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【フランスからの報告】バレンタイン事情

【フランスからの報告】バレンタイン事情

第16回 「コロナ&日曜」・・・で稀にみる「忘れられない思い出の日」になったかもしれない? 2021年・フランスのバレンタイン❤️

フランスといってもパリから660km以上離れたスイスとイタリアの国境近く、フレンチアルプスのスキー場暮らし。そんな田舎&山から、華やかさはないけれど、ごく普通で一般的なフランスの日常や教育についてご紹介。今回は、フランスのバレンタイン事情についてレポート!

今年のフランスのバレンタイン・デーは、ちょっと異例

夫婦や恋人同士など「既存カップル」の男性から女性にプレゼントをしたり食事に招待するのが、フランスのバレンタイン・デー。

しかしコロナによるレストラン営業禁止。だから外食は不可。しかも何年かに一度しかない「日曜日」にあたり、男性には仕事などを口実にできない「逃げ道なき日」となった。

そんな2021年のフランスのバレンタインはどうなったか? 覗いてみましょう♬

総復習「バレンタインの歴史」

ご存知の方も多いと思いますが、一応、復習。

バレンタインの歴史は古く、ローマ帝国時代にまでさかのぼる。当時、若者は「兵士として愛する人や家庭があると“命が惜しく”なり士気が下がる!」と結婚を禁じられていた。

それでもどうしても結婚したいと願う男女達のために、司教Valentin(バレンタイン)氏が極秘に教会で挙式。それが発覚し処刑されたのが2月14日で、バレンタイン司教の勇気を讃え「愛の日」にしたという説が強い。

一方、フランスでは365日、毎日「この日は聖〜の日」と決まっていて、カレンダーにも記載。2月14日はSt.Valentin(聖バレンタイン)で、その日に夫婦や恋人間で男性が女性にプレゼントをしたり食事に招いたりする習慣が、既に120年間も続いている。

コロナのためレストランは全国閉業。外食不可。しかも日曜なので1日中在宅。さぁ、どうする?フランス男性達

毎年、フレンチカップルの3組に1組はバレンタインを祝うという(YouGouデータ)。

つまりそれは逆に言えば、3組に2組は祝わないということ。祝われない女性達は昼間からそれを予知。職場では明らかにご機嫌斜めになり、私生活での境遇が露出する日でもある。

今年は日曜日で、例年より祝う率は4割までアップしたというが、日曜のため、我が同僚達の表情の明暗を見られなかったのは少々残念だった。

では実際、フランス男性達は、当日どんなことをするのか? を見てみましょう。

予算は「平均101.5ユーロ(約1万3000円)」

例年トップは「ディナー」「仕事後、一緒に映画館」「花束」「アクセサリー」「香水」「洋服」「ホテルに一泊」「チョコレート」。

それが今年は「コロナ&日曜」で変化。

「テイクアウト・フルコースを購入」がトップ。「手料理でもてなす」「ホームシアター」「スパやエステ券」「チョコレート&シャンペン」が続いた。

マッサージ業をしている当方にも、近隣の男性からの「マッサージ券」購入問い合わせが増え、そのうちの一人に「バレンタインデー当日の予定」を尋ねてみた。

「まず彼女のためだけに朝食を作る(子ども達にはコーンフレークだけ。わざと差をつける)。昼間はサンドイッチを持って家族で湖を散歩。帰りに予約済みのレストランのテイクアウトをピックアップ。夕食後は子どもを早めに寝かせ、二人でリビングで映画を観る」、という。

そんな「至れり尽くせりのバレンタイン・デー」を毎年しているのかと訊くと「今までは平日だったから、夜、子どもをベビーシッターに預けて外食する程度。花やチョコレートを贈るだけの年も多かった」という。

やはり今年は「コロナ&日曜」のダブルパンチ。女性に尽くさなければならず大変な1日になった男性が多いらしい。

©️alpleisure.com
朝食プレートを作りベッドに持参。こういう演出を喜ぶ女性が多い

もちろん、そんなには出費しない。時間もかけないという男性も多い。

例えば「花束ではなくバラ1本だけ」「簡単な菓子を作ったり買ったりするだけ」「惣菜を買ってきて皿に並べるだけ」など。

それでも何もしないよりは喜ばれるし「何もしないと、それこそ厄介なことになるから、とりあえず何かしらやっておく」というのも本音らしい。

自家製菓子が大好物という男性が多いフランス。バレンタインには「自分が食べたいから」と作る人も多く、特に日曜だった今年は有名パティシエ達のレシピYoutubeへのアクセスが急増

日本のバレンタインは、今後も変化し続けるかも?

フランスに限らず、世界各国、バレンタインは男性が女性に贈る。あるいは双方贈り合うことが主流で、「異色」とされている日本の最初の仕掛人は、神戸のモロゾフ(1936年)。

1951年に大阪の阪急デパートが再トライし、その後も1958年に関東でメリーチョコレート。1965年、東京の伊勢丹がまた仕掛け、1970年代「女性から男性にチョコレートを渡して告白できる日」で大ヒット。

1980年代にはOLの「義理チョコ」ブームが起こり、それが今では「小学生も手作りチョコやクッキーをクラスの男子全員に配る」形にまで、刻々と変化。

既に「会社で配る義理チョコ代の負担」を嘆くOL達も多く、日曜であった今年、義理チョコは大幅に減少。

また「夜中までかかって娘のチョコ作りを手伝ったからヘトヘト」と嘆いていた母親達にも日曜で難を免れた人が多く「今後もこんな負担がかかることは止めよう!」となるかもしれない。

しかも男性達にも「ある種のハラスメント。バレンタイン・デーに学校や会社に行くのは苦痛だった」という人、「義理チョコですらもらえないの? と家族に心配される」と憂う男子もいて、「ホワイトデーの出費が辛い。辛いけれどやらなければいけない」という嘆きも聴く。

120年間以上、男性が女性にプレゼントをしたり食事に招待したりし続けているフランスとは違い、「歴史や宗教による縛りがない」日本のバレンタイン・デーは今後もスタイルを変えていく可能性が大。楽しみですね♬

チョコレート商戦をやめるわけにはいかない!という経済論もあるけれど「男性から女性」のフランスでもバレンタインはチョコレートが大いに売れる。口紅やハイヒール、鞄などを模したチョコレートも人気
祐天寺りえ

祐天寺りえライター

1994年フランスのスキー場(メリベル)に移住。小学校勤務(給食、教室清掃、スクールバス添乗など)、執筆業、鍼灸&指圧&アロママッサージなどを生業とする3子(20&21&26歳)のシングルマザー。著書「フランスの田舎暮らしとおいしい子育て(小学館)」「食いしん坊の旅(パラダイム出版)」「フランスだったら産めると思った(原書房)」facebook.com/rie.yutenjiosaki

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