子育てママのお悩み解決メディア
子育て×エシカルで、親子の時間をもっと楽しく。【「マイ・エシカル」でいこう。・2】

子育て×エシカルで、親子の時間をもっと楽しく。【「マイ・エシカル」でいこう。・2】

第2回 エシカル協会・竹地由佳さんが実践する、親子でできるエシカル消費

今春から、中学校の国語・家庭科・社会科の教科書で「エシカル消費」が取り上げられるようになりました。教育出版の『中学社会 公民』では「持続可能な未来と私たち」という章で、「持続可能な未来を目ざしていくときに、注目されている考え方」として紹介されています。環境・社会・地域などへ配慮した消費の大切さを学ぶ機会は、今後ますます増えるでしょう。

一般社団法人エシカル協会理事の竹地由佳さんは、5歳と2歳の2児の子育て中です。エシカル消費を子どもが自然に理解し、実践できるようになるには、「想像力」と「創造力」の2つが大事だといいます。

スーパーに行ったら、「マーク」に注目!

一つ目の「想像力」は、前回記事で紹介したように、目の前にあるモノの「過去」「現在」「未来」を想像することです。

「誰がどこでどうやって作ったものなのか、思いをはせる。それを自分がどう愛用するか、使用後も捨てずにリサイクルしたり、人に譲ったりできるのか。モノの背景にあるものを想像し、それを本当に買うべきなのかを立ち止まって考えられるといいですね」

ただ、個人がその背景を調べるのは難しい場合もあります。そこで注目したいのが、商品のパッケージなどに表示されているマーク。フェアトレードやオーガニックなどの認証マークの他、企業が独自に取り組むサステナビリティや、公正な取引、社会に貢献する基金への募金などを示すマークです。竹地さんは、スーパーなどで子どもたちと一緒にマークを探しながら買い物をするそうです。

「『このマークはどういう問題とつながっているかな?』とか、『これを買うとどういう解決ができるかな?』と話しかけて、想像力をふくらませるようにしています。マークをよく見て買えば、自分が社会問題の一部になるのではなく、問題解決の一部になれるということを、だんだんわかってくれますよ」

左から、森林と生物多様性に関わる「レインフォレスト・アライアンス」認証マーク、農林水産省認定の「有機JAS」認証マーク、海のエコラベルの通称で知られる「MSC」認証マーク

「おさがり」ができる服を選んでみる

 エシカルやSDGsの取組を積極的に進めていることで世界的に知られるアパレルブランド「パタゴニア」のウェブサイトには、こんな記述があります。

「まずは消費を減らす。必要ないものは買わない。次は修理。まだ使えるものは直して使う。または再利用したり、共同使用することもできる。そしてついにこれらの選択肢がなくなったとき、リサイクルすること。(中略)私たちが会社としてできる最も責任あることのひとつは、長持ちする高品質の製品を作ることで、それにより皆様は消費を抑えることができます。衣類の寿命をわずか9か月間伸ばすことにより、炭素排出、水の使用、そして廃棄物のフットプリントを20%〜30%も削減できます。」

パタゴニア:WORN WEAR®: 新品よりもずっといい (patagonia.jp)

ウェブサイトには、日頃の手入れや修理の方法を紹介したページもあります。

2021年シーズンの同社製品の素材は、64%がリサイクルポリエステルなどの再生繊維で、フェアトレード認定工場で製造されています。それに加えてもうひとつ、竹地さんが注目するのは、子供服に3人分の名前を書けるネームタグがついていること。つまり、丈夫で長く使えるうえ、サイズが合わなくなったら「おさがり」ができるように作られているのです。

 竹地さんは子どもの保育園に「おさがりボックス」の設置を提案し、実現したそうです。

「おさがり、というと、現代ではちょっと恥ずかしさもありますよね。お金に困っているように見られるんじゃないか、とか。でも、思い出がつまったモノを引き継いで使えるのはいいことだよね、というポジティブな意義を共有できるようになれば、気持ちよく譲り、使うことができますよね。日本にはもともと“おすそ分け”の文化もありますから、ギフトエコノミーはこれからもっと広がると思います」

パタゴニアの子ども用ダウンジャケット。名前が記入できるタグがついている(写真提供:竹地さん)

コットンを育て、服ができるまでを学ぶ

二つ目の「創造力」は文字通り、創る力です。身近なところでは、家庭菜園や学校菜園などもそれにあたるでしょう。竹地さんは今年5月から「服のたねプロジェクト」に参加し、ベランダでコットンを育てています。

服のたねプロジェクトに参加し、育てているコットン(写真提供:竹地さん)

このプロジェクトは、参加者が各自で育て、収穫した綿花を持ち寄って服を作るというもの。その過程では、メンバーがオンラインでつながって「種まき会」や「植え替え会」の他、3回にわたる「ものづくり会議」を開きます。綿花を収穫したら、「工場ツアー」で実際の製造現場を見学。作り手に感謝の気持ちを伝えることもできます。(服のたね – ITONAMI (ito-nami.com)

コットンの種を湿らせ、土にまくところから親子で一緒にやるという竹地さん。一連の栽培を通して、子どもたちの成長を感じることができるそうです。

「芽が出て育っていく様子を毎日観察していると、たとえば天気の影響で葉っぱに元気がない時、子どもは心配そうにしています。彼らなりに思うことがあるみたいです。コットンはいろんな製品に使われている身近な素材です。ファストファッションの服にも大量に使われていますが、とても安いですよね。でも実際に育てると、こんなに大変なんだとわかる。作り手になってみることで、自分がふだん使っているものがどう作られているのか、深く考えるきっかけになっています」

 竹地家では、生ごみから堆肥を作る小型の「コンポスト」も導入。自分たちの消費の結果出たごみが、土中微生物によって分解され、土に還る過程がわかるようになります。毎日生ごみの量を計測し、たくさん出てしまった日は、ごみをもっと減らせる調理法や食材選びを一緒に考えるそうです。

ベランダ用のコンポスト(写真提供:竹地さん)

体験を積み重ね、子どもの視野を広げる

竹地さんは子どもと家にいる時、今世界で起きていることをわかりやすく説明した絵本などを読み聞かせることもあるそうです。もちろん、自然環境の破壊や生物多様性の損失、人権侵害、貧困といった社会問題は、すぐに理解できることではありません。でも身近な実体験の積み重ねが、いつか子どもの気づきや理解につながると竹地さんは言います。

「アフリカの飢餓についてのドキュメンタリーをテレビで放送していた時、長男は画面に映ったやせた子どもの姿にくぎ付けになりました。日頃から絵本を見せて、『満足に食べられない子たちもいるんだから、ご飯は残さず大事に食べようね』と言っていますし、食べられるだけの量を茶碗によそうようにしていましたが、そのことが彼の中でつながったように思います。5歳の子でも、少しずつわかってきているのを感じますね」

モノの背景を想像し、それにつながる創造や体験を重ねていくことで、子どもは遠い世界で起きていることや、自然や生き物とのかかわりなど、世の中に広い視線を向けられるようになると話す竹地さん。子育てにエシカルを取り入れることで、親としての考えや姿勢も定まってきたそうです。

「わたし自身も、子どもの教育方針に迷うことが少なくなり、気持ちが楽になりました。子どもに必要な『生きる力』とはなにかを大事に考えるようになったんです。地球上で、自分がさまざまな人と関わっていること、そして自分の存在が微生物まで含めたすべての生物とつながっていることも伝えていきたいですね」

エシカル協会代表理事・末吉里花さんが出版した絵本『じゅんびはいいかい?』山川出版社  末吉 里花 (著), 中川 学 (イラスト)

【教えてくれた人】

竹地由佳 (たけち・ゆか)さん 

宮城県仙台市出身。大学卒業後、銀行に就職し、個人営業を主に担当。行員向けの環境ボランティア企画にも携わる。2011年の東日本大震災をきっかけに、エシカルな仕事をしたいと決意。東北地方の復興事業やアメリカでのボランティア活動などを経て、2015年に一般社団法人エシカル協会の立ち上げから従事。エシカル消費の普及啓発の活動をしている。二児(5歳と2歳)の子育て中。

成見 智子

成見 智子ライター

東京都出身のジャーナリスト。農業と食を中心テーマに取材活動をしています。日本国内の畑や田んぼ、飲食店、直売所、加工所などを訪ね、生産者や作物の紹介、6次産業化、ローカルガストロノミーなどをリポート。農業には社会課題を解決できる糸口がたくさんあり、これからまだまだ伸びる業界です♡ 趣味は旅行、外遊び、ベランダ菜園、料理、読書。コロナをきっかけに、東京近郊の自然豊かな「トカイナカ」にも注目。地域の魅力ある人・コト・モノを発信しています。 tokainaka.jp

成見 智子さんの記事一覧 →