【フランスからの報告】 フランスのエコロジー教育
第13回 小学校でのエコロジー教育が、大人達にも大影響? フランスのエコロジー対策事情
1997年に採択された「京都議定書」は、先進国の間で2020年までの温暖化対策の目標を定めたもの。2015年の「パリ協定」は、それからのバトンタッチ。196カ国という世界規模で2020年以降の目標を定めたもの。
「温暖化に繋がる行為は極力しないようにし、温暖化を止めるように団体や学校で進めよう!」と、フランスの自治体や学校が、日常でどのように環境保全に取り組んでいたか。暮らしている村を例にリポートします。
なによりストレス・フリーなことが便利で嬉しい! フランスでのゴミ出し
村によってゴミ置き場の造りは違うけれど、地方の場合、ゴミ出しに曜日や時間の制限はほとんどない。早朝でも昼間でも真夜中でも、いつでも、どの部類のゴミでも捨てられるというのは、忙しい共働き家庭などには特に嬉しいこと。
しかも、事前に家庭内では分別せず、すべて一緒に大きな袋に入れたり、車のトランクに積んでいき、その場で「ガラス製品」「缶」「プラスチック」「生ゴミ」「紙類&ダンボール」など、それぞれの容器に投げ入れればOKという気軽さ。
しっかり蓋や扉を閉められるシステムなので鳥などに荒らされる心配もなく、匂いが周囲に漂うこともない。石造りや木製のバンガローであることも多く、景観が損なわれることもないので、すぐ近くの住民も嫌がらず、むしろ「近くて便利!」と建設されると喜ぶほど。
このストレス・フリーなゴミ置き場スタイルは日本の行政にも是非、参考にして欲しい点だ。
アパートでも皆で共同「コンポスト」が当たり前の時代が到来!
野菜や卵の殻などの生ゴミを溜めて腐らせ発酵させ、栄養豊富な肥料を作れる「コンポスト」。
昔から農家や自家菜園のある家では行われてきたけれど、2年ほど前からアパートなど集合住宅でも「共同コンポスト」の設置が急速に普及。各家庭にコンポスト用ゴミ箱も無料配布されている。
大都市でも、コンポストにそのまま捨てても堆肥となるリサイクル袋を街なかの随所に設置。サンドイッチなどランチの残りをそれに入れてコンポストに投げ入れられるような配慮も始まっている。国や自治体がコンポストを奨励する理由は、
●出されるゴミが減れば、自治体が焼却処分する費用も減る
●焼却処理が減れば、二酸化炭素の排出量も減る
●生ごみ用ビニール袋の生産が減少する
●家庭でのゴミ袋購入支出も減る
●栄養豊富な堆肥を家庭菜園や花栽培に活用でき、暮らしが健やかで豊かになる
●環境に関心を持つきっかけになる
●エコロジー活動に日々、気軽に誰もが参加できる
小学校での子ども達の学びは、親達まで影響。大人の教育にも繋がる
2004年からは小学校でもエコロジー教育が始まった。興味深いのは、それにより子ども達に引っ張られる形で親達も意識が大きく変わったこと。逆に、2004年以前に小学校を卒業した子ども達の親世代は、今でもゴミ置き場での分別に無頓着な傾向が見られる。
エコロジー教育は、中学や高校でも同時期に開始されたはずだが、親が子どもの宿題や学校での勉強に目を通すのは主に小学生までのこと。初等教育が一番、親にも影響を及ぼすらしい。
そのためゴミ出しにおけるエコロジー姿勢について言えば、今の20代後半よりも、20歳前半以下の若者や子ども達の方がずっと真面目。几帳面に分別してゴミを出し、大人も50代以上や高齢者達より、子どもが若かったり幼い40代から下の親達の方が、コンポストにもマメに生ゴミを運んでいる。
我が家も同様で、小学校時代にエコロジー教育を受けていない26歳の長女とその親世代でもある私は、2004年以降に小学生だった21歳の次女と20歳の長男に、常にゴミの分別で注意&叱咤をされている。
エコロジー対策で梱包グッズも着々と変化
そして俗に「プチプチ」と呼ばれているポリエチレン製・気泡緩衝材(エアークッション)の代わりに、壊れ物の梱包にはリサイクル紙などが使われはじめている。
子供の頃、潰して遊ぶのが楽しかった大好きな「プチプチ」。でも2021年からは私も意識改革。「プチプチ」を使わない梱包やコンポスト習慣に挑もう! と新年への心を構えた。