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【フランスからの報告】フレンチパパはママにお弁当を作らせない?!
2020.08.06 by 祐天寺りえ 祐天寺りえ

【フランスからの報告】フレンチパパはママにお弁当を作らせない?!

フランスといってもパリから660km以上離れたスイスとイタリアの国境近く、フレンチアルプスのスキー場暮らし。そんな田舎&山から、華やかさはないけれど、ごく普通で一般的なフランスの日常や教育について、毎月2回リポートします!


お弁当&アペロ(料理持ち寄りパーティ)

今回は『お弁当やアペロ(料理持ち寄りパーティー)』について。まずは美食で名高いフランスのお弁当。さぁ、その実態は!?

キモノ」「スシ 」「マンガ」「ボンサイそして、今や「ベントー」もフランス語

フランス語で「お弁当」はPique-nique(ピクニック)やCasse-Croûte(カスクルート)。

それに代わって近年、英語の「ランチボックス」よりもよく耳にするようになってきた外来語が、なんと「Bento(ベントー)」!

というのも「ランチボックス」だと「アメリカ人みたいに単に箱にサンドイッチやホットドック。バナナやリンゴを入れるだけの『雑なイメージ』。

それが「Bento」になると、色々おいしいものが詰め込まれた夢ある小箱。まさに日本みたいな『細やかなイメージ』になるから・・・なのだそう。

フランス人達の作る「Bento

でも、だからと言って日本のお弁当を真似して作るのか? といえば、そこはNon!

ご覧の通り、大きな容器にパスタサラダなど1品だけを詰め込む人がほとんど。

「こんなのでもいいんだぁ!」と思わず嬉しくなってしまうほど大胆なBentoばかり(2018年マルハニチロ調査によれば、日本は3〜5品が84%を占める)。

「同じものを延々、飽きずに食べ続けられる」という国民性の違いもあるかも?

「メニュー」や「見た目」には悩まない

2019年くらしHow研究所のアンケートによれば、日本人のお弁当に関する悩みのトップは意外なことに「時短」ではなく「メニュー」で70.9%  。

一方のフランス人の悩みトップは圧倒的に「時短」。そして「コスト」。

だからそのために材料を買ったりはせず、家にあるものを詰め込むだけ(お弁当用冷凍食品なども皆無)。

息子(19歳)作。一見、綺麗に見えるけれど、リュックサックに入れて自転車に乗っていく間にシェイク。「ミックスサラダになっていい」のだそう。
ハイキング同行者のランチ。登山前に買ったバゲットをナイフで切り、アボカドもその場で切って半分バカッとパンの上に置く。それに缶詰のサーディンを加えれば、アボカド&サーディンサンドの出来上がり。出発前の準備不要。でも十分おいしそうで、私も次回やろう! と決意。

ムッシュー(男性)達は自分で作る。理由は「誰も作ってくれないから」&「妻に作って貰うなんて恥ずかしい」

2018年日本サーモス(株)の共働き夫婦対象アンケートによれば「男性の82%はお弁当は妻が作る」。そして自分で作らない理由は「妻が作ってくれるから」が61.5%。

一方のフランス人については、お弁当調査自体がフランスにはないので、周りの15名のフランス男性に訊いてみた。

すると全員「お弁当は自分で作る」。そしてその理由は「誰も作ってくれないから」・・・と真逆の答え。

そういえば日仏カップルの女性(専業主婦)にこんな風に言われたこともある。

「結婚当初は当たり前だと思って夫のお弁当を作っていた。でもある日、自分で作るからと断られ、それ以来、作らなくなった」

「フランス人は食にこだわるから自分が食べたいものを持って行きたいのかなと思ったら、そうではなくて、妻に作って貰う同僚なんて他にいなくて恥ずかしいから。それが理由だった」

3児のパパで会社役員のランチ。冷凍食品&リンゴのコンポート。お弁当作りを妻に頼む発想自体ゼロだという。「それこそ僕はマッチョ(フランス語では男性優位主義者の意味)だと公言するようなもの。世間に対して恐ろしくてできないよ(笑)」
次の日のランチ。夕食で余ったインド米にケチャップ&ハム&リンゴのコンポート

中学生以上も自分で作る。理由は同じ。「誰も作ってくれないから」&「ママに作って貰うなんてカッコ悪い」

もしかしたら「暗黙の了解」でフランス女性達は「夫や大きい子供のお弁当は作らない!」と一致団結しているのだろうか?

そうすれば「ママが作ってくれない子」が大半。少数派の「作って貰う子」は自然と「子供みたいでカッコ悪い」になっていく。

なんだか私達日本女性は「作り損」? でも、もし作らなければ夫や子供も作るようになるのだろうか?

フランス人のお弁当に重宝がられるのが、スーパーで売っているプチトマト。パック詰めのまま持参。パクパク食べる
日本のお弁当箱に魅了されたフランスの若者が仲間と起業した『monbento(モンベントー)』のお弁当箱。フランスは今、特に若者の間でエコロジーへの関心も急速に高まっているので、テイクアウトレストランとのコラボも展開。成功している。www.monbento.com

アペロ(料理持ち寄りホームパーティ)での心得

春から夏にかけては屋外で食べられるようになるので、料理を持ち寄ってのホームパーティが盛んになる。そしてその際、持ち寄られる料理、これがまたなかなか勉強になる。

それは、味やレシピではなく、ここでも水面下にしっかりとある、フランス女性達の手強くも賢い姿勢。

おいしいものを持参することはもちろん大切。ただし「凝ったものや手間暇かけたものは避ける」ことが肝心。

買ってきただけのサラミやメロンをその場で切って出す人も多々

なぜなら自分の料理の腕を披露する、単なる「自己主張」になりかねないし、それは不快感や嫉妬心を生む場合もあるので。

そもそもアペロには手ぶらで来てもいい! くらい気軽に参加できる風潮にしたいのに、その流れも壊しかねない。

パック詰めのミニトマトやオリーブはアペロでも重宝がられる

もっと広い観点でいえば、女性の負担を少しでも減らそうと努力している同性達の足を引っ張ることにもなり得るからだ。

お弁当からアペロまで、至るところに女性同士の小さな心得や掟(オキテ)があり、でも声高らかに唱えるのではなく「暗黙の了解」で守り合う。それがフランスのフェミニスト社会を一歩一歩、日常的にも進ませている。

キッシュやピザもオーブンプレートのまま持参・・・はごく普通。「皆それぞれ忙しい。でもお喋りを楽しみたくて集まるんだから、これでいい!」そういう飾り気なく強気な女性達の姿勢や考えがアペロをますます気楽で楽しいものにする
祐天寺りえ

祐天寺りえライター

1994年フランスのスキー場(メリベル)に移住。小学校勤務(給食、教室清掃、スクールバス添乗など)、執筆業、鍼灸&指圧&アロママッサージなどを生業とする3子(19&20&25歳)のシングルマザー。著書「フランスの田舎暮らしとおいしい子育て(小学館)」「食いしん坊の旅(パラダイム出版)」「フランスだったら産めると思った(原書房)」facebook.com/rie.yutenjiosaki

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