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【フランスからの報告】宿題なし、親子は別行動……これぞフレンチバカンス!

【フランスからの報告】宿題なし、親子は別行動……これぞフレンチバカンス!

フランスといってもパリから660km以上離れたスイスとイタリアの国境近く、フレンチアルプスのスキー場暮らし。そんな田舎&山から、華やかさはないけれど、ごく普通で一般的なフランスの日常や教育について、毎月2回リポートします!


夏休みはなんと8週間!

フランスの学校の夏休みは7月2週目から8月末までの8週間(つまり約2カ月)。その間、子ども達と親達はどのように過ごすのか?をリポートします。

夏休みは宿題なし

まず日本との大きな違い。それは、フランスは夏休み明けの9月から新年度がスタートすること。

つまり学年も、学校規模によってはクラスや担任教師も変わり、そのため日本の春休みと同様、宿題は出せない・・・とも言える。

でも他にも「夏休みに宿題がない」理由はある。小学校、中学校、高校の教師達に訊いてみた。

以下、教師達からの回答です。

理由①夏休みの宿題は「あってはならないもの」&「なんの役にも立たない無駄なもの」

夏休みは前年度を終え、新年度を迎えるための、とても大切な「切り替え」。

劇で例えたら、一旦きちんと幕を閉じ、次の幕を開けるまで、役者はきちんと息を整える必要がある。

すなわち子どもや親にとっても重要な、1年に1度は必須な『解放』『リラックス』の期間。

新しい本をワクワクと開くことができるか。くたびれ気味に嫌々開かせることになるか。夏休みの過ごし方で、かなり大きな違いが出る。

理由②夏休みの宿題は「不平等&格差」を生む

宿題を出すことにより家庭環境による不平等が生まれる。

この問題は普段の宿題でも既に生じている。でもそれを随時カバーするのは教師の務め。だが教師がノータッチの8週間後にはどうだろう。

親が多忙だったり移民だったり、指導や管理をして貰える子と全くしない子には大きな差が出てしまう。

そんな不平等や格差を教師や学校自らが生み出してはいけない。

理由③夏休みに出した宿題の添削は「誰」が「いつ」する?

そしてこれが実に面白いところ。小学校、中学校、高校のどの教師もが口を揃えて強く唱えたのが・・・

「その添削は誰がする?」

「教師だとしたら、いつ?」

「9月になんて、とんでもないこと! 新年度に初っぱなから足踏み。前に進めないなどもってのほか!」

「夏休み中に? どうして? 教師は10カ月分の給与しか貰っていない(※希望により12カ月分にならして受給している場合も多いが、合計すれば10カ月分が給与)。つまりボランティアで働けということ? それはどう考えても、あり得ない!」

夏休み家計がピンチ!?

フランスをはじめ欧州人は「バカンスのために働く」とよく言われる。

そのくらい「バカンスが好き」なことも確か。でもそれほど「バカンスにはお金がかかる」ということも事実だ。

2019年の調査によれば、フランス人の夏休み予算は、子ども1人当たり平均40,000円(25,000円以下24%。25000円〜60,000円25%。60000円以上27%)。家族1人当たり60,000円〜12万5,000円76%。12万5,000円〜18万7,500円16%。それ以上5%。

今年はコロナの影響で海外バカンスは減り93%が国内旅行になるなど様々な違いも出ているが、子ども達の活動費がかかることには変わりがない。

むしろ感染危惧から祖父母に預けられないことも多く、その分、出費は多くなっているのかもしれない。

子ども抜き。夫婦だけで過ごす 59%がOui(ウイ)❤️

もう一つ、フレンチバカンスで特徴的なことといえば「夫婦関係の維持や修復」にバカンスを当てる。そういう努力傾向も離婚率の上昇とともに、年々、確実に高まっていること。

とはいえ長くて1週間。4〜5日が大半。土日だけというカップルが多いのも実情。

子ども抜き、夫婦だけでバカンスを楽しむカップル

昼間は親と子どもは別行動

また親子一緒の旅行でも、昼間は子どもは現地で子ども用クラブに入れることも一般的(そのためリゾートやキャンプ場のほとんどに子ども用クラブがある)。

大人と子どもは体力も興味も違う。それぞれが昼間を満喫。夜だけみんなで一家団欒を楽しむ。それこそが快適なバカンスの過ごし方・・・という考え。

とりわけ中高生は、リゾートのクラブで新しい出会いや交流の場を持てることが多く、そのため親との旅行でも退屈することなく、それでフランスっ子達は反抗期まっさかりの思春期でも家族旅行に喜んで同行する傾向が強い。

8月後半の2週間は新年度に向けての助走期間

とはいえ、丸々2カ月も勉強をしなければ、当然、9月の新年度スタート時期には頭が動かず苦労する。

そこで毎夏、460万部も発売されるのが、これらバカンスドリル。

ただ専門家達も発刊元すらも

「決してバカンス初期、つまり7月からやらせたりはしないように」「8月最後の15日間、毎朝15分から30分だけ、がお勧め」

とアドバイスしている。

どのメーカーも無理のない分量(30ページ前後)。算数と読解が主流で、カラフルに楽しく1冊をやり終えられるように工夫されている(それでも4人に1人は途中でギブアップするそう)。1冊500〜700円。

新学期に向けてランドセルを買いに走る!

そして子どもに新年度への期待と希望、喜びを持たせるのに一番有効と言われているのが「新しいランドセル購入」。

毎年買い換える必要はないけれど、日本のランドセルほど高価ではないので、親子共々モチベーションを高めるために子どもと一緒に選ぶ、という家庭も多い。平均5000円前後。

毎年話題になるのは「いかに重量による成長期の子どもの腰や背中への負担を減らすか」で、2020年の新製品はこれ。左下に写っているキャリアに取り付けられるようにもなっている。

そして、バカンスの終わり……

新年度は9月1日(火)スタート。 交わす挨拶も「ボン・ヴァカンス(素敵な夏休みを)!」から「ボン・ラントレ(新年度、頑張ってね)!」に、いつの間にか変わっている。

みんな、いい新年度を迎えましょう♬
祐天寺りえ

祐天寺りえライター

1994年フランスのスキー場(メリベル)に移住。小学校勤務(給食、教室清掃、スクールバス添乗など)、執筆業、鍼灸&指圧&アロママッサージなどを生業とする3子(20&21&26歳)のシングルマザー。著書「フランスの田舎暮らしとおいしい子育て(小学館)」「食いしん坊の旅(パラダイム出版)」「フランスだったら産めると思った(原書房)」facebook.com/rie.yutenjiosaki

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