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お米作りで出会った「田んぼの神様」【親子ではじめるエシカル暮らし・32】

お米作りで出会った「田んぼの神様」【親子ではじめるエシカル暮らし・32】

なんと! 今年の春から、ご近所で何組かの家族が組んでいる田んぼのチームに入れてもらって、お米作りをしています。

「お米を作る」のは庭で野菜を作ってみよう、というのとは全然違う、高い高いハードルを感じていました。

ですが田んぼチームのみなさんに引っ張ってもらい、新米(まさに新米という言葉がぴったり!)は手取り足取り教えてもらい、やっています。

そして先々週、自然栽培で育てた苗をついに田植えしたところ。田植えをした田んぼ、なんともきれい。

忘れられない出来事があります。子どもの通うシュタイナー学校では、3年生の学びとして「米作り」に取り組みます。5年生の娘も2年前、地域で長くお米を作っているご夫妻の田んぼに半年通ってお米作りをしました。

田起こしして、畦塗りして、水を入れて、苗を育てて、代掻きして、やっと田植えをして……と、わたしは数回手伝いに行っただけですが、ぱくぱく食べているお米ができるまでって、こんなにも手間暇かかるんだなあ、とほんの一端を見ただけでもしみじみ。「お米作りを体験するっていいことだな」なんて、思っていたのです。

なのですが。その年の秋、ものすごい大型の台風が来て、住んでいた地域には甚大な被害がでてしまいました。稲刈りして干していた子どもたちのお米も土砂に埋まりました。台風が去って、道路が通行止めになっている中、クラスのお父さんたちが田んぼを見に行くと、お米作りを教えてくれていたご夫妻が自分たちのお米も埋まってしまったのに、先に子どもたちのお米を救出してくれていました。土砂の中から稲を掘り出して、洗って、干し直して……クラスのお父さんたちや、何年か前に同じく米作りをした高校生の子達が集まり連日作業してくれ、助けられたお米たち。

脱穀して、精米して、ついにお米ができた時、子どもたちが保護者にむけて「お米屋さん」をひらいてくれ、招待の手紙にこう書いてありました。

お米を食べた時、田んぼを去る時「田んぼの神様、ありがとう〜!」と手を振っていた子どもたち、教えてくださったご夫妻にお礼を伝えていた先生の涙、土砂崩れしたままの道……いろんなものが浮かんで胸が詰まりました。うれしくて、ありがたくて、言葉にできないような気持ちになったのです。

昔の言葉で「一粒のお米には7人の神様がいる」という言葉がありますが、7人の神様って七福神? くらいに思っていました。だけど水、土、風、虫、雲、太陽、そして作る人を「神様」と呼ぶと知って、わたしが感じたこともこの言葉に通じてる気がしました。自然と一緒に生き感じる敬意や畏怖を、昔の人は神様と呼んだんだなって。

自然という大きなものをコントロールできる気になって暮らしてきたしっぺ返しがきているのかな……と感じるような災害が続く一方、今もまだ、その自然の力を借りて、手を動かして、実りという大きなものをもらうことができている。神様みたいな、奇跡みたいな、そんなすごいものと、わたしたちは繋がっているんだな、とも思えます。だからこそ、今ちょっと立ち止まって、そんな神様みたいな、奇跡みたいな自然という大きなものの中でわたしたちが一緒に生きているということを、改めて考えていけたら……と思うのです。コントロールしようとふんぞり返ってる場合ではないと思うのです。一緒に生きていきたいのです。

そんなことを思いながら、今年の田んぼ。泥にまみれて太陽あびて汗をかきかき、秋の収穫を願っています。

中村 暁野

中村 暁野編集者、エッセイスト。

一年をかけてひとつの家族を取材する、家族と一年誌「家族」編集長。家族にまつわるエッセイやコラムの執筆も手がける。夫と9歳女子、2歳男子、たれ耳うさぎのバターと一緒に、2017年から、山梨と神奈川の県境にある藤野へ移住。古い一軒家を少しずつ自分たちで改装しながら暮らしている。kazoku-magazine.com

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