
藤田あみいの「懺悔日記」・10 汗疹がよくならない。もう何が正解なのやらわからない【懺悔日記・10】
妊娠出産を経て、深刻な産後うつに。
三年の月日をかけてようやく母親になった、わたしの懺悔の日記。
この連載は……
出産後、ある時期から深刻な産後うつ状態になったイラストレーター・藤田あみいさんが、3年間にわたる気持ちの揺れを克明に綴った日々の記録「懺悔日記」。その内容を、少しずつ公開していきます。
第10回・子どもってそれぞれなのだなあ

2014年5月16日
ゴールデンウィークもすっかり終わり、三鷹に帰ってきた。ついにてーたんと二人(夫ののっぴもいるにはいるが、仕事が本当に忙しい)だ。がんばろう。もう一度書いておこう。がんばろう。
歯が痛いので歯医者に行った。てーたんを抱きしめたまま、治療をすることになった。
歯科医と、助手と、娘の顔合計3つに見つめられたまま、歯の治療が進んだ。次回は麻酔もするそうだが、またこのスタイルで治療しないとならないのだろうか……いたしかたない。
夜は友人のアズとむっちゃんが遊びに来た。
最近てーたんの睡眠時間が遅くなっているので、二人に手伝ってもらって19時に入浴、20時に就寝させてみた。そんな日に限って目の前の小学校で和太鼓の練習をしだす始末。ごまかせるだろうか……。
そういえばつい先週、寝返りができるようになった。一度できるとコツを得たらしく、何度も何度も寝返りをしていた。やったね。
そしてもう5ヶ月になっちゃったが、3、4ヶ月検診に行ってきた。
他の子らが3、4ヶ月なので、てーたんが大きく感じた。だが、身長はそんなに大きくなく、横には大きめ……というのがてーたんの今のスタイルだ。
太っているのは今気にしなくて良いと言われる。3歳の時にすっきりしてれば、肥満にはならないよと……。なるほど、3歳までならどうにかなりそうな気がする。
ぼちぼち離乳食をはじめてみる。今のところちょっと口に含んで、べーって感じだ。食いつきが悪い。
その代わり母乳が大好きのようだ。母乳だけでよくここまで大きくなるものだと、人間の体の仕組みに感動を覚える。
わたしはとにかく、体にいいものをたくさんとって、綺麗なお乳を作っていこうではないか。
腱鞘炎が痛くて、日記を書く手に力がはいらない。
2014年5月21日
今日は雨。てーたんの体に汗疹ができている。結構ひどいと思う。
病院でもらった保湿剤を毎夜毎晩たっぷりとつけているが、なかなかよくならない。
お風呂上りによく乾かしているのだけれど、もう何が正解なのやらわからない。肌が弱いのか?
今日は、三鷹市の支援センターにいってみた。割と幅広い年齢の子がいるものだ。たくさんおもちゃがあった。いろんな子どもがいて、ここはしばらく楽しめそうな気がする。
3ヶ月の子と11ヶ月の子もいた。みんな見た目も中身も全然違う。子どもってそれぞれなのだなあと思う。
てーたんはお風呂用に買った、「お風呂で子どもが座って待っていられる椅子」で泣かずに待つことができるようになってきた。
これは使える!と思って買ったものの、座らせると大泣きしていた日々が嘘のようだ。お風呂がだいぶ楽になったぞ!
(次号に続く)
これまでの連載
第1回「私は生命を生み出してしまったのだと。ことの重大さに気づいた」
第2回「肉体的には限界だが、休むわけにはいくまい」
第3回「涙が出そう。すべての時間が赤ちゃんまみれ」
第4回「小さな腕に注射の管が刺さっている。私のバカ」
第5回「わからないことだらけで苦しい。どうして誰も傍にいてくれないの」
第6回「お腹の中でお星様になった子のこと」
第7回「どーでもいい細かいことがいちいち気になってしまう」
第8回「最高過ぎる実家暮らし。東京に帰るのがとても不安だ」
第9回「きっと、きっとどうにかなる。だってこんなに可愛いんだから」
第10回「汗疹がよくならない。もう何が正解なのやらわからない」
第11回「表現しがたいが、てーたんが回転するようになった」
第12回「離乳食はほとんど食べず、三角コーナー行き」
第13回「誰も言ってくれないけど、私、おつかれさま」

藤田あみい
イラストレーター・デザイナー・エッセイスト。
「無印良品の家」のウェブサイトで「ぜんぶ無印良品で暮らしています~三鷹の家大使の住まいレポート~」を執筆中。
2016年に同タイトルの本を出版。現在韓国語・台湾語に訳され、幅広い層の人へ向けて発信を行っている。
趣味はショッピング。夫と娘が生き甲斐。
「懺悔日記」読者へのメッセージ
妊娠・出産を得て、わたしは強迫性障害という病気になってしまいました。
強迫性障害を簡単に言うと「潔癖性」というようなものがわかりやすいと思います。
私の場合は潔癖ではなく、「『娘に障害があるのでは』という強迫観念が浮かんでくる。」というのが症状です。
愛する子供を育てていて、一瞬でも「この子に何かあったら」と不安を感じる人は少なくないと思います。
このブログはそんな気持ちのドツボにはまってしまった私の懺悔の日記です。
「ありのままを受け入れる」そこに至ることが難しい人に向けて、少しでも気が軽くなればいいなと思い書き連ねています。
藤田あみい