため、周りの人との間にさまざまな困難を引き起こす可能性がある障害です。
障害の特性を理解しないままで関係を続けると、周りの人間も、本人自身も、それぞれ心の負担やストレスを重ねることとなり、心身の不調や関係のもつれに繋がってしまうことがあります。
親子関係の悪さと大人の発達障害の関係

一般的な家庭では当たり前のことが、親が発達障害の家庭では当たり前でない場合があり得ます。そのことが、親子関係にどのような影響を及ぼすのかをみていきましょう。
発達障害のある大人は子育てが苦手?
親自身には悪気がないとしても、障害の特性から、子どもが「どうして私の親はこうなのだろう?」と感じるような言動をしてしまうことが少なくないと考えられます。
また、発達障害は人により複数の特性をあわせ持つことも多いので、次に何が起こるかわからない子育ては、発達障害を持つ人にとっては不安や困りごとが特に多い状況であるといえるでしょう。
ASDの場合
ASD(自閉症スペクトラム障害)の場合、特性として強いこだわりやコミュニケーションの困難さが挙げられます。
そのため、たとえば自分が考えたことを押しつけたり、言葉が足りず仕草や表情も少なかったりすることがあり、無意識に子どもを傷つけてしまうことがあるかもしれません。
ADHDの場合
ADHD(注意欠陥・多動性障害)の場合は、感情が不安定になりやすかったり、1つのことに考えが集中できなかったりといった特性があります。
突然怒りだしたり、他のことに気をとられて子どものことに気が回らなくなったりすることがあるので、子どもは自分が嫌われていると勘違いしてしまうことがあるのです。
子どもの頃の親子関係は後の人生に影響する

子どもの頃の過ごし方によって、その後の人生は変わってきます。子どもが小さい頃もっとも多くの時間を過ごすのは親ですので、親子関係は子どものその後の人生に影響するのです。
カサンドラ症候群について
カサンドラ症候群という言葉を聞いたことはあるでしょうか。アスペルガー症候群という発達障害がある人の家族などに、コミュニケーションをうまく築けないことから不安や抑うつといった心身の不調が生じる状態のことをいいます。
パートナーに起こることで知られるようになりましたが、親子や兄弟など身近な人なら誰にも起こる可能性があるのです。
親が発達障害の場合、甘えたい時期の子どもでも障害のある親を支えるために、精神的に自立することを強いられることが多くなります。
障害の特性とはいえ、親に愛されたい・認められたいと思う時期に、興味を持ってもらえなかったり、突然頭ごなしに怒鳴られたりする毎日…。
そんな日々を過ごしていれば、健全な親子関係を築くのは難しく、大人になってからもその思いを引きずってしまうのも無理はないといえるのかもしれません。
自分を苦しめることはやめよう

親子関係が悪いままきてしまい、大人になってもなお、わだかまりを感じている…。そんな時はもしかすると、大人の発達障害が原因かもしれません。
誰が悪いわけでもありませんから、謝る必要も許す必要もないのです。ただ、もし親子関係を改善したいと思うのであれば、障害を理解できるような努力をしてみませんか。
後悔したり、無理にすべてを受け止めようとしたりなど自分を苦しめるのはやめましょう。発達障害を持つ人たちは、理解してくれる人の元では症状が和らぐといわれています。障害の特性を理解して、ゆっくりと歩み寄ることができるとよいですね。