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藤田あみいの「懺悔日記」・22悲しいことにわたしは、娘を色々と試すようになっていた【懺悔日記・22】

2017.04.18

妊娠出産を経て、深刻な産後うつに。
三年の月日をかけてようやく母親になった、わたしの懺悔の日記。

この連載は……

出産後、ある時期から深刻な産後うつ状態になったイラストレーター・藤田あみいさんが、娘のてーたんを育てながら3年間にわたる気持ちの揺れを克明に綴った日々の記録「懺悔日記」。その内容を、少しずつ公開していきます。


第22回 かかりつけの医者の所へ

22

2014年11月17日

東京に帰ってきた。てーたんと夫は久々の対面だ。

夫は、こんなに元気じゃないかと。あなたがあんな風に電話をかけてくるから、どうしたものかと思って眠れなかったと。たくさん成長しているじゃないかと言っていた。

てーたんと遊びながら静かにちょっと涙を流していた。

そしてその日のうちにかかりつけ医の元に出向いた。

わたしはその辺にあった折り紙に、てーたんの気になるところを箇条書きにして、たくさんたくさん書いて持って行ったが、先生はそれにさっと目を通して、ポイっとゴミ箱に捨てた。

先生は明らかに怒っていた。当然だ。実際に発達障害を抱えている子と、その親を複数みてきているのだ。

わたしは「もし何かあるのなら、この子のために早く手を打ちたいのです。」といったが、

先生は「こんな小さいうちからそんなことを気にしなくていいの。普通の子だと思って育てる方がお母さんにとっても健康的。それにこの子はなんともない。素人が不要な心配をしないこと。」とわたしをたしなめた。

すっかり自分の子どもを発達障害があるのではと思ってしまうようになってから、わたしの心の中に咲いていた綺麗で可愛いお花が枯れてしまったのだ。

どれだけ水をやってももう元気にならない。辛くて長い育児生活がはじまろうとしていた。

2014年11月21日

悲しいことにわたしは、てーたんのことを色々と試すようになっていた。最悪な母である。

試していたことは主に指さしである。指さし、については1歳半検診で重要視するそうで、とても気にしていた。

・お母さんの指さしたものを見るか
・自分が見つけたものを指差すか
・指さしたものをお母さんに見せようとし、目を見ながら指さしをするか
・お母さんが「わんわんどれ?」などと聞いたものに対し、わんわんの絵を指させるか。

医学的にはそれぞれ段階を得て獲得していくものだとインターネットに書いてあったが、これが1歳半までに出来ていれば、発達障害に関してはあまり気にしなくて良いという意見が多かったので、私は指さしができるかをとても気にして、指さしの実験を何度も行っていた。

今日はウッドデッキにすわらせて、てーたんの後ろに人形を二体置いた。

「てーたん、あれを見て」と指を指すが、全然見てくれない。

インターネットにはもう11ヶ月は指さしした方向を見るとかいてあった。

たまに見てくれる時もあったように思うが、やはり全然見てくれないのだ。

悲しい。何が悲しいかって、娘をこんな風に試している自分が悲しい。

できなかったことも、もちろん悲しくて、鉛を飲んだように重い気持ちは続いていたのだが、それ以上に、こんなに髪の毛もポヤポヤで、ただふくよかな頬をしているいい匂いのする優しい子をこんな風に試している自分が大嫌いになった。

大嫌いだ。消えてしまいたい。

ちなみに、バイバイは普通の形になった。でも不安は消えない。

(次号に続く)

これまでの連載
第1回「私は生命を生み出してしまったのだと。ことの重大さに気づいた」
第6回「お腹の中でお星様になった子のこと」
第7回「どーでもいい細かいことがいちいち気になってしまう」
第15回「知らないおばさんに「子どもは希望」と言われて、泣きそうになる」
第16回「自閉症。発達障害。検索結果が頭の中から消えてくれない」
第17回「ごめんね、ごめんね、どうしてこんな母親なんだろう」
第18回「障害や病気は医者が見つけるから、お母さんはこの子を可愛がってあげて」
第19回「強いお母さんになりたい。不安で震えが止まらない」
第20回「インターネットから得た余計な知識。どれも燃やして捨てたい」
第21回「これは母親の勘なのか、それとも私が異常なのか」
第22回「悲しいことにわたしは、娘を色々と試すようになっていた」
第23回「ただひたすらに「助けて助けて」と頭が悲鳴をあげていた」
第24回「この子に何か問題があってもいいじゃないか」
第25回「断乳した翌日、信じられないことが起きた」
「懺悔日記」連載一覧

藤田あみい

イラストレーター・デザイナー・エッセイスト。
「無印良品の家」のウェブサイトで「ぜんぶ無印良品で暮らしています~三鷹の家大使の住まいレポート~」を執筆中。
2016年に同タイトルの本を出版。現在韓国語・台湾語に訳され、幅広い層の人へ向けて発信を行っている。
趣味はショッピング。夫と娘が生き甲斐。

「懺悔日記」読者へのメッセージ

妊娠・出産を得て、わたしは強迫性障害という病気になってしまいました。
強迫性障害を簡単に言うと「潔癖性」というようなものがわかりやすいと思います。
私の場合は潔癖ではなく、「『娘に障害があるのでは』という強迫観念が浮かんでくる。」というのが症状です。
愛する子どもを育てていて、一瞬でも「この子に何かあったら」と不安を感じる人は少なくないと思います。
このブログはそんな気持ちのドツボにはまってしまった私の懺悔の日記です。
「ありのままを受け入れる」そこに至ることが難しい人に向けて、少しでも気が軽くなればいいなと思い書き連ねています。
藤田あみい

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