働くママのウェブマガジン

Mama子育てママを元気にするコラム&トピックス

藤田あみいの「懺悔日記」私が本当に懺悔したかったこと【『懺悔日記』書籍化記念。藤田あみいさんインタビュー】

2018.02.26

あの人気連載が本になりました!

娘の発達に疑いを持ってしまったことをきっかけに、インターネットにあふれる情報の渦にまきこまれ、深刻な産後うつに。さらに強迫性障害を発症したあるママの2年半にわたる慟哭と再生の記録……。

Hanakoママウェブで昨年連載、累計80万PV超を記録した、藤田あみいさんの「懺悔日記」が本に! 書籍発行を記念して、藤田さんにお話をうかがいました。

『懺悔日記』が生まれたきっかけ

MMM3888

――連載が始まるずいぶん前に、藤田さんはHanakoママ編集部に来てくださいましたね。

ちょうど自分の本が出た直後で、出版社に売り込みをしていて。Hanakoママ編集部には、子育ての明るい話を描きたい、と作品を売り込みに来たのですが、実は当時、まだ産後うつが深刻な状態で……。編集長の岸辺さんと話しているうちに、悩みを話して泣いてしまったんです。岸辺さんは話に共感してくれて、じゃあそのつらい思いを原稿に書いてみたらどうか、って提案いただきました。

でも、娘のことを書いて仕事をするなんて、しかも明るい話でもなく、自分の最も触れたくない部分だし、と思って、そのときは書けませんでした。

――では、書こうと思ったきっかけは何だったんでしょうか?

何か月か時間がたって、私の症状がさらに重くなり、入院したときのことです。「なんで自分は入院まですることになっちゃったんだろう」って思って。

思い返せば、産後うつになったころ、私には子育ての悩みを打ち明けられる友達がいなかったんです。友達がいなかったわけではないんですが「子育てつらい」って言えなかった。

今思えば、きっと周りで子育てしている友達も大変だったんだと思うんですが、表面的にはみんながキラキラしているように見えて。私の“黒い気持ち”をさらけ出してしまうことが、その人たちを汚すことになりそうで怖かったし、言葉にしてしまうと娘のことも汚してしまうような気がしたんです。

誰かに話す代わりにインターネットで誰かとつながれたらという気持ちもありましたが、辛辣なコメントを書かれるのも怖かったし、ネット上にも私が求めている情報はなかった。私はそれで一人でもがき苦しみましたが、悩みを話せる友達がいたらもっと早く良くなっていたかもしれません。

子どもって、ものすごくかわいい存在で、守るべき対象で。だれも子どものことを悪く思いたくはないですよね。お母さんたちはそれを分かっているから、子育てつらいと思っても、そう感じる自分のほうが悪いって考えてしまうし、その感情を誰にも言わないように抱え込んでしまうんじゃないかっていう気がするんです。「私、つらいんだ」「私もだよ」って言える相手がいれば違うはず。

私はずっとつらかったし、娘も家族も苦しんだ。それならこの経験を使って、いま悩んでいるお母さんに向けて何か書けるんじゃないか。子育てに悩んでいる友達になれるような読み物を作りたいと思ったのが、本を書く理由になりました。

懺悔したい相手が変わっていった

――『懺悔日記』というのは、ちょっとドキッとするタイトルですが、「懺悔」というのは、誰に対する懺悔なのでしょうか?

93b46a1eb77894b5173b5f5a7b6d4be5

悩み始めたころは、世間に対する懺悔だったと思います。娘の発達が心配だと思ったときに、私がちゃんとしたお母さんじゃないから、と世間に思われるのではないかという不安があった。世間体というか、社会からの評価を気にしていたんですよね。

そのあと、自分の状態がどんどん悪くなっていってからは、娘や夫に対して申し訳なくて「こんなお母さんでごめんなさい」と、許してほしい気持ちでいっぱいでした。そのときは、家族に対する懺悔に変わっていった。

でも、『懺悔日記』を書いていくなかで、さらにその考えも変わりました。

カウンセラーの先生に、いま『懺悔日記』という作品を今書いていて……、と話したら「誰にも懺悔なんてする必要ないですよ。自分で自分を受け入れればいいんですよ」と言われて。そうか、私は結局自分を許せなかったのか……、自分を許せばいいのか、と思ったらすごく楽になりました。自分で自分を苦しめていたんですよね。だから、段階を経て、最終的には「懺悔」する相手が「自分」に変わりました。

今は、社会の目を気にする必要なんてなくて、子どもがどうあろうと、私が元気で楽しければ幸せに生きていけるんだ、とわかりました。そういう意味では、一人の大人として少し成長したのかもしれません。

――執筆作業はいかがでしたか?

当時書いていた日記やLINEの記録をさかのぼって、できるだけそのときの気持ちの動きを書くようにしました。いまは気持ちが安定しているとはいえ、当時の感情が戻ってきて、書きながら泣いてしまうことはよくありました。

でも書くと気持ちがすっきりするんですよね。私は書くことで自分の中の感情を清算したかったのかもしれません。

――この作品をどういう人に届けたいと思いますか?

私は「娘が発達障がいかもしれない」という不安がきっかけでうつになりましたが、障がいに限らず、子どもが病気なのでは、と心配になったり、事故にあうのではと心配だったり、あるいは、ちゃんと自分はお母さんやれてるだろうか、という心配もあると思います。

私の話を読むことで「悩んでいるのは私だけじゃない」と思ってもらったらうれしいですが、「ああ、この人よりはましだな」って思ってもらってもいいし、「こうならないようにしよう」でもいい。身近に産後うつの心配がある人がいるなら、「うつの人って、こういう思考回路になっちゃうんだ」って、ひとつの参考にしてもらってもいい。

自分が産後にうつ病になるなんて、以前はまったく思っていなかったし、なってからは、先が見えなくて本当に怖かった。かわいい子どもがいて、早く元気にならなければ、と思うのにどんどん症状が重くなってしまった。でも、“治りたい”という強い気もちがあれば治る。だから大丈夫だよ、って伝えたいですね。

書籍化にあたっては、「産後ママのためのヘルプガイド」という付録が付いています。とても実用的なので、つらいときにはぜひ参考にしてほしいと思います。

後編では、子育てつらいと思うママに伝えたいことを聞きました。

インタビュー後編:母子手帳に載せたほうがいいくらい、大切だと思うこと


『懺悔日記 子どもの愛し方を知るまで』
藤田あみい 著
1620円 (税込)

購入はこちらから
https://magazineworld.jp/books/paper/2982/

ウェブで一部を読んでみる?
連載第一回「私は生命を生み出してしまったのだと。ことの重大さに気づいた」

写真〇森山祐子 取材・文〇宮本博美