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【フランスからの報告】 野菜嫌い退治に試してみる? フランスの野菜・調理法

【フランスからの報告】 野菜嫌い退治に試してみる? フランスの野菜・調理法

第17回 ほうれん草もインゲンもクタクタになるまで茹でてしまうフランス。その意外な食育効果♬

フランスといってもパリから660km以上離れたスイスとイタリアの国境近く、フレンチアルプスのスキー場暮らし。そんな田舎&山から、華やかさはないけれど、ごく普通で一般的なフランスの日常や教育についてご紹介。今回は、フランスの野菜嫌い克服事情についてレポート!

クタクタ&グニャグニャ野菜が子ども達には人気

日本からの駐在員などがフランスの社員食堂で食べることになると、最初にギョッとするのは付け合わせの野菜の調理法だという。インゲンもほうれん草もクタクタに茹でられ、ブロッコリーもカリフラワーもグニャグニャになるまで炒められている。

同様に、村の小学校に勤務した私も給食でそのことにはビックリ仰天。しかもそのクタクタ&グニャグニャ野菜を子ども達は大喜びでお代わり。大量に食べる。

村の給食の付け合わせ・クタクタ&グニャグニャ野菜たち。左上から時計回りに「インゲン」「ほうれん草」「ブロッコリー」「グリーンピース&ポテト」。グリーンピースは彩りや飾り用ではなく、このようにグリーンピースのみを大量に付け合わせにする

しかし慣れとは恐ろしいもの。今では私自身もこのクタクタ野菜を好きになっている。

日本のご飯やビールにはシャキシャキと口応え良い野菜が合う。でも、フランスのパンやワインには、このクタクタ、グニャグニャした食感が悪くない。

そしてそのクタクタ&グニャグニャ調理法は、どうやら子ども達には食べやすいらしい。

考えてみればペースト状の離乳食から数年しか食歴がないのだから、シャキシャキよりクタクタの方が口にも馴染みがあるのかもしれない。

さらに考えれば、アメリカではカリフラワーもマッシュルームも生で出す。だから多くの子ども達は食べようとしない。(それで「ほうれん草を食べて強くなろう!」という漫画ポパイの発想が生まれた)

とすると、順番としては離乳食の後はフランス流にクタクタ。その後、日本風にシャキシャキ。野菜が好きになったら、アメリカンに生でもOK。このステップを踏むのが「野菜嫌いを育てない対策」にはいいのかもしれない。

ニンジン嫌いな子が少ないのは、昔ながらの定番サラダ「キャロット・ラペ」のお陰?!

給食や学食、社食の前菜の定番のひとつ「キャロット・ラペ」。

生のニンジンを極細の千切りにし、オイル&ビネガー&塩で絡めただけのサラダなのだけれど、これも「君たちはウサギかい?」と思うほど、子ども達は大喜びでバクバクと大量に食べる。

つまり「子どもが嫌いな野菜」の筆頭にニンジンは挙がらない。

ちなみに我が村の給食で子ども達が嫌う野菜トップ3は「芽キャベツ」「カブ」「セロリの根」。

「キャロット・ラペ」のレシピ

酒の肴や漬物代わり、箸休めの一品にもなる。大人用にはオイルと一緒にマスタードを加えたり、皿に盛ってからクミンやカレーパウダーで香りづけするのもおすすめ

日本でも最近はフレンチ・シェフらの「キャロット・ラペ」レシピがネットで公開されていますが、ここでは近所のおばあちゃんが孫のお昼用に作る最もシンプル、簡単&手軽なレシピを紹介しますね(我が家は今もこのレシピ)。

1)人参2本(大きめ)を洗い、皮をむく

2)マシンやチーズおろしで極細の千切り状にする(細ければ細いほど甘みと水分が出て子どもには食べやすい。日本では大根のツマ用おろしが最適。またはピーラーで薄切りしてから千切り)

3)ボールに入れる(ザル上げによる水切りや手絞りは不要)

4)スープスプーンに塩を軽く半分(約2つまみ)と胡椒少々を入れ、そこにオリーブオイルを注ぎ、ボールに加えてかき混ぜる

5)さらにもう1杯オリーブオイルを加え混ぜる

6)次に酢(りんご酢、ワインビネガー、バルサミコ、米酢など。または好みでレモン汁)も1杯。それも加え混ぜると、最初の塩はほとんどオイルと酢に流され、スプーンに残らないはず

7)味見をし、甘みが足りなければ塩を加えると子どもには食べやすくなる。幼児用にオレンジジュース少々を加える人もいる

新たな「子ども達に野菜をたくさん食べさせる作戦!」も検討中

近年、エコロジー政党が全国で票数をどんどん増やし「肉食による森や水への環境破壊」を問題視。給食でも「1週間に1度はベジタリアンメニュー」を義務づけるようになったフランス。

「過度なベジタリアン化は国内の酪農家破産につながる」と政府はブレーキも踏んでいるが、ただ肥満や糖尿病防止のために「子どもの頃からバランスよく、野菜もよく食べる習慣を」と給食での食育対策は常に練られている。

そこで今、始まっているのが調理法だけではなく、皿など食器への改革企画。

「同じ量の野菜を小皿、中皿、大皿に盛って比べると、大きいほど少なく見え、子ども達は完食。お代わりもするようになる」という実験結果により、大皿の導入が検討され始めている。

また、レストランでよくリゾットやパスタに使用されるフチが広く中央に窪みのある「ワイド・リム皿」。この深く小さい窪みに野菜を盛ると、平皿よりも少量に見え、子どもはあっという間に平らげるので、それを使用するようにしてはどうか? というアイデアも出ている。

つまり、これからは味覚だけではなく「目の錯覚」による視覚陽動作戦も発動することに。

左上から時計回りに「付け合わせのグリーンピース」「現在、給食で使われている平均的な平皿」それと同じ量を「窪みのあるワイド・リム皿」「平皿の1.5倍の大きさの皿」に盛りつけた場合

幼・小学校でも陶器皿とガラスのコップを使用し「子どもがうっかり落として割っても、それも食育」という考えのフランス。それがさらに将来はガストロノミーのような大皿やワイド・リム皿で食べる給食になる?!

アルミ皿&先割れスプーンで育った私の異文化驚愕は、これからも続きそうだ。

祐天寺りえ

祐天寺りえライター

1994年フランスのスキー場(メリベル)に移住。小学校勤務(給食、教室清掃、スクールバス添乗など)、執筆業、鍼灸&指圧&アロママッサージなどを生業とする3子(20&21&26歳)のシングルマザー。著書「フランスの田舎暮らしとおいしい子育て(小学館)」「食いしん坊の旅(パラダイム出版)」「フランスだったら産めると思った(原書房)」facebook.com/rie.yutenjiosaki

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