風邪とウイルス 予防と対策2021
ワクチン接種も進み、新型コロナウイルスの感染率は減少傾向ですが、これからも油断は禁物。流行が懸念されるインフルエンザ、ノロウイルスと共に冬の感染症について最新情報をお届けします。
この冬も油断は禁物。インフルエンザにも要注意です。
新型コロナウイルスは、影響が低いと思われていた子どもたちにも夏場は広がりを見せ、ワクチン接種が8割を超えている国で急激に感染が広がったりと、まだまだ未知数。とくに冬にかけての対策は必須と唱えるのは救命救急科の萩原佑亮先生。
東京都立小児総合医療センター救命救急科萩原祐亮先生
小児と救急の2つの専門医・指導医の資格を持つ。小児救急の現場で診療と後進を育成。7歳女児と5歳男児の父の側面も。
「非常に感染力が強いデルタ株の流行で、この夏は爆発的に感染が増えましたが、10月から減少傾向にあります。しかし、いつ第6波がきてもおかしくない。この冬はインフルエンザ、ノロウイルスの流行の兆しもありますので、子どもたちが気をつけることは、手洗い、うがい、マスクの徹底。ウイルスは接触感染なので、きれいに洗い流し消毒することで対峙できます」
引き続き感染対策を怠りなく。
この冬気をつけるべき感染症は
新型コロナウイルス
接触・飛沫感染。この冬は第6波も懸念されている。子どもの症状は「未就学児まではほぼ無症状。軽微な風邪症状。現時点で重症化リスクは低いです」
[症状の目安]
・ほぼ無症状(子どもの場合)
・軽い風邪症状
・微熱
インフルエンザ
ウイルスが鼻や喉の粘膜に付着すると増え始め、潜伏期間を経て高熱が出る。
「急に高熱が出て該当の症状があればインフルの可能性が高いです」
[症状の目安]
・38℃以上の急激な発熱
・悪寒・関節痛
・咳・嘔吐・下痢
ノロウイルス
冬に多い感染性胃腸炎。手指や食品などを介して経口感染。
「特効薬はありません。強烈な胃腸炎で、嘔吐や下痢を繰り返し、たいてい親も感染します」
[症状の目安]
・急激な腹痛・下痢
・高熱を伴う時も
新型コロナウイルス、インフルエンザ……。今おさえておきたいキーワード7
新型コロナウイルスは刻々と状況が変わる中、乾燥する冬に、何を押さえておくべき? 気になるキーワードをピックアップし、流行の兆しのあるインフルエンザについて、先生にも話をうかがいました。
換気
冬場の空気の入れ替えは冷気が問題。厚労省のHPによると、時々窓を開けて空気の入れ替えをするよりも、暖房をつけながら一方向の窓を少しだけ開けて常時換気する方が室温変化が抑えられるとの内容も。ご参考に。https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15102.html
ワクチン
日本でも広がる!? 子どもの接種
アメリカでは、5~11歳の子どもにも接種が始まりました。「本当に5〜6歳の子が打つかというとまだ難しい。でも子どもの重症化はゼロではないので、この先安全性が確保できたらワクチンでガードを固めるのも、ひとつの手かもしれません」。
変異株
一般的にウイルスは増殖、流行していく過程で少しずつ変異を起こすと言われています。この夏の流行は感染力の強いデルタ株が主流で、子どもたちの間でも拡大。いま欧米で感染が広がっているデルタプラス株も従来株より感染力が高い可能性が指摘されています。
インフルエンザ
この冬は流行の兆し。ワクチンは早めに
「昨年流行しなかったRSウイルスが今年の夏は大流行し、インフルエンザもその可能性を十分に秘めてます。子どもにとっては、ある意味コロナより怖いので、今年は子どもも大人もワクチンは間違いなく打ったほうがいいと思います」。
うがい・手洗い
「これに勝る感染対策はありません。手についたウイルスは口鼻目などに触れることで粘膜から侵入。たとえついたとしても物理的にきれいに洗い流したり、アルコール等で消毒することでウイルスは退治できます」
行動制限解除
これから迎えるクリスマスやお正月も、昨年よりは楽しめそうですが。「ワクチンを打ってリスクは下がってきていると思うので羽目を外さない程度に。ただ全く元どおりではないというところは認識が必要だと思います」
メンタル
子どものサインを見逃さないで!
「新型コロナが流行った時にメンタル面で落ち着かない子どもの受診が増えたというのは、日本だけでなく世界的にも発表されています。親がピリピリしていると子どもは敏感に感じとるので、家族の中で精神的にも肉体邸にも安定した生活を送ることが非常に大事です」。
あらためて知っておきたい
先生に聞く冬の感染症Q&A
冬の乾燥と低い気温はウイルスが好む環境。免疫力も落ちやすいので病気にかかりやすい季節です。いざ、という時あわてずに対策ができるよう、冬の感染症について、先生に素朴な疑問を伺いました。
<病気編>
Q1.子どもが新型コロナウイルスに感染したら どんな症状が?
「少なくとも未就学児まではほとんど無症状か、軽微な風邪症状。感染していてもわからないことが多いです。重症化しないわけではないですが、インフルエンザなど他のウイルスの方が重症化リスクは高いといえます」
Q2. 風邪、インフルエンザ、新型コロナ、初期症状の違いは?
「初期症状は風邪と変わらないので、医者でも判断が難しい。喉が痛いとか鼻水、咳という典型的な症状も、今はどれも考えられる。まずは自宅で様子見を。身の回りで感染者などの情報があれば、保健所や病院に相談を」
Q3.重症化はすることはある?
「新型コロナの子どもの重症化はほぼありません。小児科医にとってはインフルエンザウイルスのほうが重症化しやすく怖い。昨年は流行がなかった中で、今年は大流行する恐れもあると危機感を感じています」
Q4.小児ぜんそくなど合併症を持っている場合、気をつけることは?
「コロナにかかわらず、喘息の子どもはインフルエンザ、風邪ウイルスを含め、気道感染をきっかけに発作が出たりするので、風邪などにかからないよう注意しましょう。改めて、うがい、手洗いを徹底して」
Q5.家族がかかったら子どもはどう過ごせばいい?
「まずは保健所へ。感染者数が少なくなって保健所に余裕ができているので、相談に乗ってくれると思います。親が感染した時点で、子どもは濃厚接触者になるので、親が入院して子どもの行き先がなくならないよう、ワクチンを打って重症化を防ぐことが大事」
Q6.各予防接種は受けた方がいい?
「たとえコロナ渦であっても接種は受けた方がいいと思います。予防接種は、過去の人類が感染症の脅威に対して戦った結果として開発された、労力をかけた薬なので、その恩恵にあずかることは大事だと思います」
<生活編>
Q7.手洗い・うがい・消毒、あらためて気をつけることは?
「今回コロナでわかったことは、手洗いうがいマスクは子供の感染症に対して非常に効果があるということは間違いないです。去年の自粛期間は小児科の受診も減ったんですよね。これからも徹底することが大事です」
Q8.保育園を休ませる目安は?
「風邪症状が明確にあれば、熱がなくても周りのお子さんに、コロナにかかわらずウイルスをまき散らす可能性もあるので、できるなら休ませたほうがいいですが、そこは家族と保育園との相談」
Q9.生活習慣で気をつけることは?
「これは大人もそうですが、睡眠と栄養に勝る薬はないと思います。とくに小さいうちはコントロールが必要。生活リズムが崩れると体調も崩れやすく、子どもは便秘になったりもする。大事なのは睡眠、栄養ですね」
Q10. ワコロナクチン接種が増えて収束に向かう?
「ワクチンを打ったからといって世界が一気に戻ったわけではない。でも必ずいつか収束するはず。数年かかるかもしれないマラソンみたいなもの。でも子供の貴重な時間もある、そこはやっぱりバランスが大事です」
Q11.中で外で、この時期子どもはどう遊ばせる?
公園・プチ旅行
「家族単位で旅行に行くとか、公園に出かけるとか子どもに経験をさせることは、この生活の中でメンタルに潤いを入れるとかの意味で重要です」 広い公園は親子で楽しめてベストとも。
朝のお散歩
例えば日曜日の朝、少し早起きして近所をウォーキングしたり、一駅先のパン屋さんに行ったり、朝の清々しい空気を吸いながら早朝散歩もおすすめ。1日のリズムを生み出します。
一緒に料理
お部屋で過ごすと決めた日は、メニューを子どもと一緒に考案してキッチンへ。食材切ったり、混ぜたりするなど役割を与えることで、集中力や責任感も。必ずどこか褒めてあげるのがポイントです。自分で作ると、食欲も増すでしょう。
宝探し
百均などで購入した文房具やミニおもちゃ、キラキラしたものを用意して各部屋に。ヒントを書いた紙を選ばせて、次第に難しくすれば頭の体操にも? ママやパパも参加してイベント性を高めるのも◎。
熱がでた! 嘔吐した!
夜中の困った緊急対処方
寝静まった夜中に、子どもの体調が急変! そんなハプニングは小さな子を持つ家庭なら1度は経験あるはず。悩むのは「様子見するべきか。夜間救急に向かうべきか」 そんなタイミングと、応急処置法をご紹介します。
高熱
「熱は悪者ではありません。ウイルスや細菌などの侵入者に対して免疫システムを活発化させるために体は熱を出します。免疫システムの正常な反応なので慌てる必要はありません。熱以外に本人の調子が悪くなければ受診を夜中に急ぐ必要はなく、辛そうなら処方された解熱鎮痛剤などを使用して様子見を。ぐったりして意識がおかしいなどの症状があれば受診を急ぎます」。あきらかに様子がおかしいときは受診を。
嘔吐・下痢
嘔吐・下痢によって脱水になることが問題。
「最も多い原因はお腹の風邪といわれるウイルス性胃腸炎。発熱と同じで、嘔吐・下痢は悪者ではなく、悪いものを体の外に排出するためのシステム。 吐き始めてから6時間ほどは水でも吐くを繰り返しやすいので、ある程度落ち着いてから経口補水療法といわれる、少しずつ水分を摂取させる形で十分。血が混じる、腹痛が異常に強いなどの症状があれば病院を受診します」。
けいれん
熱性けいれんは数分以内に収まることが多い。
「未就学児は、発熱によってけいれんする確率が誰しもあります。熱性けいれんと言われるものですが、成長とともに起こらなくなります。多くは数分以内に止まるため、まずは安全な場所に寝かせます。けいれん中は嘔吐することもあるので吐物がつまらないように注意。けいれんは誰しも動揺するので、初めての場合なら救急車を呼ぶことを躊躇する必要はありません」
ひく前にひいた後に
備えて安心 染症対策グッズ
冬に備えての感染対策は改めて確認しておきたいところ。手指の洗浄や、室内消毒、風邪薬、経口補水液などは常にストックしておくことが安心につながります。手元にあると安心な、対策アイテムをご紹介します。
風邪用塗り薬
大正製薬 ヴィックスヴェポラップ
鼻づまり、くしゃみ等の風邪に伴う諸症状を緩和する塗り薬。胸・喉・背中、ママの手でやさしくマッサージしながら塗ることで呼吸も楽に。生後6ヶ月の赤ちゃんから使えます。
除菌スプレー
マンダム MA-T Pure
多くのホテルや航空機で除菌・消臭目的に使用されている、水性ラジカル処方のやさしい除菌剤。「必要な時」「必要な分だけ」水性ラジカルが反応。確かな除菌力と安全性が期待出来る1本
歯磨き粉
サンギ アパガード アパキッズ
この季節はとくに口の中も清潔に。歯とほぼ同じ成分、「薬用ハイドロキシアパタイト」配合。むし歯の原因歯垢を吸着除去。歯の表面から溶け出したミネラルを補給しむし歯を予防します。
経口補水液
大塚製薬工業 OS-1
下痢や高熱の後は、脱水症状が心配。そんな時に適した電解質と糖質のバランスを考慮した経口補水液。感染症胃腸炎、感冒による下痢・嘔吐、発熱を伴う脱水症状の方に適した病者用。
手洗い洗剤
花王 ビオレu泡スタンプハンドソープ お花型
ポンと楽に押すだけでお花の形の泡が出てくる泡スタンプソープ。子ども自身から楽しい手洗い習慣が身につきそう。ポンプヘッドは抗菌加工に。にくきゅう型のスタンプもあります。
イラスト○omiso 編集・文○牧田ちえみ