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藤田あみいの「懺悔日記」・32恐れていた一歳半検診。ついにこの日が来た【懺悔日記・32】

2017.05.23

妊娠出産を経て、深刻な産後うつに。
三年の月日をかけてようやく母親になった、わたしの懺悔の日記。

この連載は……

出産後、ある時期から深刻な産後うつ状態になったイラストレーター・藤田あみいさんが、娘のてーたんを育てながら3年間にわたる気持ちの揺れを克明に綴った日々の記録「懺悔日記」。その内容を、少しずつ公開していきます。


第32回 恐怖の一歳半検診

32

2015年6月11日 

恐れていた日がきた。一歳半検診。ついにこの日が来たのだ。

仕事終わる直前くらいから緊張感がすごく、自転車を漕ぐ足に力が入らなかった。手も足も痺れていた。

日中はずっと心臓がドキドキしていて仕事にならなかった。こんな心持ちで一歳半検診に来てるのはわたしだけなのでは……

三鷹市の一歳半検診は他の地域と比べて少し厳しいと聞いた。

まず、ふつうの医療機関にかかった後に、保健センターでもう一度別日に検診を行うそうだ。今日は医療機関での検診。

いつもの菩薩のようなかかりつけ医のところへいった。

一歳半検診の中ではまず母親への問診があり、その後身長体重を測る。そして内診と、いくつかのテストのようなことをさせられるのだ。

積み木を5個つめるか。これを片付けて、お母さんに渡す、という指示が通るか。いくつかの絵を見せて、正しいものを指差しできるか。こんなところだった。

指差しは事前に家でできていたのを確認していたから大丈夫だとおもっていたが、想像以上に犬やらボールやらの絵柄が古めで、80’sの雰囲気を感じた。あれは改定すべきだと思う。

だが、きちんとそこもクリアし、他のテストも問題なく行うことができた。

「お母さん、質問は?」と最後に先生が言った。

最近気になっていることといえば、てーたんが水に興味がでてきたらしく、水を触りたがること(て!て!と言って、水に手を伸ばす)、あと坂道が楽しいのか、行ったり来たりして楽しんですること。

どちらも子供なら当たり前のような行動にも思えるが、何事も不安な私は、先生に聞かずにはいられなかった。

「あの、最近水に執着していたり坂道を行ったり来たりするようなことがあるのですが、心配しなくてもいいのでしょうか?」と聞いてみたら、「お母さんが心配している発達障害があるようなら今日のテストはできていないはずです。大丈夫。順調よ」と言ってもらえた。

えっ……そうなの……?ほんとにそうなの……?心が踊るとはこのことかと思った。

私は、約10ヶ月心配してきたことから解放されたような気持ちになった。

2015年7月2日

 
今日は保健センターの方の一歳半検診だった。てーたんは保育園をやすんでの参戦となった。

ひと月前に医療機関での検診を終えているので特に問題視していなかったが、やはり行く途中は緊張して自転車の操縦を誤りそうになった。

保健センターではほぼ前回の検診時と同じことをさせられた。紙に殴り書きができるか。言葉は何個出ているか。そんな話と、やはり積み木・指差しの確認。だった。

全然問題ないわね。お母さんは随分心配しているみたいだけど、どこが心配なの? 一応奥の部屋に先生きてるけど会っていく?と保健師さんに言われたので、面会させていただいた。

保健センターのちょっと奥にある部屋に通された。広めの部屋に三つくらいちゃぶ台があり、その各場所に大学病院からきた先生が座っていた。

子どものためにおもちゃもふんだんに用意されており、保健センターの方たちと子どもをそこで遊ばせて、その様子をみながら、心配事を話すという流れのようだった。

私は、いままでの経緯をざっと話し、「ずばりどう思いますか……」と聞いてみた。

若い女の先生だが、専門のようだった。先生は「今の時点では『絶対』というふうには言えないと思いますが、問題ないと思います」と言った。

この時のホッとした気持ちのなんと心地よかったことか。

こうして私の長い長い心配生活は終わった、ように思えた。

(次号に続く)

これまでの連載
第1回「私は生命を生み出してしまったのだと。ことの重大さに気づいた」
第30回「私はこんなにめちゃくちゃな人間なのです、と泣けたらどんなに楽だろうか」
第31回「破壊へと道を進めているのは私そのもの。私だけが狂っている」
第32回「恐れていた一歳半検診。ついにこの日が来た」
第33回「わたしが暗闇の中を彷徨ってる間に、この子はこんなに喋れるようになった」
第34回「ああ嬉しい。もうちょっとで普通のお母さんになれる」
第35回「胸の奥から再びモヤモヤした黒いものが湧き上がってくる」
第36回「娘に「ママいなくなってもいい?」と聞いてしまった」
第37回「頭の中は娘に関する心配事ばかり。身も心も憔悴しきってしまった」
第38回「体重が激減した。ご飯が喉を通らないのだ」
第39回「悩んでいたことが口からこぼれ、初めて会った人の前で泣いていた」
第40回「もう終わらせたかった。なにもかもを終わらせて、消えたかった」
第41回「ちょっとだけ話をしたい」と言いながら、子どもみたいに泣いた」
第42回「元気に見える人たちも、なんらか心に葛藤を抱えている」
第43回「愛情という文字を見た瞬間に、わたしは大きな声を上げて泣いていた」
第44回「「自分を責める必要はない」というのはわかったが、やっぱり辛いのだ」
第45回「娘を見ているのがつらいなんて変だ。私は家を出ることにした」
第46回「布団に入っても、夫の言葉が頭の中を巡った」
第47回「自分に発達障害の可能性があるとは、夢にも思わなかった」
第48回「私が発達障害を抱えているとしても、何も変わらないのではないか」
第49回「私は、可愛い娘から逃げてここにいるのだ」
第50回「ママ、大好き」と言って眠りに落ちた娘の側で、私ももう一度眠りたい
「懺悔日記」連載一覧

藤田あみい

イラストレーター・デザイナー・エッセイスト。
「無印良品の家」のウェブサイトで「ぜんぶ無印良品で暮らしています~三鷹の家大使の住まいレポート~」を執筆中。
2016年に同タイトルの本を出版。現在韓国語・台湾語に訳され、幅広い層の人へ向けて発信を行っている。
趣味はショッピング。夫と娘が生き甲斐。

「懺悔日記」読者へのメッセージ

妊娠・出産を得て、わたしは強迫性障害という病気になってしまいました。
強迫性障害を簡単に言うと「潔癖性」というようなものがわかりやすいと思います。
私の場合は潔癖ではなく、「『娘に障害があるのでは』という強迫観念が浮かんでくる。」というのが症状です。
愛する子どもを育てていて、一瞬でも「この子に何かあったら」と不安を感じる人は少なくないと思います。
このブログはそんな気持ちのドツボにはまってしまった私の懺悔の日記です。
「ありのままを受け入れる」そこに至ることが難しい人に向けて、少しでも気が軽くなればいいなと思い書き連ねています。
藤田あみい

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