
つるのパパ会・6 イクメンじゃなくてもいい。子どもに印象を残すパパの姿とは?【つるの剛士×青野慶久】
働くパパに会ってきた!【つるののパパ会】06

サイボウズ株式会社 代表取締役の青野慶久さんを迎えて送る「つるののパパ会」の3回目。
イクメン代表と言われるつるのさんと、イクメン社長と言われる青野さんですが、お2人は少し違和感があるようで…。父親という存在について、お話を伺いました。
イクメンじゃなくちゃダメ?
限られた時間でもパパの印象を残すことはできる
青野:最近は、イクメンという言葉がひとり歩きしすぎちゃってますよね。
つるの:僕、近所の人からなぜか怒られたことあるんですよ。「おまえがイクメンとか言うから、ママにちゃんとイクメンしろって言われる」って(笑)。僕は一言もそんなこと言ってなくて、世の中が勝手に言いだしたんですけどね…。
青野:男性が育休を取りやすい、育児に参加しやすい社会はいいんですけど、イクメンじゃなきゃいけない、イクメンこうあるべきとなるのは怖いですよね。働いて、家事育児もめちゃくちゃしてたら、末はイクメン死なんてことが起こるかも…。日本人は100点を目指す教育を受けてるから、これは気をつけないと!

つるの:自分の父親のことを考えると、銀行員ですごく忙しくて平日はほとんど顔を合わせることがなかったんですよ。でも、日曜日とか連休とかにいろいろ連れて行ってもらったし、旅行もしたし、思い出がたくさんあるんです。寂しいとはまったく思わなかった。
青野:すごいですね。銀行なんて、かつての日本で長時間労働の最たる職種というイメージ。子どもと一緒にいる時間じゃなくて、接し方が大事だということがよくわかりますね。
つるの:3年に一度は転勤もありました。僕は北九州で生まれて、広島、大阪、東京、茨城、東京、神奈川と移り住んで。引っ越しは大変でしたけど、今では故郷がたくさんあるし、友達もたくさんできて楽しかったですけどね。
青野:我が家もつるのさんと同じ転勤族だったのですが、父親だけがずっと単身赴任していたんですよ。母親は専業主婦でずっとうちにいたので構ってもらった記憶があるけど、家庭での父親の印象は薄くて。男は仕事って思いがずっとあったので、自分が育休を取ったり、子どもの世話をしたりすることに、最初は葛藤があった気がします。
つるの:父親の影響ってやっぱり大きいですよね。でも、仕事がしたい人はすればいいと僕は思うんですよ。親が一生懸命やっていることは子どももちゃんと見てる。

青野:確かに。イクメンという言葉にとらわれすぎていますよね。世の中的にも働き方改革というのが叫ばれていて、1年前まで当たり前のように残業していたのに、残業は悪、に逆振れしています。でも、正解はひとつじゃなくて、その人ごと、家庭ごとに、仕事と育児のバランスを取るのが大事ですよね。
つるの:仕事がしたいのにそれを我慢して育児をしても、子どもはちっとも楽しくないと思いますよ(笑)!うちの父親みたいに、短い時間でも全力で遊んでくれたっていう記憶の方が子どもには印象深いです。
青野:本当にそうですね。イクメンに引っ張られすぎずに、無理のないパパの関わり方を家庭ごとに模索していくのが大切。その方が、子どもにとっても良さそうですね。
仕事をしていても、関わり方次第で子どもにいい印象を残すことはできる…。つるのさんと青野さんのこの言葉に、忙しいパパは勇気づけられるのではないでしょうか。
サイボウズの青野社長との対談も次回が最終回。子どもの将来への父親の関わり方について、お2人の実体験を交えて語っていただきます!
[今回お話を聞いた人]
青野慶久さん
あおの・よしひさ○サイボウズ株式会社 代表取締役。1971年生まれ。三児の父。上場企業の社長でありながら3度の育休を取得しており、育児に積極的な社長として知られる。
つるの剛士さん
つるの・たけし〇タレント・二男三女の父。16年に第五子となる次男・絢斗(あやと)くんが誕生。その際に取得した1カ月間の育児休業の様子を綴ったインスタグラムの投稿が話題に。
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写真〇土佐麻理子 編集・文〇村田智博(TAPE)