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【フランスからの報告】フランスの家の窓辺はどうしてきれいなの?

【フランスからの報告】フランスの家の窓辺はどうしてきれいなの?

フランスに移住して良かったことのひとつに「歳をとることが怖くなくなった」がある。
フランス女性の場合、若者よりも中高年の方が美しく、素敵に見えることが多いからだ。
化粧の仕方や髪型も、身につける服やアクセサリーも、年齢が上なほど、しっくりと似合い、洗練した装いの人をよく見かける。
そしてそれはファッションに限らず、暮らし方についても同様。
春から夏にかけての窓辺の花の飾り方はその良い例で、思わず足を留めて見惚れるような窓辺の家には、大抵が高齢の女性が住んでいる。
今回は、そのおばあちゃん達の腕前を「年の功っていうのも、いいものだなぁ」と眺め、楽しんでみてください♬


第27回 歳をとればとるほど巧くなる? 窓辺の花の飾り方

窓辺から、住んでいる人の年齢や収入を予測できる?

スイスやドイツなどヨーロッパには、地域により「窓辺やバルコニーに花を飾ること」が法令で義務づけれている国もあるが、フランスの場合はそれはない。
コロナ・ワクチンですら、義務化した途端に反対デモ運動が全国各地で起こったほど、義務が嫌いな自由尊重の国民性だ。
もし花を飾ることを義務にしたら、途端に歯向かい、飾らない人が増え、逆効果となるに違いない。

その自由のなか、窓辺やベランダに花を飾るフランス人は54%(以下、データは2018年KANTAR)。
そのうち40%を65歳以上が占め、50〜64歳は31%。35〜49歳は19%。35歳以下になると10%しか飾らないという。

花を飾るか飾らないかの大きな要因は「余裕」。

時間的、精神的、金銭的「余裕」による違いで、「子どもが中学生以上になってから飾りはじめた」という人も多く、そのため50歳以上の率が高くなるらしい。

平均経費は約7800円。
月収によるデータもあり、若くても月収40万円以上の世帯では46%が花を飾り、逆に月収20万円以下の世帯では50代であっても12%しか花を飾らない。

ただし65歳以上の場合は「花を冬越しさせ、翌春に再び開花させる」技術を持っている女性も多い。
つまり「経費ゼロでも見事な花を飾っている」ことも多いので、高齢者の家については経済的な裕福度を窓辺から予測するのは不可となる。

一番人気はジェラニウム

飾る花の一番人気は、ジェラニウム。
2位のペチュニアに大差をつけ、毎年トップなのは、手入れの簡単さ、華やかさ、開花期間の長さ、そして「同じジェラニウムでも様々なバリエーションがあり、好みにより楽しめること」からだという。

おばあちゃん達のアレンジ・センス

何より私がいまだに上手くできないのが、ジェラニウムの花玉の位置。どう植えれば、このような良い塩梅での散らばらせ方をできるのだろう?

色の混ぜ方、他の種類の草花の混ぜ方などアレンジの仕方が絶妙な窓辺も、大抵の場合、その作り手は高齢者だ。
つまり花の飾り方のセンスは、経験年数で磨かれていくということ?  毎年やっていれば、私もいつかはこんな窓辺を演出できるようになるのだろうか。

家の石垣を作る際にも、いくつか石をワザと棚のように前に突出させ、そこに植木鉢を置く家が多い。

「花いっぱいの村&町」コンテスト

個人に与えられる義務には猛反対。でも、国や行政に課す義務には文句を言わないのもフランス人の特徴の一つ。
そこで「全国各地の村や街を、花を飾ることで美しい景観にしていこう!」というアイデアから1959年にスタートしたのが「花いっぱいの村&町」コンテストだ。

ミシュランの星によるレストランの格付けのように、村や町にも1ツ花から4ツ花まで格付け表示をするようにしたため、各市町村は園芸予算や人員を確保。花による景観アップに励むようになり、フランス全土に美しい市町村が増えた。
住民の幸福度や郷土愛もアップ。園芸業に従事する若者も増え、無名の小村にも観光客が訪れるなど、様々な相乗効果もあるという。

競争心にはあまり煽られないフランスでも、これだけ効果が出るのだから、日本でも全国規模でやってみたら、地方活性に繋がるかもしれませんね♬

パラソルのセンスがいいのは若手!?

前のパラソルを捨てず、新しいものと2、3脚、組み合わせて使用。買い替えではなく、買い足しをする人も多い。

花の飾り方の達人は高齢者に多い一方で、パラソルのセンスの良さで軍配が上がるのは圧倒的に60歳以下。

花を冬越しさせるのと同様、60歳以上は物を長く使う。しかもパラソルは意外に頑丈。風雨にも強く壊れにくい。
新しい形や色、様々なシステムのパラソルが売られるようになっているが、高齢者はなかなか買い換えないのがネックなのかもしれない。

近年増えているのは、帆スタイル。一度張れば、パラソルのように開け閉め不要なこと。また小さい子どもがいても倒れる心配がなく安心。広範囲での日除けになることでも人気。
道端の小川に座るかかしにもパラソル

ムッシュー達は「郵便受け」をアレンジ♬

屋根の斜度まで、かなり真面目に設計図が描かれていたりもする。(右下)あとはこの空間に市販の郵便受けをハメれば完成。

最後に余談で、玄関脇にある郵便受けの箱をアレンジ、手作りを楽しむムッシュー達の作品もお楽しみください。

日本だったら、このためのキットが販売されそうですが、フランスにはそういう便利商品はなく、大抵は家の補修など、日曜大工に使った余り木や石材などを利用。
あまりにも精巧で、すぐに投函口が見つからず、配達に手間取る郵便屋さんもいるという。

投函口がどこにあるか、皆さんも探してみてください。
山なので山小屋風が多いなか、こんなアレンジも。(左)ワインの産地の地域には、こんな郵便受けも多い。(右)古い家具に埋め込むアイデア。中はホウキや長靴など庭道具の収納にも使っているそう。
祐天寺りえ

祐天寺りえライター

1994年フランスのスキー場(メリベル)に移住。小学校勤務(給食、教室清掃、スクールバス添乗など)、執筆業、鍼灸&指圧&アロママッサージなどを生業とする3子(20&21&26歳)のシングルマザー。著書「フランスの田舎暮らしとおいしい子育て(小学館)」「食いしん坊の旅(パラダイム出版)」「フランスだったら産めると思った(原書房)」facebook.com/rie.yutenjiosaki

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