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ああ嬉しい。もうちょっとで普通のお母さんになれる【懺悔日記・34】
2017.05.30 by Hanakoママ Hanakoママ

藤田あみいの「懺悔日記」・34 ああ嬉しい。もうちょっとで普通のお母さんになれる【懺悔日記・34】

妊娠出産を経て、深刻な産後うつに。
三年の月日をかけてようやく母親になった、わたしの懺悔の日記。

この連載は……

出産後、ある時期から深刻な産後うつ状態になったイラストレーター・藤田あみいさんが、娘のてーたんを育てながら3年間にわたる気持ちの揺れを克明に綴った日々の記録「懺悔日記」。その内容を、少しずつ公開していきます。


第34回 帰省

34

2015年8月2日

夏になったので北海道に帰省した。

浴衣を着てお祭りに出かけたり、知床に行って船に乗ったり、いわゆる普通の「夏休み」を楽しんだ。

北海道での日々はとてもにぎやかにすぎていった。夫は相変わらず忙しいようで、元・私の部屋に閉じこもり仕事をしている時間が多かったのが唯一残念だった。

1歳と8ヶ月になり、てーたんは本当によく喋るようになった。

おしゃべりも凄いが、お歌のレパートリーが本当にすさまじい。40曲くらい歌える気がする。

できることがたくさん増えて、これからの楽しい未来を想像してしまう。

以前のように不安になることも本当になくなった。ふとした時にちょっと気になることがあってもさっと流せるようになった。

たまにぶり返すように父と母に悩んでいた時の話をされるのが嫌だ。もうあの時のようには戻りたくない。思い出すのも嫌なのだ。

それでも、てーたんのできること・できないこと、全てに不安を感じてしまっていたあの時間は一体何だったのだろうかとたまに思い返すことがあるが、それこそ手で振り払うように今に集中することで忘れるように努めている。

とにかく総じて楽しい帰省であった。

2015年8月18日 

断薬というのは勝手に行ってはいけないようである。

しかしながら飲まなくても気分がよいので勝手に少しずつ減らしていっている。

先生に告げると「うん、いいと思うよ」というライトな返事だったので、「いいのか!」と安心した。

薬を全く飲まなくて良くなる日も近いと思われる。クリニックにだってもうこなくてもいいんじゃないかなと思っている旨を先生に伝えると、「じゃああと二回ほどで卒業にしようか」と提案してくれた。

ああ嬉しい。もうちょっとで普通のお母さんになれる。少し前まで街で見かけるどのお母さんたちもキラキラ輝いて見えていた。今度は自分も聖母のようにキラキラと輝いて見えるかもしれない。

辛く長い時間が終焉を迎えるにつれ、じんわりと体の中を幸せが満たしていく。

母になれた幸せ、家族を持てた幸せ、娘を愛しいと感じる気持ちの暖かさ。

眠る前に少しだけ涙が出る時がある。こんなにじっとりとした夏の夜のような幸せを味わえるのも、あの辛い気持ちを経験したからなのだろうか。

(次号に続く)

これまでの連載
第1回「私は生命を生み出してしまったのだと。ことの重大さに気づいた」
第30回「私はこんなにめちゃくちゃな人間なのです、と泣けたらどんなに楽だろうか」
第31回「破壊へと道を進めているのは私そのもの。私だけが狂っている」
第32回「恐れていた一歳半検診。ついにこの日が来た」
第33回「わたしが暗闇の中を彷徨ってる間に、この子はこんなに喋れるようになった」
第34回「ああ嬉しい。もうちょっとで普通のお母さんになれる」
第35回「胸の奥から再びモヤモヤした黒いものが湧き上がってくる」
第36回「娘に「ママいなくなってもいい?」と聞いてしまった」
第37回「頭の中は娘に関する心配事ばかり。身も心も憔悴しきってしまった」
第38回「体重が激減した。ご飯が喉を通らないのだ」
第39回「悩んでいたことが口からこぼれ、初めて会った人の前で泣いていた」
第40回「もう終わらせたかった。なにもかもを終わらせて、消えたかった」
第41回「ちょっとだけ話をしたい」と言いながら、子どもみたいに泣いた」
第42回「元気に見える人たちも、なんらか心に葛藤を抱えている」
第43回「愛情という文字を見た瞬間に、わたしは大きな声を上げて泣いていた」
第44回「「自分を責める必要はない」というのはわかったが、やっぱり辛いのだ」
第45回「娘を見ているのがつらいなんて変だ。私は家を出ることにした」
第46回「布団に入っても、夫の言葉が頭の中を巡った」
第47回「自分に発達障害の可能性があるとは、夢にも思わなかった」
第48回「私が発達障害を抱えているとしても、何も変わらないのではないか」
第49回「私は、可愛い娘から逃げてここにいるのだ」
第50回「ママ、大好き」と言って眠りに落ちた娘の側で、私ももう一度眠りたい

「懺悔日記」連載一覧

藤田あみい

イラストレーター・デザイナー・エッセイスト。
「無印良品の家」のウェブサイトで「ぜんぶ無印良品で暮らしています~三鷹の家大使の住まいレポート~」を執筆中。
2016年に同タイトルの本を出版。現在韓国語・台湾語に訳され、幅広い層の人へ向けて発信を行っている。
趣味はショッピング。夫と娘が生き甲斐。

「懺悔日記」読者へのメッセージ

妊娠・出産を得て、わたしは強迫性障害という病気になってしまいました。
強迫性障害を簡単に言うと「潔癖性」というようなものがわかりやすいと思います。
私の場合は潔癖ではなく、「『娘に障害があるのでは』という強迫観念が浮かんでくる。」というのが症状です。
愛する子どもを育てていて、一瞬でも「この子に何かあったら」と不安を感じる人は少なくないと思います。
このブログはそんな気持ちのドツボにはまってしまった私の懺悔の日記です。
「ありのままを受け入れる」そこに至ることが難しい人に向けて、少しでも気が軽くなればいいなと思い書き連ねています。
藤田あみい

Hanakoママ

Hanakoママ編集部

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