
中学・高校受験エッセイ・8 中学受験で子どもをやる気にさせる、3つの声かけポイント【我が家3児の受験事情・8】
この連載は……
3人のお子さんの中学受験・高校受験を経験した、ライターの佐貫香子さんによる受験エッセイ。受験生のママとして感じたことや、日々の取材を通して見えてきた受験事情を綴ります。
我が家3児の受験事情・8
子どもが勉強をしてくれない! そんなときどうする!?

塾探し、お金の工面、学校探し……中学受験をさせると決めたその日から、ママには苦労がいっぱい。でも、一番の苦労は、子どもに勉強をさせることではないでしょうか。
今回は、どうやって子どもにやる気を出させるのか、自分の体験をもとにまとめてみました。
塾の先生をおおいに利用する
仕事が忙しい、家事は山積み。その上、子どもが勉強をしないでダラダラしていたら、よけいイラッとしますよね。
塾に通い始めると、山のような宿題が出されます。この宿題をこつこつとこなすことで、塾で習ったことが定着するし、毎日勉強する習慣が身につくのです。
が、これを遊びたい盛りの子どもにさせるのは難しい。
私も、宿題の束を机に叩きつけて「勉強しなさい!」と何度子どもを怒鳴ったことか(成人した長男からいまだにこのときの母さんは怖かったとねちねち言われます)。
いったいどうやったら勉強してくれるのでしょう。
基本的には、勉強についてのアドバイスは塾におまかせにして、口出ししないのが一番いいと思います。
子どもは親が言うことはきかなくても、塾の先生の言うことはなぜか素直に聞くのです(ただし、先生との信頼関係ができていることが大前提)。
もし、どうしても言いたいことがあるのなら、塾の先生に電話をして状況を伝え、塾の先生から代わりに言ってもらうのも手。そのためには、日ごろから塾の先生とコミュニケーションを取っておくことが大事です。
塾の先生は忙しいから迷惑では?と思うかもしれませんが、私の場合、塾の先生自らが「勉強面で困ったことがあったら、お母さんからは何も言わないで塾に任せて」と言っていましたし、そういうときに頼りにされることを喜んでいるようにも見えました。
みんながみんなそうではないかもしれませんが、そういう先生は塾に多いと思います。
声がけに工夫する
親がかけるひと声で、子どもをやる気にもさせることもできるし、その逆もある。日々の子育てで皆さんも実感していると思います。ではどんな声がけをすれば子どもはやる気になるのでしょう。
その1 命令形を使わない
「○○をしなさい」という命令形は、百害あって一利なし。わが身を振り返ってもそうですよね。こう言われると「今やろうと思ったのに…」と急激にやる気がなくなってしまうから不思議です。
命令形の代わりに、「○○したらどうかな」と提案してみる、あるいは「今何をするべきだと思う?」と子どもに聞いてみる。子どもは「いやだ」「わからない」と言うかもしれませんが、成果を焦ってはいけません。
命令形を使わないだけで、会話がぎすぎすしなくなってくることを実感できると思います。まずそこが大事。そのうち子どもも「確かにそうしたほうがいいかも」「そうだ、勉強しなくちゃ」と自分で考えるように変わっていくはずです。
その2 ポジティブな結果をイメージさせる
「○○しないと××になるわよ」という言い方は、ネガティブな結果を連想させてよくありません。
よい声掛けは、「○○したら◎◎ができるね」とポジティブな結果をイメージさせること。たとえば「さっさと宿題をしないと明日困るよ!」の代わりに「今この宿題を終わらせたら、ご飯のあと、ゆっくりできるよね」、あるいは「そんなに汚い字だと×になっちゃうよ」の代わりに「もう少し丁寧に書くと、正解になるかもね」といった感じ。
とはいえ、そう簡単に「そうだね!」と言うことを聞くとは限りません。が、ポジティブな言葉をかけ続けているほうが絶対に気持ちは上向く気がします。
その3 まずねぎらう
親はついつい「あれができてない」「これもできてない」と、子どものあら探しをしてしまいがち。でも、子どもはたいてい、自分はすごくがんばっている、と思っているものです。
まずそれを認めて、ねぎらい、ほめてあげることが大事です。
10ページの宿題を3ページしかしていなくても、「まだ3ページしかしていないの?」ではなく「もう3ページもできたんだ。がんばったね」と、がんばりを認めてあげる。それだけのことで子どもは笑顔になるし、もっとがんばろうと思うかもしれません。
いっぱいいっぱいかもと思ったら
夜遅くまで塾に通い、毎日たくさんの宿題をこなしているわが子。もう、いっぱいいっぱいかも、と思ったときは、どうしたらいいでしょう。
「もうちょっとがんばろう」と言う? ブブーッ。不正解!これでは子どもをもっと追い詰めてしまいます。
「今日はもう勉強しなくていいよ」と言う? ブブーッ!「そんなこと言って、本当は勉強してほしいんでしょう?」と子どもは思うもの。逆にプレッシャーを感じたり、自分を責めたりするかもしれません。
こんなときは「今日は勉強禁止!」くらい言ったほうが、堂々とサボれて子どもはラクです。かといってずっとサボられても困るので、本当に子どもがまいっているな、と思ったときの最後の手段と思ってほしいのですが…。
どうしても子どもにイライラしてしまうときは
結局、勉強しなくて受験に失敗しても、困るのは子ども。親が必死になる必要はない、と少し突き放して子どもを見ると、あまりイライラしなくなるかもしれません。
そうは言っても、「お金を出しているんだから成果を出してほしい」し、「こんな小さいうちに挫折感を味あわせたくないから合格してほしい」というのが親心なのですが。
でも、親が必死になればなるほど子どもは委縮したり、勉強が嫌いになったりするだけで、決してやる気にはなりません。
やはり最初に言ったように、子どもをやる気にさせるのは、プロ(=塾の先生)にお任せして、ママは笑顔でいるのが一番なのかもしれません。