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【フランスからの報告】フランスのグランマ・グランパは愛されている?

【フランスからの報告】フランスのグランマ・グランパは愛されている?

フランスといってもパリから660km以上離れたスイスとイタリアの国境近く、フレンチアルプスのスキー場暮らし。そんな田舎&山から、華やかさはないけれど、ごく普通で一般的なフランスの日常や教育について、毎月2回リポートします!


フランスの「敬老」事情

今年の敬老の日は 9月 21 日。それに因んで今回はフランスの祖父母&孫の関係についてリポートします♬

フランスに「敬老の日」はなし!

フランスには「敬老の日」はない。でも「祖母の日(3月の第1日曜日)」と「祖父の日(10月 第1日曜日)」はある(つまりどちらも日曜日で祝日ではない)。

1987 年に「Grand’ mère(おばあちゃん)」という名のコーヒー会社が「祖母の日」を企 画したのが発端。

今ではカレンダーにも明記されるようになっているが日本のバレンタインデー ほどには広まらず、そのあと 2008 年に作られた「祖父の日」に至っては、ほとんど祝われていな い。

ではフランス人は祖父母など高齢者を敬わないのか?  といえば、そうでもなく、むしろかなりの 頻度で祖父母と孫達が会ったり連絡を取り合ったりしている。

80%以上が孫とは毎月コンタクト!

2019 年にSilvereco誌が発表した 250 人の祖父母を対象とするアンケートでは、82%が孫 には「毎月会うか電話などで話す」と答えている。

ただ、これは推測だが、この祖父母&孫のコンタクト頻度の高さは、フランス女性の就業率の高さ と連動するのかも?

というのもフランスの専業主婦率はとても低く 17.1 % (2019 年)。

でも幼稚園も小学校も水曜は休校。週休3日制なので毎週水曜日や、また風邪をひいた場合などは祖父母に子どもを預かってもらう人も多々。そのため夫婦のどちらかの実家近くに住むことが若い夫婦には多く、それで数字的に祖父母と孫が会う率が高いともいえる。

会えない時のコンタクト手段は「電話」が 2018 年までは半数を超えていたが、コロナにより 急増したのが Skype や Zoom など「SNS」。

高齢者用タブレットも急速に普及したので、今年の調査結果は電話よりSNSの方が上回るかもしれない。

 15 歳以上は自ら望んで祖父母にコンタクト

同調査でとても興味深いのは孫の年代によって「祖父母⇔孫」関係の方向性が変わること。

孫と会う理由は、幼少の孫達については「(祖父母が)面倒を見るため」という「祖父母→孫」の関係。それが15歳〜20代になると「(孫が)祖父母と喋りたいから」という「孫→祖父母」の流れに変わる。

「月に1度は祖父母に会いに行く。または電話をかける」と前述の 250 人の祖父母の孫達の 65%が答え、運転免許を所有する 18 歳以上になると「最低3カ月に1度は会いに行く」と 67%が答えていて、その平均距離も 90km。少し遠くても足繁く祖父母に会いに行っている。

会ったり電話をする理由は「喋りたいから」がほとんどで93%。

「親や友人とはまったく違う対話を楽しめ、異なる視野や意見ももらえる」「メディアなどでは読めないし聴けない情報やアイデアを得られることも多い」といった「世代が違うからこその魅 力」が強いらしい。

いわゆる孫達にとって祖父母世代は「異文化」。博物館やアンティークの店を訪れるのに似た楽しい感覚もあるのかもしれない。

そして「祖父母の前では違う自分になれる&戻れる」という精神的動機も多いところがなんとも言えぬ良質の人間関係。高齢者が疎まれている風潮もさほど感じられない。

カップルが親と同居は Non! その理由は ……

一方、祖父母と孫の関係から、親子の関係にも目を向けてみると……。

社会的経済問題から、フランスも年々、親との同居を続ける若者が増えている。でも、それはあくまでも独身限定。未婚&既婚に限らず、カップルでの親との同居は有り得ない。

既に述べたように、若いカップルが仕事と子育ての両立のために両親の近くに住み、子どもの面倒を見てもらうことはよくあるが、同居することは、ほぼない。

その理由のトップは「性的プライバシーを守れないから」というところが、さすが愛の国?!

そのため親の家を完全に出る年齢は、2018年Eurostar調査によれば、ヨーロッパ 28 カ国では 平均26 歳だが、フランスはやや早く 23.7 歳で6位(1位はスウェーデンで18 歳半)。

「Son jardin secret (=それぞれの秘密の庭)」つまり「プライバシー」は親子間でも守りたいと いう姿勢はかなり強く、離婚や死別で 1人暮らしの高齢者でも子どもとの同居は考えず、1人暮らし を続けるか、施設に入るかを選ぶことがほとんど。

ただ、この傾向も少しずつ変わっていくかもしれない。在日フランス人の友達の多くは「日本の二世帯住宅」に、とても関心が高い。

 「日本の昔ながらの同居だったらフランス人には不可能。でも玄関や台所などの水回りが全く別な二世帯住宅ならばお互いのプライバシーを守れるから大丈夫かも」

「経済的にとても魅力的」

「子どもが小さい時、預かってもらえるので便利」

「親の健康に不安がある場合、安心」

特に近年はフランスも高齢者施設の高額化と質の悪化が問題になっていて、親の老後をどうするかは、頭の痛い問題。高齢化社会で、ますます大きな課題になっていくに違いないことを考えると、

「フランス人の考え方も徐々に変わるだろうし、変わらなければいけないと思う。その時、良い アイデアとなるのが日本の二世帯住宅かもしれない」

と、日本の親子同居スタイルも注目されはじめている。

「自分の根っこ」を重視

そしてフランスの家族観を知る、興味深いエピソードがもう一つある。

8歳前後に小学校で必修とされているのが、樹の根元から枝までをイメージした家系図づくり。社会科で歴史上の人物の家系図を学ぶより、まずは自分の家系(つまり根っこ)を知るべし! という考え。

我が家の子ども達3人も学んだが、その度、同級生達は祖父母、曽祖父母、叔父&叔母、従兄弟まで写真を学校に持参。我が家にはないのでイラストで作成。

でも写真がない以前に問題だったのは、私が曽祖父母の名前を把握していず、日本の実家まで問い合わせたりと四苦八苦したこと。これぞ欠かしてはいけない自己を知る大切な学習かもしれない、と反省させられた。

さらに今回のコロナによる外出禁止令中には、多くの子ども達が祖父母にカードや手紙を書いて送っていたことも新鮮だった。

自分の根元と常に繋がっていることは、どっしりと安定感のある樹木のような「家庭の在り方」を築き、子どもの自己肯定感のベースになる。

こんな小さなことでもできるのだ、と気づかされた光景だった。

祐天寺りえ

祐天寺りえライター

1994年フランスのスキー場(メリベル)に移住。小学校勤務(給食、教室清掃、スクールバス添乗など)、執筆業、鍼灸&指圧&アロママッサージなどを生業とする3子(20&21&26歳)のシングルマザー。著書「フランスの田舎暮らしとおいしい子育て(小学館)」「食いしん坊の旅(パラダイム出版)」「フランスだったら産めると思った(原書房)」facebook.com/rie.yutenjiosaki

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