子育てママのお悩み解決メディア
「ウンチ」は3文字? それとも2文字?【コドモのコトバ】
2017.12.25

先生おしえて 「ウンチ」は3文字? それとも2文字?【コドモのコトバ】

気になってはいるけれど、実のところよく分かってない…。 そんなアレコレについて、ずばり教えてもらう「先生おしえて」のコーナー。

心理言語学の研究者、広瀬友紀さんによる子どもの言葉の話、今回は日本語特有の「拍」の話です。


その言い間違えには理由がある!
今月のテーマ /「ウンチ」は何文字?

sensei_hawaii

出だしからウンチですみません。

五味太郎さんの「みんなうんち」という絵本をご存じですか。うちの子も大好きでした。

字を認識し始めた4歳のころ、このタイトルを「み・ん・な・う・ん・ち」と一文字ずつ読もうとするのですが、最初の「み」を「みん」と2音で読んでしまい(「うん」も)、文字の数が合わないと怒っていたことがありました。

大人なら「み」と「ん」はそれぞれ別の音。子どもにとっては違うのでしょうか?

私たちは言葉を聞くとき、単一の音よりはもう少しまとまった、しかし単語そのものよりは小さい単位に区切って、音をとらえます。時には意識的にその数を数えたり、リズムをとることも。五七五がその例ですね。

日本語だと、この単位(拍)がほぼ仮名ひとつ分となっています(小さい「ゃゅょ」はちょっと例外)。なので、「ん」も立派な「一つ分」つまり「一拍」なのですが、実はこれは日本語を母語として身につけた人だけの間の了解なのです。

世界の多くの言語では、「みんな」の「みん」は「min」で一つの「音節(シラブル)」としてカウントされます。「n」だけで独立して一単位とみなすことは、日本語を外国語にとって学習する人にとってもすごく違和感があるそうです。

ほかにも、長く伸ばす「ー」、詰まる音を表す「っ」など、日本語母語話者だと自然に一拍分と数えるので、「ビル」と「ビール」、「ガキ」と「楽器」もはっきり違うとわかります。

だけどこれらの区別は、本当に日本語学習者泣かせなんですよ。 日本語を身につける途中の子どもも、日本語特有の「拍」単位のリズムについては、最初からではなく、少しずつ身につけていくようです。

冒頭の4歳児、今度は「あいうえおうさま」(寺村輝夫さんの、これまた人気絵本)で、「あ・い・う・え・おー・さ・ま…」(「おー」で一文字)と読みながらまた「どうして一文字余るの!」と怒っていました。

「日本語耳」、まさに修業中!

prof21

広瀬友紀

ひろせ ゆき〇東京大学大学院総合文化研究科教授。
心理言語学、特に人間が言語を理解するしくみを研究。
2017年8月より8カ月間の在外研究で、ハワイ大学に滞在中。
小2男子の母。著作に『ちいさい言語学者の冒険-子どもに学ぶことばの秘密』(岩波書店)。

syoei


こちらも読んでね!
「ば」からテンテンとったら「ぱ」!? 子どもにだけ見えている、日本語のルール
「は」にテンテンは「ば」じゃない!? 子どもの言い間違いが教えてくれること
言い間違いには理由が!「死む」「来(き)ない」からわかる、子どものアタマのなか
【コドモのコトバ】連載一覧


広瀬先生のハワイ子連れ留学日記、【ハワイとコトバ】も連載中!

photo by Adobe Stock