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実力派ピアニスト、人気YouTuber、東大卒研究者の顔をもつ角野隼斗さんは、どのように育ったのか

実力派ピアニスト、人気YouTuber、東大卒研究者の顔をもつ角野隼斗さんは、どのように育ったのか

第1回 幼少期~小学校時代

数々の受賞歴をもつ実力派ピアニストにして、登録者60万人を誇る人気YouTuber「かてぃん」として分野を超えた活躍を続ける角野隼斗さん。「東京大学総長大賞」を得て2020年に東大大学院(AIと音楽)を卒業し、音楽家として生きることを決意。

従来の枠組みにとらわれず、ジャンルを超え、新しいスタイルに挑戦し続ける姿勢はどのようにかたち作られたのか。幼少期からのエピソード、習い事、受験、家族関係、中高時代の過ごし方などをご本人にうかがいながら、その一端に触れたいと思います。

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気が付けばピアノを弾いていた。母からは「とにかく楽しんで」と

――角野さんにとって、ピアノとはどのような存在でしょうか?

「母がピアノを教えていたこともあり、自分も気がついたら弾いていました。人間が言葉を話すのと同じように、ピアノを弾くことはそれだけ自分にとって自然なこと。表現したいことがダイレクトに表現できるのがピアノ、という感覚です」

――昔からピアノが大好き、というお子さんだったのですね? 成長するにつれてピアノとの関係は変わりましたか?

「うーん、本番で弾くのは好きで本当に楽しかったのですが、練習は嫌いでした。一人で練習していても、何をどうすれば上手くなるのかわからなくて。そんな様子をみて、面白く感じられるようにと母が工夫してくれました。ゲーム感覚で続けられるように点数制にして表につけるとか。

そういえば、水泳と合気道も試したことがあるんだけど、ほんとにつまらなかった……、という意味ではピアノは好きだったんだろうな。

6歳からは他の先生に習いはじめ、毎年夏には家族でコンクールに参加しました。結果も良かったです。そんな生活が小4まで続きました」

――コンクールというと、厳しい練習を続けて、緊張して本番を迎えるイメージを思い浮かべてしまいますが……

「本番はまったく緊張しなくて、本当に楽しんで演奏していました。世間一般では、親がピアノの先生だと怖くて厳しくて、親子間の葛藤があってというイメージがあるかもしれませんが、うちはまったく違いました。母は、必ず『とにかく楽しんで』と送り出してくれましたし、結果がいまいちでも責められたことは一度もありませんでした。実際のところ、親が喜んでいる姿を見て嬉しかったし、モチベーションになったと思います。

だからかな、ピアノをやっていてプレッシャーを感じたことも、やめたいと思ったこともまったくありません」

――のびのびとピアノを弾く姿が目に浮かびます。というか、順調すぎてなんだかまぶしいです!

「そうなんですよね。小学生くらいまでは、苦労してやっと何かをつかんだ、みたいなストーリーがなくて(苦笑)」

子どもの主体性や「好き」を尊重する子育て

――お母さまの声かけが「楽しむ」という気持ちにつながったんでしょうね。他に、お母さまからの心に残る言葉はありますか? 思い返して、家庭内で意識されていたな、ということは?

「うーん、思いつかないので、母に電話しようかな」と、いたずらっ子っぽい顔になった角野さん

電話ごしの角野美智子さん(お母さま)談

「本人の自立心を大切にしていました。遊びでも学業でも、本当は反対したいことであってもリスクを説明して話し合い、最後には本人に決めさせました。

小さい頃から、本人がしたいことを引き出せるように『どういう風に思った?』ときいて、言葉にするよう促しました。そのうえで、子ども達の興味にはとことんつきあい、やれることはすべてやりました。

他に意識していたことは、枠にはめない、柔軟で自然体であること、兄弟や他人と比べない、などでしょうか」

突然の電話にも関わらず、丁寧に答えてくださったお母さま。ピアノ指導者として優秀な方ですが、子どもの興味や「好き」を尊重される姿勢が伝わってきます。そして、大人になってからも「どう考えて子育てしていたの?」と親子で気軽に話し合える風通しのよさに驚きました。

電話を切った後、角野さんは「主体性にまかせる、といっても放任ではないんですよね。これがミソかな。特に小学生くらいは。このバランス、なかなかできることではないと思います」と振り返っておられました。

孤独な中学受験、毎朝勉強につきあってくれた父親

――ピアノ以外のお話もうかがいたいです。勉強はどんな風にされていましたか?

「僕は、昔から数字が大好きな子でした。3歳の時に小1用の算数ドリルをやらせてもらっていました。

父も、僕と妹の思考力を鍛えてくれたと思います。休みの日や出かけた時に遊び感覚で。そういえば東京ディズニーランドでの待ち時間に、父が面白い算数の問題を出してくれて、一緒に解いたのは良い思い出です。

小6の受験勉強の時には、毎晩帰宅が遅い父なのに、毎朝6時に起きて1時間も勉強につきあってくれました。小学生が一人で早起きして勉強なんて、かなりしんどいことなので、本当に助けてもらいました」

――3歳で小学生の算数ドリルを解いたお話をきいていると、中学受験も楽勝のように思えますが……

「いやー、中学受験は本当につらかったです。人生で一番……くらい、つらかったかも。小5の夏から塾に通い始めたので、塾ではすでにコミュニティができていて、転校生みたいな立場で友達ができないし、小学校のクラスで受験するのは、ほぼ僕だけ。99%がそのまま地元の中学校へ進むので、孤独な闘いでした。

自分で受験を決めたかは定かではありませんが、小6の時には明確に『地元だけの世界から抜け出したい』と感じていたことは覚えています。

当時はめちゃくちゃ勉強しました。つらかったけど、模試やテストがあるごとに点数という数値的な結果で目に見えるのはゲームのような感覚で、それはそれで楽しかったです。

ピアノは一応続けていましたが、小6にあがると人前で弾く機会も一切なくなり、ピアノを触る時間もずいぶん少なくなりましたね」

つらい中学受験を経て、努力の結果はいかに?

次回、「中高時代」編に続きます。(7日公開予定)

(株)イープラス提供

角野隼斗さんをかたち作るもの

・「とにかく楽しんで」という声かけ
・ゲーム感覚で面白くする工夫
・主体性・自立心を大切に。リスクも説明して、本人に決めさせる
・「あなたはどういう風に思ったの?」と問いかける
・子どもの興味と「好き」を尊重して、とことんつきあう
・遊び感覚で一緒に学び、苦しい時は時間をかけて寄り添う
・他者と比べない、結果を責めない

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【角野隼斗(すみのはやと)氏プロフィール】
1995年生まれ。父、母、妹の4人家族。2018年に4万人以上が参加したピティナ・ピアノコンペティションの頂点である特級グランプリ、及び文部科学大臣賞、スタインウェイ賞受賞。同年、フランスで音楽情報処理の研究に従事。海外でのリサイタルやコンサート出演も。2020年12月、1stフルアルバム『HAYATOSM』リリース(オリコンデイリーアルバムランキング最高位8位)。同月のサントリーホールソロリサイタルチケットは5分で完売。
角野隼斗 1st.フルアルバム『HAYATOSM』
https://hayatosum.com/archives/discography/1211
■公式サイト:https://hayatosum.com/live
■YouTube:https://www.youtube.com/user/chopin8810
■Twitter:https://twitter.com/880hz
■note:https://note.com/880hz
【公演情報】

https://hayatosum.com/live

●NEO PIANO CO.LABO. “Invention”
2021年2月11日(木・祝日)18:30開演 / 20:00終演(予定)、アーカイブ視聴期間は〜2021年2月21日(日)23:59
会場:舞浜アンフィシアター(無観客配信)
出演者:かてぃん(角野隼斗)・菊池亮太・けいちゃん・ござ
■公式ホームページ http://neopianoco.jp/
■チケット購入 https://eplus.jp/neopianocolabo/
*YouTubeで大人気のピアニスト4人が競演。

●光が丘IMAブランチコンサート第9回 ピティナ特級グランプリシリーズ「角野隼斗」
2021年3月27日(土)第1部12:00開演、第2部15:00開演
出演者:角野隼斗
会場:光が丘IMAホール
第1部・第2部:大人2,000円/学生1,500円/小学生以下500円
■チケット購入(3月5日発売開始)https://eplus.jp/sf/detail/3363910001 *第2部は、子どもとファミリー向けの参加型のプログラム。トイピアノやピアニカが登場する「ミニチュア楽器祭」と「リクエストコーナー」も。

取材・文:岡本聡子
撮影:野口けいこ
(この記事は、2021年1月末時点の情報に基づきます)

岡本 聡子

岡本 聡子ライター・経営学修士・防災士

戦略系経営コンサルティング会社を経て、上海にMBA(経営学修士)留学。その経験をもとに『中国のビジネスリーダーの価値観を探る』(『上海のMBAで出会った中国の若きエリートたちの素顔』を加筆・改題)を株式会社アルクより出版。幼稚園児の母。分析・事業開発支援、NPO運営なども行う。facebook.com/okamotosatokochina

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