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『映画ドラえもん のび太の宝島』 絶賛公開中!テーマは親子のドラマ。大人も感動!今年の「映画ドラえもん」【川村元気さんインタビュー】

2018.03.03

3月3日(土)、シリーズ38作目となる『映画ドラえもん のび太の宝島』が公開に!

遥かなる海原を乗り越え、ドラえもんとのび太、そして仲間たちが宝を求めて冒険に旅立ちます。

その脚本を手がけるのは映画『おおかみこどもの雨と雪』『君の名は。』のプロデュースや、小説『世界から猫が消えたなら』『億男』『四月になれば彼女は』の執筆など、多方面で活躍する川村元気さん。Hanakoママ読者にとってはおなじみの絵本『ふうせんいぬティニー』『パティシエのモンスター』の生みの親でもあります。

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そんな川村さんに、今回の作品への想いや、親子で映画をもっと楽しむための見どころをたっぷり伺いました!

F先生の作り方を因数分解して、「コピーロボットとなって」書き上げました

―――実際に脚本を進めてみて、いかがでしたか?

藤子・F・不二雄先生(以下、F先生)が『映画ドラえもん』を作る上でやってきたことが、大きく2つ挙げられると思うんです。

ひとつは、大長編では、王道の冒険ものをメインテーマに選んでいること。みんなが協力し合うので、映画だとジャイアンが急にいいやつになったりしますよね(笑)。

だから、『十五少年漂流記』とか、『ガリバー旅行記』とか……そういう古典の児童文学、冒険物語がベースになると考えました。

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そんな中で、スティーブンソンの『宝島』は、まだ手つかずだった。これはチャンスだ、F先生ならきっと『宝島』をテーマに選ぶんじゃないか、って。

僕を含め、ドラえもんをリアルタイムで見ていた人が、今は親世代になっている。子どもと一緒に映画館へ行った大人たちに、「なんか子どもっぽい話だなぁ」と思われるのは残念です。だから古典をベースに敷くことで、お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃんなど、大人も感動できるものにしたかったんです。

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もうひとつは、映画にはいつも、時事ネタや都市伝説みたいなものを入れていること。

「のび太の海底鬼岩城」に出てくるバミューダトライアングル、あれは実際にある都市伝説ですよね。「のび太の恐竜」も、フタバスズキリュウという首長竜が日本で見つかったというニュースがベースにあります。

少し前に、小笠原諸島に噴火で新しい島ができたニュースがありましたよね。新たに島ができるなんてことが、実際に起こるんだ、ってワクワクしたし、その島の所有権ってどうなるんだろうとか、いろいろ考えて。

王道の古典文学『宝島』と、新島発見のニュース。その2つがガッチリと結びつきました。

1作目の「のび太の恐竜」というタイトルが短いながらもインパクトがすごいなと思っていたので、漢字2文字のタイトルにできないか考えていたこともあって……「宝島」にスッと決まった気がします。

自分なりにF先生の作り方を因数分解して、「コピーロボットとなって」作り上げました。

―――ドラえもんといえば、「ひみつ道具」が見どころのひとつ。今回登場する道具も、いくつか川村さんが考案されたとか。

そうなんです、今回、自分のオリジナルの「ひみつ道具」をつくれることが、最高だなぁと思いましたね(笑)。

『なりきりキャプテンハット』っていうのは、今回考えたひみつ道具です。キャプテンハットをかぶると、自分の見ている景色すべてがカリブ海になるっていう。

―――ビジュアルでもドラえもんがかぶっている、赤い帽子ですね。かぶると、みんな船長の命令を「アイアイサー!」って聞かなくちゃいけない(笑)

そうそう、ドラえもんらしい道具ですよね。見た目もすごくかわいく仕上がりました。

あとは、『蛍光方向くらげ』って、語呂がいいひみつ道具なんですけど、これもオリジナルです。『宝探しマップ』は、もともとある道具なんですが、スクロールできたりして、iPadみたいに今っぽくしています。

今は冒険と言っても、GoogleアースやGoogleマップを見れば、世界中どこでも見れるという前提がある。だからそんな感じのニュアンスを入れたかった。

今の時代は、アナログからデジタルに変わって、そこからさらにアナログに回帰しつつデジタルとのミックスに変わってきていると思います。

キャプテン・シルバー(注:のび太たちを襲った海賊船の船長)も、古典的な要素と現代的な要素が混ざっているキャラクターにしています。

『宝島』に出てくるような大航海時代のタイプライターをベースに、最新のプログラミングのシーンを取り入れてみたり……。

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あとは海賊と言えばオウムですよね。そのオウムを今回はロボットにしたんです。見た目がデジタルっぽいものはもう古い気がしていて、あえてアナログっぽさ、古典的な見た目でありながら、実はものすごい最新のガジェット、そんなキャラクター作りを目指しました。

大人も子どももみんな、ドラえもんが大好き

―――親としては、のび太とお父さんの関係など、「親子」の気持ちの通わせ方にもぐっときました。

監督の今井さんが、共働きの奥さんと、子育ての意見が食い違っちゃうって話していたんです。自分は良かれと思ってやっていることが、奥さんも子どももわかってくれない……って(笑)。

僕が好きな映画「スティーブ・ジョブズ」でも、ジョブズがプレゼン準備ばっかりやっていて、その裏側で娘とうまくいってない様子が描かれています。

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子どもたちは単純に、「冒険に行くぞ!」って思って映画を見ているけれど、その裏側で大人はちょっと身につまされるような、そんな表現を入れようと思っていました。

F先生は、「子どもが大人に頼らずに自分たちの力だけで問題を解決する」っていうのをルールにしていたらしいんです。それっていいなと思いましたね。

だから、大人を頼るんじゃなくて、のび太はのび太の理屈で一生懸命にやっていたら、いつの間にかそれが大人を変えてしまう、大人を変えたら世界を救ってしまう……、でもそのことは誰も知らない、っていうF先生らしい話にしたいな、と。

お父さんって放っておくと結構孤独になっていくから、F先生とお子さんの関係を想像しながら書いていたっていうところもあります。F先生はすごくいいお父さんだったみたいです。だから、今井監督とかF先生とか、そういう父と子を投影した感じです。

―――親子で見に行くにあたって、親と子、それぞれの楽しむポイントや見どころがあればぜひ教えてください。

冒険や宝探し、なぞなぞ……と、子どもたちの好きな要素がいっぱいあると思います。謎解きって楽しいですよね。僕もクイズはかなり考えましたし、面白かった!

パパやママにヒントを出してもらったりして、なぞなぞが親子のコミュニケーションのきっかけになるといいなと思っています。きっと、「なぞなぞ出して!」ってすごい言われると思うから、用意してから観に行ったほうがいいかもしれませんね(笑)。

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今回、星野源さんに主題歌と挿入歌、2曲お願いしたんです。クライマックスで、「ここにはいないあなたへ」という歌が流れるんですが、ここは、星野さんが絶対いい歌詞を書いてくれる!という前提で書いたシーンです。

歌をクライマックスに使うのは『君の名は。』以来の、ちょっと大人っぽい演出。きっと感動してもらえると思います。

昔は、春休みになったらドラえもんの映画を見に行くっていう人も多かったんじゃないでしょうか。僕も、父親に映画に連れて行ってもらっていた記憶があります。

だけどみんな、小学校を卒業するあたりから、ドラえもんも卒業しちゃうんですよね。

今回、ドラえもんを読み直してみて思ったのは、ドラえもんって全然子どもっぽくないんですよ! 「日常から始まって冒険と学びがあって日常に戻ってくる」とか、お決まりの型があるから、古典落語みたいなところもあって。

だから、「春休みは家族でドラえもん」を、もう一度復活させたい。

今回、星野源さんや大泉洋さん、長澤まさみさんなど、自分の信頼するミュージシャンや俳優と一緒に作れたことで、そこにたどり着ける気がしています。ちょっと初期の頃を思い出すような、懐かしいドラえもん。「懐ドラ」でありながら、大人も楽しめる現代的な演出や音楽的な感動もたくさん入れ込みました(笑)。

大人も子どももみんな、ドラえもんのことが大好きな気持ちを思い出してもらえる作品になったと思います。

川村元気
かわむら・げんき 1979年生まれ。映画プロデューサーとして『電車男』『モテキ』『おおかみこどもの雨と雪』『君の名は。』ほか数々のヒット作を生み出す。小説『世界から猫が消えたなら』『億男』『四月になれば彼女は』のほか、絵本『ティニーふうせんいぬのものがたり』『パティシエのモンスター』も手掛ける。

『映画ドラえもん のび太の宝島』 絶賛公開中!

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©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2018

38作目の新作の舞台は、大海原! 「ノビタオーラ号」に乗り込んだのび太たちが、「宝島」を目指します。

海賊、少年フロック、そしてオウム型ロボットの“クイズ”…、魅力的なキャラクターが次々に登場し、息もつかせぬ冒険が始まります!
http://doraeiga.com/2018

原作:藤子・F・不二雄 
監督:今井一暁
脚本:川村元気
ドラえもん:水田わさび のび太:大原めぐみ しずか:かかず ゆみ ジャイアン:木村 昂 スネ夫:関 智一
トマト:高橋茂雄(サバンナ)
フィオナ:長澤まさみ
シルバー:大泉洋

川村元気さんの小説「億男」が文庫化!

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突如、億万長者となった図書館司書のお金をめぐる30日間の大冒険。
文春文庫
3月9日発売
定価(本体700円+税)

『億男』
10月19日より全国東宝系公開
http://okuotoko-movie.jp/

取材・文〇藤沢あかり 写真〇片岡祥