編集部の取材エピソード 親子でじっくり見たい。ふわっふわのひな鳥たち
今月の「mama’s STORY」は、福武忍さんの「とりのおかあさん」。
このコーナーでは初めての「細密画」です。絵を見ていただければ伝わってくると思うのですが、毛の1本1本まで、細かく細かく描き込まれています。
まず驚くのはその質感。どの子たちも、思わず触れたくなるくらいのふわふわ加減です。
ひなどりって、羽の生えている大人のとりに比べると質感が全然違う。
そんなの当たり前のことかもしれませんが、絵をじっと見ていると、同じ鳥でも、親子でこんなに質感も色も体のバランスも違うんだなあとあらためて発見します。
描かれているのは家の周りや動物園などで見る機会の多い、身近な鳥ばかりですが、じっくり細部まで見たり、ほかと比べることって実はあまりなかったかも。ストーリーを追うタイプの絵本とはまた違った楽しみ方がありますね。
この絵を描いた福武忍さんにはいくつもの細密画の作品があります。最初に動物の「毛」を描いて楽しい!と思ったのは中学生の頃だそう。(ちなみに、最初はタヌキの絵だったとか!)
写真を撮ったり実物を見たりして、その生き物の特徴を捉えて、細かく細かく描き込んでいく。
そんな気の遠くなるような細かい作業が楽しいのだとか。
「フラミンゴのように、大きくなる鳥は子どもの頃から脚が太いんですよ。ペンギンも、絵では隠れてますが、太いです」
「ペンギンのひなはオトナと同じ大きさに成長するまで、ふわふわの毛のままなんですよ」
打ち合わせの席でも、さらりと豆知識をいただきました。そう、だから、もしペンギンの群れの中に、グレーでふわふわした大きなペンギンが混じっていたら、それは子どものペンギンなのだそう。
絵の技術だけでなく、鳥についての膨大な知識があるからこそ、このリアルな絵が描けるんですね。
今回は「とりのおかあさん」というタイトですが、ツバメ、フラミンゴ、ペンギンは「おとうさん」と一緒に子育て、ニワトリ、カモは「おかあさん」だけで子育てをするのだそう。鳥の世界にもイクメンがいたりワンオペがあったりと面白い。そんなことも、福武さんに教えていただきました。
「絵本をきっかけに、お子さんが身近な動物に興味をもってもらえたらうれしい」と福武さん。
実物を見たら、もう一度絵を見直してみてくださいね。動物園に持って行ってもらえたら、なおうれしいな。