
編集部の取材エピソード くっきりはっきり描かれた絵の、制作のヒミツを大公開!
今月の「mama’s STORY」は、齋藤 槙さんの「なんごくかくれんぼ」。
あかやみどりのはっぱのかげに、生きものたちが隠れている、というたのしいお話。
白い地色に色鮮やかな植物とトリやチョウ、ワニたちが並びます。
ところで、この作品、描かれいている線が、とてもくっきりはっきりしていることにお気づきでしょうか。
実はこれ、すべて「貼り絵」なんです。
どういうことか、詳しくご説明しますね。
まず絵を描いたら、それをカッターで切り出します。

上記の「抜け殻」を「型」として使うために画用紙の上に置き、型に合わせてはめ込むように切り取ったパーツを貼り付け、型を外します。



たとえば、モザイクのように見える作品なら、切って貼る意味が分かるのですが
パッと見、そのまま描いた絵と変わらないように見えるこのような作品、シロウト考えでは、どうしてわざわざ描く、切る、貼るという手順が必要なのかわからなかったのですが、齋藤さんに理由をうかがうと、切り出すことで、輪郭「線」を描くことなく輪郭をシャープに出すことができるから、なのだそう。
描いた線ではどうしても線がにじんだりぼやけたりしてしまう。そのにじみをよしとする作品もあるそうですが、線をはっきりさせたいときは、この切って貼るという手法をとっているのだとか。
たしかに、そういわれてみると、どれもぴーんとエッジが立ったラインです。

パキッとしたラインが際立つ植物や動物たち。よろしければぜひ、その点に注目して作品を見てみてください!
ほかには、色使いもこの作品の特徴。ワニのカラダにたくさんの色が使われているのも、個人的にはとても気に入っているところです。
シックなのにカラフル。
ゾウやワニなど、一見色のない地味な動物を見ながら描くときに、細かく赤や青が見えている、という齋藤さん。
その色をのせながら、「あ、命が宿った」と思ったところで筆を止めるのだそう。
彼女の著作に『虹色いきもの図鑑』(福音館書店)という作品があります。とってもカラフルな生き物たちが並びますが、すべてリアル、現実に存在する色使いなのだそう。こちらもよかったらぜひ手に取ってみてください。