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【フランスからの報告】フランスのタマゴ事情

【フランスからの報告】フランスのタマゴ事情

4月初旬といえば日本は桜&新入学・新学年。一方、フランスは復活祭(イースター)シーズン。街じゅうに、そして学校や職場にも、卵型のチョコレートが飾られ、食べる1カ月。

今回はそれにちなみ、フランスのタマゴ事情をリポートします。

第19回 復活祭にはタマゴ型チョコ♬

4月といえばフランスは「パック(復活祭。英語ではイースター)」。キリストの復活を祝うお祭りで、カトリック界ではとても大切な行事のひとつ。

そしてその復活祭にタマゴ型のチョコレートを食べることも、大人から子どもまで、欠かすことのできない楽しみな年中行事のひとつ。毎年4月初旬だけで1万5000トン以上のチョコが食され、1年でクリスマスに次ぐ2番目のチョコレート売上高をあげている。

なぜタマゴ型?

卵は古代ローマ時代から「春」のシンボル。同時に「生命」や「生殖」「誕生」の象徴ともされ、春ならではの贈り物だった。

卵の中身を抜き、チョコを詰めるようになったのは18世紀からのこと。さらにムール(型)の技術が始まった19世紀には、すべてをチョコで作るタマゴ型チョコが人気となり、それが今も続いているのだそう。

庭や公園、森のあちこちに隠されている卵チョコを子ども達が探し、拾い集めるのが復活祭の楽しい家庭イベント

卵の消費量・日仏比較

2019年の年間1人当たりの鶏卵消費量。日本は338個で世界2位(1位メキシコ・3位ロシア)!

朝ご飯から卵焼きや卵かけご飯、目玉焼きなどを食べるから? と思ったけれど、同じく朝食にオムレツやハムエッグ、スクランブルエッグを食べるイギリスは、意外に下位で197個26位。つまり私達日本人は、朝食以外でも多量の卵を愛食しているらしい。

一方「朝から卵料理を食べるなんて考えられない!」と、朝食にはせいぜいバゲットにジャムを塗って食べる程度のフランスの鶏卵消費量は、223個で21位。それでもイギリスより多いということは、料理やデザートに使うことが多いからなのだろうか。

少なくとも週に1度は卵を食べるというフランス人は84%。週に2〜4度は38%。毎日は44%。(2019年パリマッチ誌)

フランスの卵

フランスに移住した直後、まず驚き、そして喜んだのが「卵が白くない」こと。日本では比較的、価格の高い茶色の卵がフランスでは主流。白は珍しく、むしろ高級食材店でしか見かけない。

でもそれは単に鶏の種類が日本とは違うため。だからヒヨコも日本とは違い、こんな、まるで「みにくいアヒルの子」のように黒や灰色ばかり。

卵につけられた記号は何の意味?

感心させられたのは、卵の販売における明確な表示法。卵1個1個に数字や記号が印字されていて、それにより消費者はその卵がどのような状態の親鶏から産まれたのかを知った上で購入できる。

例えば一番最初の数字で、次のように親鶏の飼育状況がわかる。

「0」BIO(オーガニック)。餌もオーガニックのみ。昼間は屋外。夜間や悪天候時の室内でも、とまり木や巣が設置されている場所で放し飼いされた鶏から生まれた卵。

「1」は屋外飼育。「0」と異なる点は餌がオーガニックではない。

「2」は屋内飼育での放し飼い。

「3」はケージの中。しかし2025年までに「3」のケージ飼育は全国的に禁止となる予定。

スーパーではほとんどの卵が冷蔵ではなく常温で売られ、購入後も20℃以下であれば湿度の低いフランスでは常温保存の家庭がほとんど。保存期間も3週間可能とされている。

生タマゴは食べない

ここ数年、パリなど都市部でも増加。人気となっているのが鶏の飼育。理由は、

1)健康や環境への配慮から国をあげて推進されているベジタリアン化に伴い、動物性タンパク質の代わりとして卵の愛食者が増加しているため。

2)鶏は狭いスペースでも飼育が可能。

3)国をあげて推進されているエコロジー面でも良策。(一羽あたり年間150〜160kgの生ゴミを減らすことが可能)

4)子どもの生物&飼育&情操&エコロジー教育にもなる。

5)都市にいながら田園ムードを味わえる。

私が住んでいる村でも鶏を飼っている人は多い。つまり常に新鮮で安全な卵を食べられるのだが、フランス人は卵の生食については習慣がなく、日本を旅するフランス人も「卵かけご飯」や「すき焼き」「月見うどん」などにはとても驚くという。

実際にはフランス人だって食べている、生タマゴ!

しかしムース・オ・ショコラ(チョコムース)やティラミスも、そのまま加熱せず、生で卵を食すデザート。

見た目に生食感がないから大丈夫なだけなのだろうか?

フランスの代表的デザート「ムース・オ・ショコラ」。家でも板チョコと卵だけで簡単に作れます。①卵3個を卵白と卵黄に分ける②卵白に塩少々を入れ、硬く泡立てる③板チョコ100gを電子レンジで10秒ごとに様子を見ながら温め、完全に溶かす(10秒ごとに切るのが肝心。一気に溶かすと固くなってしまうことが多い)④溶けたチョコに卵黄を1個ずつ混ぜる⑤そこに卵白を少しずつ混ぜていく⑤コップなど器に盛り、冷蔵庫で3時間ほど冷やせばでき上がり
息子がロックダウン中、スキースクールの人気マスコット「ピューピュー」と作った、村の子ども向けレシピ・ビデオ。お子さんと観て作ってみてもいいかも?

フランス人には神秘の料理?「厚焼き玉子」

フランスのモンサンミッシェル島にあるラ・メール・プラールをはじめ、バターたっぷり、黄金色のフレンチ・オムレツのファンは日本に多い。

ところが現地フランスで「何これ?!」「どうしたらこんな形に作れるの?」「どうやって巻くの?」と驚かれ、「おいしい!」と意外なほど喜ばれるのは、日本の「厚焼き玉子」。

専用の角型がなくても普通のフライパンでも作れるので、もしフランス人に何か手料理をご馳走しなければいけないようなことがあったら「厚焼き玉子」を作るのも一策かも? だし巻きにする必要もなし。例えば卵8個に塩ひとつまみ、砂糖ひとつまみ、醤油1匙だけ。つまりほぼ卵だけの方が好まれたりもする。

復活祭チョコレート

最後に口直しで、再び復活祭のチョコの話。

クリスマスケーキと同様、フランス中のショコラティエやパティシエ達がアイデアを駆使。復活祭のチョコ作りに情熱を燃やし、競い合うのも毎年の恒例。今年はどんな作品が生まれるのか、ワクワクと春の到来を待つのも楽しみのひとつ。

バレンタインのように復活祭チョコレートも日本で人気になったら、子どもも大人も楽しめそうですよね♬

©️Sébastien Fautrelle (左上)©️Studio911(DUPONTavec un thé )(左下)©️Studio des Fleurs(Angelo Musa l’hôtel Plaza Athénée)(中上)©️Sébastien Fautrelle(中下) ©️Adrien Bozzolo (右上)©️ Studio des Fleurs(Angelo Musa l’hôtel Plaza Athénée)(右下)
祐天寺りえ

祐天寺りえライター

1994年フランスのスキー場(メリベル)に移住。小学校勤務(給食、教室清掃、スクールバス添乗など)、執筆業、鍼灸&指圧&アロママッサージなどを生業とする3子(20&21&26歳)のシングルマザー。著書「フランスの田舎暮らしとおいしい子育て(小学館)」「食いしん坊の旅(パラダイム出版)」「フランスだったら産めると思った(原書房)」facebook.com/rie.yutenjiosaki

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